細川亮一の作品一覧
「細川亮一」の「アインシュタイン 物理学と形而上学」「意味・真理・場所 ハイデガーの思惟の道」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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ビジネス・実用
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Posted by ブクログ
本書の目的は、「ハイデガー哲学が動いている問題地平を明らかにすること」だとされる。そのため、ハイデガー哲学はいわゆる実存哲学ではなく、プラトン・アリストテレスによる存在への問いを改めて立てる西洋哲学の嫡子であることを導きの糸として、ハイデガーの思考がどのような問題に関わっているのかが詳細に論じられる。主たる分析対象は『存在と時間』であるが、その論点を逐一検討していくのではなく、ハイデガーがプラトン・アリストテレスの哲学をどのように解釈し、そこから何を得たのか、同時代のウィトゲンシュタインの哲学と実は形而上学の次元において交錯していることなどが主張される。「入門」と題され、しかもハイデガー哲学への導入の役目を果たせば「入門」は不要だと言い切る本書であるが、哲学史上の様々な問題群と関わるハイデガー哲学をいかなる視座のもと理解するべきかについて、極めて明快な解答を与えているように思われる。
Posted by ブクログ
ハイデガー哲学への本格的入門書。実存哲学や現代思想、あるいは禅仏教などの枠組みを持ち込んでハイデガーを理解したつもりになることを、著者は厳しく退け、ハイデガーをハイデガー自身から理解することへと読者をいざなう。硬派で良質の入門書。
著者は、「それへ向けてのそれ」(Woraufhin)というハイデガーの言葉が果たす役割に注目することで、『存在と時間』の内容を捉え返している。
ソクラテスは美のイデアを、「それへと目を向けながら、あるものが美しい、美しくないと、私が語るそれ」と捉えていた。要するに、美という視点を設定して、そこから存在者を理解するということだ。著者は、ハイデガーの「存在への問い」にも、これと同様の問題構成が見られるという。すなわち、「そこから存在が存在として理解される企投のWoraufhin」をハイデガーは問うているのであり、その答えを、時間に見いだしたのである。時間が「存在理解一般の可能な地平」だというのは、こうした事態を意味している。
以上のようなハイデガーの問題設定は、プラトン、アリストテレス依頼の形而上学の問いの反復になっている。アリストテレスは、「存在者は多様に語られる、しかし一なるものへ向けて」と述べた。ハイデガーはこの「一なるもの」が時間に他ならないと考えた。またプラトンは、洞窟の比喩の中で、イデアに光を与える太陽に善のイデアを比していた。ハイデガーはこの関係を、「存在の理解に対して根源的に光を与えるものは善のイデアである」と言い表わす。そして、彼はプラトンのこうした問題構成を引き継ぎながら、永遠普遍のイデアに代えて「存在は時間から理解される」と述べる。著者はここに、ハイデガーのプラトンに対する批判的対決を見ようとしている。