作品一覧

  • 月山・鳥海山

    月山・鳥海山

    小説・文芸

    4.3
    1巻896円 (税込)
    いまも読み継がれる、芥川賞史上最高作と名高い小説 出羽の霊山・月山の山ふところにある破れ寺に、ひとりの男がたどりつく。炉ばたでひたすら割り箸を作り続ける寺の男、女たちによる念仏のあつまり、庭を見せようと豪雪にもかかわらず雪かきにはげむ老人……。雪に閉ざされた山間のむらで、不思議な村人たちと暮しをともにするこの男が知った此の世ならぬ幽明の世界。芥川賞受賞作「月山」と、その姉妹篇ともいうべき「天沼」、著者の〈月山への道〉が浮き彫りにされる短篇集「鳥海山」を収録。 【目次】 月山  月山  天沼 鳥海山  初真桑  鴎  光陰  かての花  天上の眺め 解説 小島信夫
  • P+D BOOKS わが青春 わが放浪

    P+D BOOKS わが青春 わが放浪

    小説・文芸

    4.0
    1巻880円 (税込)
    太宰治らとの交遊から芥川賞受賞までを随想。 昭和49(1974)年、62歳にして『月山』で芥川龍之介賞を受賞した著者だが、弱冠20歳で華々しく文壇デビューした後、筆を擱(お)き長い長い流浪の旅に出たのは何故か。あまり世に知られていない、空白の40年間が垣間見える随想録である――。菊池寛に見出され、横光利一の推輓により、毎日新聞で『酩酊船(よいどれぶね)』を連載するなど前途洋々、将来を嘱望された若手作家だった森。同時代を生きた朋友・太宰治、壇一雄との交遊、太宰が『走れメロス』を執筆したエピーソードや、井伏鱒二や尾崎一雄、川端康成、谷崎潤一郎、志賀直哉らの名も日常生活を語る中で登場する。奈良や山形月山などで暮らした日々も綴られている。主に新聞の文化欄に掲載された文章だが、どんな短文にも筋が通った森流論理が窺える。
  • 新編 意味の変容

    新編 意味の変容

    ビジネス・実用

    -
    1巻1,716円 (税込)
    <全体=内部+境界+外部>であり、境界は内部→外部、また外部→内部と意味を変容し得る──。他に類を見ない数学的・哲学的スタイルで近代日本文学の常識を覆した『意味の変容』。若き日を放浪のうちに過ごした異能の作家・森敦が、光学工場やダム建設現場での思索を結晶させた究極の私小説であり、その理論を代表作『月山』などにおいて具現化した文学論でもある。新編にあたり、空海の足跡を辿りつつ真言密教を独創的に読み解いた『マンダラ紀行』、京城で過ごした幼少期に始まる豊饒な半生をユーモラスに語り尽した『十二夜』を併録。森敦の思想の全貌を明らかにした決定版。
  • 対談・文学と人生

    対談・文学と人生

    小説・文芸

    -
    1巻1,562円 (税込)
    独自の創作理論を打ち立てた、二大巨人による実践的文学論。文学の<現在>はここから始まる――独自の文学世界を打ち立てた二大巨人=小島信夫&森敦による長篇対談。昭和20年代半ばからの知己である二人が、これまでの交遊を振り返りつつ、創作理論の<現在>を縦横に語り合う。悲劇と喜劇、内部と外部、小説におけるモデル問題、夢と幻想、演劇論など、多岐にわたるテーマを通して、二人の文学の根柢に迫る、スリリングでアットホームな試み。幻の未刊長篇対談、待望の文庫化。 ◎小島信夫「この対話は色々の問題をもってきて、互いに論じるというようなものとは大分ちがう。問題も材料も互い自身である。これは息苦しいものであるし、空を切ることもあるので、ときどき散歩をすることもある。ときには、自分自身をダマす必要もある。(略)今月、悲劇、喜劇という言葉が出現して、私は刺戟をうけた。まどろみかけた目がひらいた思いがした。(略)今回のような談話の中での文脈の中でおどり出たのだから、これは生きた言葉である。生きた言葉であるだけに、今後何度も俎上にのぼり、たのしまなければならない。」<「第四回・追記」より>
  • クラシック リバイバル 日本名城紀行1

    日本名城紀行

    小説・文芸

    -
    1~6巻605円 (税込)
    文豪たちが描いた日本の「名城紀行」が復刊。 1977~78年に小学館より発刊された「探訪日本の城」シリーズに掲載された作家の紀行文の復刊。 第1巻は森敦、藤沢周平、円地文子、杉浦明平、飯沢匡、永岡慶之助、奈良本辰也、北畠八穂、杉森久英の9名の文豪たちが個性豊かに描く日本各地の名城紀行である。 視点も作家により様々で、ガイドブックとはひと味もふた味も異なる城案内。史料をベースにまとめる作家もいれば、自分や家族とのかかわりから展開していく作家もいて、実にバラエティに富んでおり、時間が経っても色あせない名文揃いで、城マニアにもお勧めの一冊。
  • P+D BOOKS 私家版 聊齋志異

    P+D BOOKS 私家版 聊齋志異

    小説・文芸

    -
    1巻550円 (税込)
    奇々怪々、不朽の怪奇説話の名翻案19話! 中国清代、巷で口承される怪異譚を蒲松齢(ほしょうれい)が書き綴った、怪奇短編集の白眉とされる『聊斎志異』。芥川龍之介、太宰治、澁澤龍彦、司馬遼太郎、F.カフカなど多くの作家も魅了され、影響を受けてきた。 森敦がこの500余話から選び抜き、私家版で19話を翻案した。生き生きと、且つ深みのある筆致が見事だ。妖術、呪い、幽霊など摩訶不思議な事象に加え、酒好き、大食らい、ひょうきん者、試験に落ち続ける男、母と暮らす嫁の来てのない男らが登場し、現代にも通ずる親しみ、可笑しみも溢れている。
  • 酩酊船 森敦初期作品集

    酩酊船 森敦初期作品集

    小説・文芸

    -
    1巻1,254円 (税込)
    昭和9年、横光利一の推輓で新聞連載された、森敦22歳の文壇デビュー作「酩酊船」。小説を書きはじめようとする青年の思考を日記やノートで辿ることそれ自体が、その小説の実現を意味するという冒険的試みで、のちに独自の創作理論を打ち立てることとなる著者の資質がいかんなく発揮される。そのほか19歳の作「酉の日」から36歳の作「夏の朝」まで、貴重な初期作品5篇を精選。

ユーザーレビュー

  • 月山・鳥海山

    Posted by ブクログ

    「食って、寝て、起きそして食べる」

    森敦(1912-1989)の『月山』は1974年に第70回芥川賞を受賞した作品で、
    森は62歳、黒田夏子が75歳で受賞するまでは最年長記録だったそうです。
    この度文春文庫で新装版が出たので手にとってみました。
    そして驚愕で身が震えるほど感動しました。

    月山の麓にある古ぼけたお寺に一冬居候することになった「私」。
    本を読むでもなく、絵を描くでもない私は、
    寺の仕事手伝うでもなく雪深い農家をただぶらりとし、農家の人々の話を聞く。
    「私」がやったことといえば、お寺の隙間風を防ぐため
    お寺にあった古い古い祈祷帖の和紙で蚊帳をつくっただけ。
    あとは寺男のじいさまがつくった大根だけ入った味噌汁とご飯を食べ、
    毎日まいにちぼぉ~と過ごしていたのです。
    それでもこの小さな農家ではいろいろなことがおきますが
    「私」は何をするでもなく、それらをじぃ~と見聞きしているのです。
    そして春、友人が来たのでお寺を去ることを決意します。
    別れにあたって寺にじいさまは手弁当と手作り割り箸を差し出し、
    紐で結んだ眼鏡を外して涙するのでした。

    この作品はこれまでのものとは全く異質の、
    ほとんど起伏のない、雪が深々と積もるような静かな世界を綴っています。
    そして今、思うことは、「私」という男は古代の人と同じように、
    ただ飯を食って、寝て、起きそして食べる、
    他の動物とほぼ変わらないような生活してきたということです。
    ひょっとしたら人の一生も煎じ詰めればこれに尽きるのではないか?

    ここの農家の人々もごく普通の人間ですかから少しは遊び
    (古儀⇒日常的な生活から別の世界に心身を開放してその中に身を浸すこと)を
    していますが、彼はそれにも無関心だったのです。
    いわんや金持になって美味しものを食べ、何でも手に入れられような人にも、
    また偉い人になって人を指図するように人々にも、
    「私」は全く関心をしめさなかったのです。
    これが仏教で言う無私なのでしょうか?

    この小説の文頭に、「未だ生を知らず 焉んぞ死を知らん」
    という孔子の言葉が掲げられています。
    勿論、どなたにもというわけにはまいりませんがお気にめされたらご一読ください。

    0
    2017年08月03日
  • 月山・鳥海山

    Posted by ブクログ

    オーディブルにて。
    庄内に行くにあたり聴きました。
    当時の月山がいかに俗世と離れていたかがよくわかった。人間が濃い。雪に閉ざされるとこうなるのか。私には耐えられない。

    0
    2026年04月04日
  • 月山・鳥海山

    Posted by ブクログ

    森敦さんといえば最高齢(62歳)で芥川賞を受賞したという印象、
    それは1974年のことで
    のちに(2013年)黒田夏子さんが75歳で受賞なさって記録が塗り替えられた
    そのことも話題になった

    すなわち、世に知られるのが遅いということである
    そのような作家の作品は奥深いかもしれない

    という期待を裏切らない、森敦さんの『月山』を初読みで
    なるほど、ストーリの内容としても文章としても味わい深いのであった

    枯淡かな思えば、この物語の主人公の年齢はまだ若いらしい

    「未だ生を知らず
    焉(いずく)んぞ死を知らん」

    などと扉に掲げて、実社会からの逃避して
    月山という奥深い雪山寺での極貧生活をやる

    なのに山の生活は
    生々しいような、霞がかかったような、にぎにぎしい有様

    ここもにも過去あり、現実あり、将来がある
    と言えば月並みのようだが

    導入文章に魅せられる​
    「ながく庄内平野を転々としながらも、
    わたしはその裏ともいうべき肘折(ひじおり)の渓谷にわけ入るまで、
    月山がなぜ月の山とよばれるかを知りませんでした。」
    ​
    もちろん、作者森敦さんが若い時に文才を認められつつもその後長らく放浪生活を
    おくっていた作家だとの印象があるからこそ、どんな?なぜゆえに?
    という興味が湧くので、いやましに期待するところもある

    『鳥海山』のほうも同様の漂白旅路の果ての決算のような物語で
    名文でありながら、遅れて再登場というキーワードが
    後押しにもなれば、でないと書けなかったのではないかという作品であった

    0
    2019年03月10日
  • 月山・鳥海山

    Posted by ブクログ

    東北の雪深い山の雰囲気に染まれる。芥川賞受賞の月山が特に人間模様などがあるので面白い。庄内セミナーの下調べに。

    0
    2018年09月02日
  • P+D BOOKS わが青春 わが放浪

    Posted by ブクログ

     森敦の放浪生活のいったんが書かれているとはいえ、やはり記憶に強く残っている物語が繰り返し語られることが多く、わけても作品ともなった月山での生活は特別なものだったようだ。すっかり荒廃した注連寺(ちゅうれんじ)で一冬過ごすことを決めたというのだが、雨戸も朽ちてぼろぼろでふすまと障子をたてて古い祈祷簿で蚊帳をつくりその中で過ごしたという。吹雪けば雪が吹き込んでくるかような様子だったようで、さながらサバイバル生活。

     そうかと思えば奈良での暮らしもなんどとなく描かれる。まるでコピーでもしたのかというくらいにほぼ同じ文章が長々と必ずついてまわることにちょっと感動を覚えるくらいだ。奈良公園からつらなる丘陵にあるという瑜伽山(ゆかやま)に暮らしたというのだが、その周辺の風景を描いた部分がまさに一言一句同じといえるような長々とした文章にもかかわらず毎度使われているのだったが、読むたびにそれは美しい風景であるなあと目の奥に想像するのだった。。

     そこで不思議な母娘らと出会って町の喫茶店に一緒にでかけたりするのだが、森のことを莫迦にしたような替え歌だったかを作って歌っていたというその娘とどういう縁でか結婚の約束をする。ところがそのまままた放浪にでてしまい 5 年あまりが経過。すでに母娘は事情あって故郷の秋田県酒田市に帰ってしまっているという。さっさといって一緒になりなさいとか周りにいわれて、いや自分はもともと結婚しないつもりなどなかったのだからとか思いつつ酒田へ向かったり。

     10 年働いては 10 年遊ぶのがどうやら自分にあっているのだといって奥さんもむしろそれを受け入れていて、仕事などしないであちこち放浪することを望んでいたり。そうはいっても金がなければというところで、どうしてもとなると友人・知人が口をきいてくれたりして、その縁でとある印刷会社に勤めているという。が、出勤するのは週に一日くらいらしく、出勤しても仕事しているのだろうか、という雰囲気ではあるのだった。

     印刷所の社長が放浪ばかりしていたということをかえって面白いと思い、働かなくてもいいからというような印象すら覚える。果ては住まいの心配までしてくれて、高台を紹介してくれそこに家をたて娘と暮らしている。はじめはアパート暮らしだったが、風呂もトイレも別。裏の竹やぶが風情があってよかったものを他の住民が暗くて邪魔なので撤去しろといったときにも、森がひとり反対し、やがては他の住民が転居し、手狭なことを理由に四部屋も森は借りることになるものの、それぞれに敷金・礼金やら必要でそれは無駄であろうと家を建てることになったとか。

     なんとも荒唐無稽というか、自由奔放というか、まるでそうしたことについて苦にも思っていないという森が不思議でもあり、頼もしくもあり、うらやましくもあり。

     まだ若いころの壇一雄や、横光利一や、菊池寛や、太宰治やといった著名なそうそうたる文人との交流の片りんなどもあちこちにあって、それが実にさりげなく、なんというか時代というものを感じたりする。

     森敦。実に不思議な、そしてしわせな人だなとあらためて思ったのだった。次はほかの作品も読んでみなくてはと切実に思った。「月山」はやはり読まなくてはなと。

    余談:
     ペーパーバックということで 600 円という値段はこの時代に破格。昔は文庫も新書ももっともっとずっと安かった。時代とはいえこのくらいの値段で読める環境こそ本には必要なのではなかろうかとも。欲を言えばもう 1 ポイントほど文字サイズが大きければとは。

    0
    2016年08月08日

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