中西孝樹の作品一覧
「中西孝樹」の「環境革命の虚実」「CASE革命 2030年の自動車産業」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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ビジネス・実用
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Posted by ブクログ
・ビークルOSの価値の説明と、各社での違い
・EV時代における各社の儲け方の違いとトヨタの収益予測
・2026年、30年などにおけるトヨタのEV販売動向の重要性
・Zへの切込み
この辺りは非常に面白かった。特に後者。トヨタはコネクテッドも踏まえた「バリューチェーン」という領域での儲けの文脈(ワンショット売り切りでなく1台あたりの価値を最大化する)での変動費の削減=HEV等でのアプローチから、欧州系OEMなどのハードウェアとしての固定費削減アプローチ、の順序と、その順序を踏まえた際にトヨタの販売台数予測と各国規制動向から受ける想定収益として、2030年前後に大きな崖ができる可能性。
特に「量産価格帯EV」については恐怖でもあり、確かにTeslaが販価を7%程度削って出しても利益が出るしバリューチェーン上でも儲けられる仕組みを整えているが、トヨタはその価格で出すと赤字だし、バリューチェーンの仕組みがまだ十分でないため負けてしまう。
このシナリオが一番ありうるのと、ロボタクも300万円を切っていたはず。と考えると現実性が高い。特に保有台数重視に切り替えているのであれば猶更。完全にITと同じビジネスの仕方。
他方Teslaも台数が増えた際のメンテナンス、品質地獄というところは確かにというか弱点になりうる。が、「誰かと組んでしまう=別にTeslaはそこで儲けなくてよい」ということであれば、方法がとれる。
執筆時より少しCo2削減基準などEPAでは低くなったが、1/10になったとかではないので、大きく数字に影響もないだろう。特にトヨタにとって26年のレクサス等での失敗は許されなくなりつつある。
そうなったときに別部署化したとはいえ、既存のZの哲学で育ってきた人たちが、EV需要を捉える商品性を作りこめるのだろうか。特にレクサス→既存車種展開時。これはコネクテッドでも同様だったが、その際はあくまでも「オマケ」的な位置づけだったが、今回はZの業務をダイレクトに変えてしまう。Zに触れている書籍はあまり見ないので、それだけでも貴重。車づくりにコネクテッドやMaaSが織り込まれていないから、バリューチェーン戦略でうまく利益が出せていないというのは納得。KINTOはそのあたりをぶち破ってきた感があるので、今後期待。トヨタ内部でもコネクティッドカンパニーは廃止になるなど、車両側へのコネクテッドの吸収を起こさせているが、これがどう転ぶか。パワーバランス的に「ものづくり>コトづくり」という勘違いを起こさせていなければ、と思う。イコールであるべき。
分社化すべきであろうというのは賛成。自動運転もトヨタから最近聞かないが、ここもバリューチェーンを太らせるには必要。E2EでAIが主流になりつつあるとの報道もあるが、トヨタ、デンソーはどう対峙していくのか。
その他、ASEAN、グローバルサウスでの戦略も含め検討してみてほしい。さらに、そのような環境下の中「日本独自の規格」である「軽EV」はどうなっていくのか(特にスズキ)。
Posted by ブクログ
トヨタのEV戦争
【本書の3つの魅力】
①著者出自;
自動車業界アナリスト20年超の実績があること。
②出版時期;
2023年度出版であること。
③EV;
技術、国内そして海外マーケットの動きがわかること。
海外勢の躍進がめざましいEVに、トヨタがどう挑もうとしているのか?技術含めて理解できる著書となっています。
【読み終えて】
トヨタを含めた国内自動車メーカーがEVを推進する流れは益々強くなります。
したがって、メーカー傘下のサプライチェーンの各企業がそのリスクにどのように対応(隣接市場か?それとも新規市場か?)していくのか?は非常に重要なテーマ、課題です。
だからこそ、この領域に事業機会が潜んでいるともとらえることもできます。
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<本書の内容>
【EVの競争力とは?トヨタはどう動く?】
電気自動車(EV)の競争力は、ハードウェアよりもソフトウェアに大きく依存しています。ソフトウェア・ディファインドビークル(SDV)がその象徴です。
トヨタでは、次世代のEV専用プラットフォームが2026年からレクサスから導入される予定です。これは、当初の2029年から2027年へと前倒しになりました。さらに、佐藤新社長の下で1年前倒しの計画が進行中です。
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【高すぎる参入障壁。日本メーカーが対峙する北米市場】
北米市場では、現地調達条件を満たしたEVが約100万円の税控除を受けることができます。
2023年4月からは、米国メーカーのみの22モデルに適用されています。日本メーカーはゼロ社です。また、2024年以降、現地調達比率の範囲が電池部品や電池鉱物まで拡大します。
これは、アメリカの中国のEV躍進の脅威に対する政策の一環です。したがって、日本メーカーにとって売上高比率の高い北米市場での厳しさが増していると理解できます。
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【競合の次なる1手。日本市場へ・・・】
ここではテスラ以外を記述します。
◆現代自動車グループ(ヒョンデ);
2022年の世界生産台数は5位から3位へ躍進しています。着眼したいことは、世界市場でブランド認知が著しく向上していることです。この背景が、2022年4月ワールド・カー・オブ・ザイヤーに『アイオニック5』が選ばれたことです。そして、さらに『アイオニック6』が2023年のワールド・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞しています。デザインがポルシェを彷彿させる洗練さをもっていると話題です。
◆中国BYD。
2022年、テスラについで2位です。また、中国市場シェアは2019年2%から2023年11%まで上昇しています。
競争力はずばり価格です。
この成果は、需要の大きい大衆車市場に対して、ガソリンよりも安いEV車を順次投下していることです。
なぜ、安くできるのか?それは、サプライチェーンを川上から川下まで垂直統合しているからです。その結果、廉価にEV専用プラットフォーム、プラグインハイブリッド技術そして電池を生産することを可能としています。
BYDは、トヨタならびに日本メーカーにとってさらなる脅威となる可能性が高いです。なぜなら、2024年以降に日本国内で正規ディーラー200店舗の確立を急いでいるからです。
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【トヨタのEV戦略とサプライチェーンへの影響は?】
テスラを含めた外国メーカーは、2024年から大衆車市場に対するEV投入を加速させます。
一方で、トヨタは、2028年までに4つの新型電池の実用化を目指しているという状況です。この実現により、コストを20%削減し、ワンチャージで1,000キロ走行可能なEV車が完成します。また、トヨタは、次世代EVプラットフォームを小型も大型も1種で完結させるという生産戦略を進行中です。
しかし、書籍では非常に厳しい戦いになると記述されています。
具体的には、「2027年に向けて米国と中国市場でシェアを失い、規制対応コストで収益性を大きく悪化させるリスクが高い」としています。さらに、「2026年以降にEVファクトリーの成果が出るまでは、EVでの逆転劇を演じることは困難に映る」とも記述しています。
トヨタがEVを加速させることは、トヨタのグループ企業ならびに関係するサプライチェーン企業にも影響は出ることは周知のとおりです。
2030年にEVシフトが15%、2035年が30%に上昇とした場合、モーター出荷額は2.4兆円から1.8兆円へ縮小します。部品出荷全体を見れば、18兆円から15兆円へと縮小すると予想されています。
Posted by ブクログ
世界の自動車産業の両雄ともいう存在であるトヨタとVW(フォルクスワーゲン)を、過去から現状までの経営状況、業務・資本提携などの経営戦略、技術力、組織力から対比させ、両社の特長・課題を抽出・整理している。
自動車業界のアナリストならではの、かなり深堀り分析した内容であり、非常に読み応え抜群の内容であった。
簡単に述べると長期的な目線で人づくりをおこない、全社的な価値観の共有を重要視するトヨタと、ドイツ企業としては特異的だが欧米企業流のM&A戦略と、モジュール戦略という合理的な製造管理手法で、短期間での成長を重視するVWといったところだろうか。
その様に好対照な両企業でありながらも、創業者が経営トップとして舵取りしていたり、国内や社会的責任を重視した企業経営をしていたりと、共通点があるところが、また面白かったりしました。
今後の両雄の成長予測は、あとがきでしっかりと述べられています。
様々なデータに基づき、科学的に述べられており、感情論や強引な論理で著者の主張がされていることがないので、業界の理解を深めるにはもってこいの書籍だと思います。
いい勉強ができました。