「近々我が家でもお食事会をする予定があるの。家にも来てこういうご馳走、つくってくれる?」
フミコの出張料理人としてのスタートは、近所のおばちゃん同士のような約束が出発点となる。ただしフミコはパリの一流レストランで3年も修行を積んだ腕を持ち、お食事会を開くのは上流階級のセレブたちだ。フミコが手掛ける料
...続きを読む理の味は人々を虜にするのに時間はかからなかった。瞬く間に大人気となり、必要にせまられ、有限会社を設立する。口コミで始めた出張料理人は、気が付けば個人邸宅でのシラク元(仏)大統領夫人を囲んでのランチ会の依頼を受けるまでになっていた。
高級料理を中心に話が進む為、洗練された上流階級の香りが漂う一冊ではあるが、彼女のプロの料理人としての料理へ向き合う姿勢は学ぶべきポイントがいくつもあり、珍事件続出の面白ネタも満載だ。出張料理人は、完璧な料理を出すこと以外にも様々な目的があるのではと暗中模索し、「五感」を使って料理を探究し続けるフミコ。是非、彼女の作る「ミロのスープ」を味わってみたいものだ。