全体的にエピソードもおもしろく、一気に読ませてしまう本ですが、2つほど気になる点がありました。
ひとつは、誤解を受けやすい表現が多いことです。たとえば、
再度確認しておくが、リコール増加自体は決して悪いことではない。本来のリコールの意義とは、供給者側が積極的に情報公開をして、事故などの社
...続きを読む会的損失を未然に防ごうとしている活動である。その点では歓迎すべきことだ。
リコールが多いのは、メーカーの経営姿勢が健全さを保っている表れだ。また、社会的要求に基づいた技術課題が明確になっていることである。だから、技術力低下うんぬんという後ろ向きのとらえ方ではなく、次の時代への準備期間に入ったと前向きに考えるべきなのである。
要するに、ソフトウェアの不具合がまったくないという状態のほうが不思議であり、少しぐらい不具合があって当然なのだ。
そんなバカな、と思うだろう。しかしそうなのだ。その理由を一言で言えば、すべての組み合わせをチェックすることが不可能だからである。
といった書き方はいいたいことは理解できますが、やめたほうが良いと思いました。
二つ目の気になる点は、品質工学の(さらにいえば、田口先生の)主張と筆者の主張が混然一体となっていることです。
裏表紙の内容紹介に、
「品質工学」の考え方を、著者の実体験を豊富に盛り込み、専門家でない人にもわかりやすく解説していく。
と書いてあり、また、参考文献としてあげられてはいるものの、本文の中でもそのような断り書きが欲しかったです。
新書とはそのような売り方の本かもしれませんけどねー。
来週、安部田さんと、長谷部さんと私で一緒にご飯を食べようと言う話になっているので、真意を聞いてみようかな。
でも、ほとんど初対面なのであまり突っ込むことはできないだろうなー。