山本茂実のレビュー一覧
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明治〜昭和初期の工女たちに寄り添い、その知られざる日々の生活に迫った記録文学。著者のヒューマニズムと、当時を知る先人たちの膨大な証言が、本書全体を人間味溢れる温かい作品に仕上げてくれている。工女を襲った悲劇だけに終わらず、「工場側・経営者側はどういった状況だったのか?」まで掘り下げてくれているのも先進的である。興味深かったのは著者が取材した際、工女の多くが誇らしげに証言してくれたというエピソード。辛く苦しい工女生活であっても、そこで仲間達と懸命に生き抜いた思い出は、美しい記憶として色褪せないのである。
明治時代の息づかいを間近に捉えることができる、歴史好きにはたまらない一冊。最高でした。 -
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映画やドラマは見たことは無いですが、話だけは聞いていました。雪の深い峠の山道を小さな女の子たちが仕事のために死に物狂いで歩き、そして死にそうになるくらいまで製糸工場で働かされるというお話だと。
こういう聞いていた苦労話と違って、当時の日本の歴史的背景が詳しく書かれていて、明治維新から世界へと進出するための経済的費用をまかなうためでもあったということも知れて勉強になりました。そして当時の日本人の勤勉さに改めて頭が下がる思いがしました。
一方で、やはり今のように労働基準法、安全衛生法などといわれる世の中ではなかったため、想像以上の職場環境、生活状況だったことも分かりました。
当時の日本経済や -
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ネタバレ
プロレタリア文学の金字塔と言われた
小林多喜二の「蟹工船」を読んで
すっかり打ちのめされたのも束の間
蟹工船が男の世界であるなら
女の世界でも、悲惨な労働環境があったのではないかと
単純に思ったのがきっかけ
そう言えば、昔TVでやってた「あゝ野麦峠」
殆ど内容は覚えてないけど
幼心に、そこはかとなく漂う悲惨さがあったなぁーと
開国間もない、明治から昭和初期にかけて
富国強兵の国策の元
有力な貿易品であった、生糸の生産を支えた
工女達を描いたノンフィクション作品
諏訪湖を中心に、次々と建設された製糸工場
地元である長野を始め、近隣の県からも
多く糸引き工女が集められた
北アルプス -
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北アといえば観光地、登山だけども猟の場所だったことが、パッと脳内変換できない。
「北アでは熊をやらないものは猟師とは言わない」
猟の表現が無駄がなくて
生き生きしてすばらしい!
喜作の死に方について、山で雪崩に巻き込まれたが、猟が上手くて羨ましがられていたから、わざと助けなかっんじゃないか?とか疑惑があったらしい。
殺生小屋の所有権について。懸命に作った殺生小屋だが、喜作死後、家族に権利は与えられず出資者のものになってしまった。抗議しても無理だった。
喜作新道には喜作のレリーフがある。殺生小屋も寄らせてもらった。現代の快適な登山の裏に喜作らの活動があったことを知れる本でした。喜作たち、 -
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先日、富岡製糸場に行ったときに、製糸場説明ツアーに参加していた女性が、ツアー員に質問していた。
「女工は「ああ野麦峠」みたいな感じで働かされていたのですが?」
「いいえ、富岡製糸場は他のお手本となるように作られた工場なので、労働時間は長くはなかったし、仕事後女工に学問などを教えるなどをしていたのですよ」
聞いたことはあり、有名な本だとは思うが、読んだことなかったな「ああ野麦峠」
小説かと勝手に思っていたが、明治時代の女工の証言をまとめ、どのように働いていたかの資料になっている本なのだなあ。逆にそのころの女工の生活、思いが生々しく語られており、興味深い。
明治の文明開化は電話、汽車、軍艦と多 -
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大竹しのぶの映画のイメージが強くて(予告編のみ)、悲惨な境遇の女工さんの物語かと思っていた。
360人を超える聞き取り調査や、飛騨や信州へ何度も足を運んでのルポルタージュだったのですね。
資本家に搾取された労働者としての一面だけでなく、飛騨に残るよりはマシと考える、または是非とも製糸工場で働きたいと望む人達がいたというのは驚きだった。
それは飛騨という特殊性もあるかもしれないが、世界を意識しだした日本が置かれていた脆弱さが背景にあるのだろう。
残念なことに、紆余曲折を経ながらも、結局彼等の労苦を通して獲得された外貨が、最終的には海の藻屑となってゆく軍艦に姿を変えていってしまった。
自 -
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富岡製糸場が世界遺産に登録されて以来、気になっていたので読んでみた。
女工として働いていた人たちへのインタビューを重ねた、とても丁寧につくられた本でした。読む前は、人身売買に近い形で工場へ連れていかれ劣悪な環境で働かされる、というイメージだけを持っていましたが、貧しい村の生活から逃れるために自分から進んで家を出て働きに行ったものがいたことや、高額の報酬を得て誇らしい気持ちで故郷に帰った思い出など、想像もしなかったことが語られていました。また、経営者側の状況や、当時起きたストライキの様子など知らないことだらけで、もっと早く読めばよかったと思っています。