作品一覧

  • ヤマケイ文庫 喜作新道 ある北アルプスの哀史
    3.0
    北アルプスの定番縦走路である表銀座を拓いた小林喜作。 喜作は凄腕の猟師でありながら、殺生小屋を開き、更にはそこに登山者を送り込むためのルートを拓く優秀な事業家でもあった。 合理主義者でビジネスライクな姿勢に周囲からは「金にガメつい」と称された。 しかし、喜作は猟にでかけた山で雪崩によって遭難死してしまう。 優秀な山の人でありながら、雪崩に巻き込まれたことで事故でなく他殺なのではないかと噂された。 「あゝ野麦峠」で知られる山本茂実が綿密な取材を通して、北アルプスの歴史、小林喜作の死について迫る貴重な一冊。 ■内容 欲の道・喜作新道(第一話) 牧の喜作(第二話) 工女と学生(第三話) 上高地の常さと牧の喜作(第四話) 槍ヶ岳に降りた天女(第五話) 北鎌尾根の英雄たち(第六話) 棒小屋沢の謎(第七話) 恐怖の野陣馬小屋(第八話) 無念の墓(第九話) 北の衆の縄張りにて(第十話) 追跡・もう一人の人(第十一話) 牧の悲歌(第十二話) 猟犬ペス東鎌に消ゆ(第十三話) あとがき ■著者について 山本 茂実(やまもと・しげみ) 大正6年~平成10年(1917~1998)。 長野県松本市に農家の長男として生まれる。 農業に従事する傍ら、松本青年学校に通う。 その後、現役兵として近衛歩兵第3連隊に入営、軍隊生活・闘病生活など合わせ8年間を送り、傷痍軍人として終戦を迎える。 戦後上京して早稲田大学文学部哲学科に学ぶ。 昭和23年『生き抜く悩み 哲学随想録』を出版。昭和43年、『あゝ野麦峠 ある製糸工女哀史』を発表、250万部のベストセラーとなった。 著書に『喜作新道』『高山祭』『塩の道・米の道』、人生論三部作として『生き抜く悩み』『愛と死の悩み』『嵐の中の人生論』などがある。
  • 松本連隊の最後
    4.0
    1巻1,430円 (税込)
    太平洋戦争末期、1944(昭和19)年2月に松本百五十連隊はトラック島に上陸した。 本書は、松本を出営し、トラック島まで辛くもたどりつき、そこで敗戦をむかえる翌45年8月までの戦記である。 太平洋における日本海軍の最大の根拠地トラック島防衛のため派遣されるも、連隊の主力はトラック島到着直前の二月十七日、 米機動部隊のトラック島攻撃に遭遇し、その乗船を撃沈されて多数の人員と装備の全部を失うこととなる。 その後、戦線が硫黄島などに進み、トラック島は補給の途絶したまま、とり残された。 身一つで救助されてトラック島に到着した連隊主力は、その後の一年半を、空襲にさらされながら、陣地構築と飢餓との戦いを生き抜くことになる。 生存者に徹底取材し、克明にして膨大なメモからまとめられた無名兵士たちの哀史。末端から見た戦争の実態! 「この作品は「戦争という巨大な人間の奔流を、特定の個人の小さな私見でなく、多くの生き残り兵を取材して、その生きざまに取組んでみよう」としたものです。 それがどれくらいかなえられたかはともかくとして、今にして思うとこの時の体験が次の作品『あゝ野麦峠』の手法を身につける為に、決定的だったということです」 (山本茂実) ※本書は、1978年に小社より刊行された作品を復刊したものです。故藤原彰氏(1932-2003)の解説も再掲しました。底本には1979年の5刷を使用しました。
  • クラシック リバイバル 日本名城紀行1
    -
    1~6巻605円 (税込)
    文豪たちが描いた日本の「名城紀行」が復刊。 1977~78年に小学館より発刊された「探訪日本の城」シリーズに掲載された作家の紀行文の復刊。 第1巻は森敦、藤沢周平、円地文子、杉浦明平、飯沢匡、永岡慶之助、奈良本辰也、北畠八穂、杉森久英の9名の文豪たちが個性豊かに描く日本各地の名城紀行である。 視点も作家により様々で、ガイドブックとはひと味もふた味も異なる城案内。史料をベースにまとめる作家もいれば、自分や家族とのかかわりから展開していく作家もいて、実にバラエティに富んでおり、時間が経っても色あせない名文揃いで、城マニアにもお勧めの一冊。
  • あゝ野麦峠 ある製糸工女哀史
    4.1
    過酷な労働に耐え、明治の富国強兵政策を底辺で支えた無数の少女達。その女工哀史の真実とは。四〇〇名に及ぶ元工女を訪ね、歴史の闇に沈んでいた近代日本の民衆史を照らし出す、ノンフィクションの金字塔。

ユーザーレビュー

  • あゝ野麦峠 ある製糸工女哀史

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    のうみ峠。冒頭からのけぞらされる。すごい本だった。データ量がすごすぎる。工女の故郷で女工哀史というと怪訝な顔をされるというのはとても納得。どれだけ犠牲になったか,頭を垂れるしかない。映画を観ようと思う。

    0
    2025年10月05日
  • あゝ野麦峠 ある製糸工女哀史

    Posted by ブクログ

    明治〜昭和初期の工女たちに寄り添い、その知られざる日々の生活に迫った記録文学。著者のヒューマニズムと、当時を知る先人たちの膨大な証言が、本書全体を人間味溢れる温かい作品に仕上げてくれている。工女を襲った悲劇だけに終わらず、「工場側・経営者側はどういった状況だったのか?」まで掘り下げてくれているのも先進的である。興味深かったのは著者が取材した際、工女の多くが誇らしげに証言してくれたというエピソード。辛く苦しい工女生活であっても、そこで仲間達と懸命に生き抜いた思い出は、美しい記憶として色褪せないのである。
    明治時代の息づかいを間近に捉えることができる、歴史好きにはたまらない一冊。最高でした。

    0
    2022年02月06日
  • あゝ野麦峠 ある製糸工女哀史

    Posted by ブクログ

    映画やドラマは見たことは無いですが、話だけは聞いていました。雪の深い峠の山道を小さな女の子たちが仕事のために死に物狂いで歩き、そして死にそうになるくらいまで製糸工場で働かされるというお話だと。

    こういう聞いていた苦労話と違って、当時の日本の歴史的背景が詳しく書かれていて、明治維新から世界へと進出するための経済的費用をまかなうためでもあったということも知れて勉強になりました。そして当時の日本人の勤勉さに改めて頭が下がる思いがしました。

    一方で、やはり今のように労働基準法、安全衛生法などといわれる世の中ではなかったため、想像以上の職場環境、生活状況だったことも分かりました。

    当時の日本経済や

    0
    2020年10月26日
  • あゝ野麦峠 ある製糸工女哀史

    Posted by ブクログ

    悲しい。でも約100年前の工女さんたちが今の日本の基盤を支えてくれたのだなぁとありがたく思う。
    外部から見たら悲惨な環境に見えても、当事者たちは意外とそうは思っていなく、むしろ感謝しているフシもあるという点は、現代のサラリーマン生活にも似たようなものを感じる。(当時に比べて現代は格段に恵まれているが。。。)

    現在の新興国からのニュースでも、本書と似たような状況が報じられている。近代化するのに通らなくてはならない道なのだろうか。

    0
    2014年01月11日
  • あゝ野麦峠 ある製糸工女哀史

    Posted by ブクログ

    雪と氷の峠を越えて生糸紡ぎに励んだ女工哀歌。壮絶な生き様が描かれるが、明治大正の飛騨の娘たちにとっては生きるための必然だった。現代で言えば残業過多のサラリーマンか、あるいは日本人のために魚の骨をとるアジア諸国の女工さんか、はたまたミニカー組立の。。。

    0
    2012年09月07日

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