細川亮一のレビュー一覧
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本書の目的は、「ハイデガー哲学が動いている問題地平を明らかにすること」だとされる。そのため、ハイデガー哲学はいわゆる実存哲学ではなく、プラトン・アリストテレスによる存在への問いを改めて立てる西洋哲学の嫡子であることを導きの糸として、ハイデガーの思考がどのような問題に関わっているのかが詳細に論じられる。主たる分析対象は『存在と時間』であるが、その論点を逐一検討していくのではなく、ハイデガーがプラトン・アリストテレスの哲学をどのように解釈し、そこから何を得たのか、同時代のウィトゲンシュタインの哲学と実は形而上学の次元において交錯していることなどが主張される。「入門」と題され、しかもハイデガー哲学へ
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ハイデガー哲学への本格的入門書。実存哲学や現代思想、あるいは禅仏教などの枠組みを持ち込んでハイデガーを理解したつもりになることを、著者は厳しく退け、ハイデガーをハイデガー自身から理解することへと読者をいざなう。硬派で良質の入門書。
著者は、「それへ向けてのそれ」(Woraufhin)というハイデガーの言葉が果たす役割に注目することで、『存在と時間』の内容を捉え返している。
ソクラテスは美のイデアを、「それへと目を向けながら、あるものが美しい、美しくないと、私が語るそれ」と捉えていた。要するに、美という視点を設定して、そこから存在者を理解するということだ。著者は、ハイデガーの「存在への問い」 -
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[ 内容 ]
二〇世紀哲学における最大の巨人ハイデガー。
半世紀以上にわたり、彼の思想があらゆる知の領域に及ぼしてきた圧倒的な影響はいうまでもない。
大いなる成功と絶望的な無理解の断層に屹立する今世紀最も重要な哲学書『存在と時間』。
その本当の狙いとは何か?本書は、難解といわれるハイデガーの思考の核心を読み解き、プラトン、アリストテレス以来西洋哲学が探究しつづけた「存在への問い」に迫るとともに、彼が哲学者としてナチズムのなかに見たものの深層に光をあてる。
ハイデガー哲学の魅力の源泉を理解するための一冊。
[ 目次 ]
序章 『存在と時間』とは何か
第1章 存在への問い
第2章 存在の意味への -
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20世紀に活躍した哲学者ハイデガーの主著
『存在と時間』を中心に、
本入門書の著者の言葉通り、
「ハイデガー哲学が動いている問題地平を
明らかにすることを目的にしている」本になっています。
原語でハイデガーを読む人のための入門書という位置づけのため、
本書では、中身の解釈にまでは立ちいっていません。
「哲学」というもの自体、
頭を使うもので、難しくて、
なかなかとっつきにくいものだったりしますが、
そんな「哲学」のなかでも、
ハイデガー哲学はとりわけ難解な部類に位置付けられる「哲学」だそうです。
なので、本書自体も難しいです。
『存在と時間』にあたるための外堀を埋めていくにしても、
古代ギ -
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ネタバレ正直自分の頭ではこの本は入門ではなかった。難解。ハイデガー入門といいながらも、ニーチェやプラトン、アリストテレス、ヴィトゲンシュタインなどの思想も説明してくれている。しかし難解ww
ハイデガーを実存哲学ととらえつつも、アリストテレスから続く西洋哲学の歴史の流れの中でハイデガーの「存在と時間」について説明している。
存在とはなにかを考えさせられた。
「美」と「美しいもの」は「存在」と「存在者」の存在であり、存在は存在者を規定するものであるし存在者はそれにむけて理解するテーゼであるという理論は納得できた。
うん、全体的に難しかった -
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ハイデッガーの事を勉強しようと思って初めて読んだ本が難しすぎて、2冊目に読んだ本です。
この本は文庫だけあってものすごく読みやすかったです。
ハイデッガーの主張を筆者の言葉で言い換えてあり、理解が比較的容易に出来ました。
しかし、わかりやすさ故の物足りなさを感じる面もありました。
例えば原典の引用が全体的に少なかったような印象があります。
やはり原典に基づいているという確信が持てなかったので物足りなさがありました。
また、この本では時間と存在については結構詳しく分かりやすく触れられているけれど、詩作・思索についてなどはあまり触れていないのかなーと感じました。
この本はハイデッガーの主張