狐野扶実子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「出張料理人」というお仕事は、究極の実力主義のビジネスなんだとビックリしました。
読む前は、料理の出来よりも、どちらかというと女性シェフ本人のおしゃれさや美しさ、素材の値段の高さや珍しさが取り柄の、ファッションモデルの亜流のような世界かと勝手に誤解していました。
もしかしたら日本国内の非常に限られたコミュニティの中ではそれでも通用するかもしれませんが、この著者のいる舞台では実力がすべて。ゲストや依頼主に「驚き」と「喜び」を与えて初めて次の仕事が来る、という世界です。
一度でも失敗したら二度と呼ばれないであろうことは読んでいてひしひしと感じられ、実際の仕事の場面では読んでいる私まで緊張しました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレパリ駐在員のパートナーを持ち、料理教室に通うというのはよく聞くような「外国で学んできました料理研究家の女性」の経歴かと思えば、そんなヌルいものではなかった。コルドンブルーでなぜ食材をこのように切るのか?と考えていると手順が遅くなる、そこはアメリカ人の同期から早い作業の必要性も学ぶ、さらにパリのレストラン、アルページュに掃除係としてもぐりこみ、パイナップルのロースト(とても手がかかる)を成功させデザート係に、というところからですよ、この穏やかな語り口からは想像できないほどの情熱、まず最初に掃除の仕事から入るという、衛生を求められる調理場は、汚れているのは目ではなく匂いで判断されるというのに、目か
-
Posted by ブクログ
ネタバレ「近々我が家でもお食事会をする予定があるの。家にも来てこういうご馳走、つくってくれる?」
フミコの出張料理人としてのスタートは、近所のおばちゃん同士のような約束が出発点となる。ただしフミコはパリの一流レストランで3年も修行を積んだ腕を持ち、お食事会を開くのは上流階級のセレブたちだ。フミコが手掛ける料理の味は人々を虜にするのに時間はかからなかった。瞬く間に大人気となり、必要にせまられ、有限会社を設立する。口コミで始めた出張料理人は、気が付けば個人邸宅でのシラク元(仏)大統領夫人を囲んでのランチ会の依頼を受けるまでになっていた。
高級料理を中心に話が進む為、洗練された上流階級の香りが漂う一冊ではあ -
Posted by ブクログ
フランスの名店でスー・シェフまで務めた著者は、友人の家で料理を作ったことから口コミで顧客の輪が広がり、出張料理人となる。「五感を使って食材と対話する」ことを信条に、どこでもどんな時でも創意にあふれた料理を作って喜びと感動を届ける、出張シェフの奮闘記。
タイトルに「世界」と付いているが、基本はフランス国内、依頼さえあればどの国へも飛んでいく、というスタイルのようだ。エッセイもほとんどがフランス国内での話だった。
ホームパーティや自宅での食事会で一流の腕をふるうのが著者の仕事であるが、家での食事会で外から料理人を呼ぶ、ということからわかるように、著者のクライアントは一定以上の生活水準にある人ばか