松浪信三郎の作品一覧
「松浪信三郎」の「実存主義」「ワイド版世界の大思想」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「松浪信三郎」の「実存主義」「ワイド版世界の大思想」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
ビジネス・実用
最も分かりやすい入門書
本書は、恐らくですが、実存主義の入門書としては、日本で一番分かり易い。
哲学に関して全くの素人の私でも、内容が理解できた。
本書は、西洋哲学全般の歴史、哲学がどういった経緯で発展して来たのかを語りつつ、徐々に実存哲学の時代にまで読者を導いてくれる構成になっています。
又、実存哲学を理解する際に初心者がぶち当たるであろう特別な用語についての解説も丁寧かつ平易であり、
例えばハイデッガーの「現存在」の「現」の部分が持つ特別な意味や、サルトルの「対自存在、即時存在」の概念の解説が丁寧。
ただ、サルトルが述べている「実存は本質に先立つ」と言う観念は、本書の解説を読んでも今一つよく解らなかった。
本質より前に実存が先にあると言われても、だからどうなんだ?、と思ってしまう。
これは本書のせいと言うより、実存哲学(正確にはサルトルの唱える実存哲学)が内包する根本的な問題なのかも知れない。
Posted by ブクログ
パスカル、キェルケゴール、ニーチェ、ドストエフスキー、ハイデガー、ヤスパース、サルトル。彼らは実存主義と一括りにするには、各々があまりにも尖り過ぎているし、本人達も不本意ではあるだろうが、思想の影響と系譜は見え隠れするし、共通するテーマが皆無なわけではない。事物とも道具とも違う人間としての現実存在、その特殊な在り方を実存と著者は述べる
実存主義はその性質上、定義、グルーピング、体系化が困難なのもあってか、入門書を調べても中々見つからず、大抵はサルトルの著書にぶち当たる。そんな中、本書は1962年に出版されたものであり、岩波書店が近年復刻したものを入手。実存主義の定義、系譜が、著者を含む同時代の研究者達の意見に基づき整理されているし、現代人が円滑に読める表現で書かれているので、まさに求めていたものだった。興味がある方は「実存主義の樹」で調べると面白いと思う。異論を挟みたくなる人もいるだろうが、私は好きだ
実存主義者と評された哲学者達は、理性主義、普遍的な真理、絶対精神などを強く批判しているが、彼ら自身もヒト特有の在り方を他存在者と差別化し特別扱いしてると感じた。更に、非本来性と本来性、即自と対自、などの概念には啓蒙主義的な面も見え隠れする。理論としては納得も共感も強くするが、ルサンチマン、ダスマン、頽落、自己欺瞞という表現は、あくまで自戒の為に使い、他者や大衆に向けて投げ掛けるようなことがないように注意したい。マルクス、構造主義、精神分析も学びバランスを取りたいところ
余談だが、私は著者の没後一年後に生まれ、彼がかつて教授を務めた早大へ入学し卒業した。そして出版後60年経った現在となって彼に多くを学んだという体験は、ある種の感慨深さと哲学の強力なクラシックさを感じた
Posted by ブクログ
本文164ページのごく短い書物でありながら、哲学解説書ではなく哲学書と呼びうる重厚さを備えた本格派の新書。
まず、1962年発行ということもあり文章が非常に格調高い。実存主義者らしいロマンチックでいて切実な言葉運びは、読み進めるには大変だがこれぞ思想、という趣を感じさせる。
また内容の面でも、著者の評価や考えが積極的に表明され、ある種の「実存主義史観」が形作られている。実存を限られたエリートの特権と捉えるハイデガーを著者は批判し、実存をあらゆる人間の主体的な在り方と広く捉えるサルトルを称揚する。このあたりは教科書的な記述と異なって楽しく読めた。
実存主義にはキリスト教的実存主義と無神論的実存主義の2分類があるというが、この両者の間に非常な隔たりがあることがわかった。
キルケゴール、ハイデガー、ヤスパースなど前者に属する哲学者の思想は、乱暴に言えば、人間が存在する理由を問われて「神が人間を作ったから」と答えるようなものだろう。非クリスチャンの私には共感しがたい感覚だし、飲み込んだところではいそうですか、で終わってしまう。内に閉じた思想という印象で、あまり魅力的には映らなかった。
一方の無神論的実存主義は、神すなわち根源的な究極の存在を否定する。むしろ人間は本来的に自由な存在であり、自分の選択に責任を持ちつつ積極的に「まだ見ぬ自分」への挑戦を続けるのが人生だと説く。こちらはむしろ、今日では手垢まみれのあまりに聴き慣れた言説になってしまっている。
思うに実存主義は目新しい大発見という類いのものではなく、ギリシアの時代から何度となく繰り返されて来た終わりのない「人間とは何か」という議論の、比較的新しい潮流ぐらいに思っておくのが丁度いいのだろう。
つまらなかったという訳ではないがあまりに穏当な結論で拍子抜けの気分。教養の道は険しい。