花咲家シリーズ作品一覧
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4.4鍵盤に手を置くと指が自然とメロディーを奏でる。弾けないはずのピアノなのに、まるで魔法のように。そして桂は思い出す。会えないはずの少女に会った記憶を(「別れの曲」)。かすみ草を使って優しいお見舞いの花束をつくる木太郎。届け先は老いたパティシエがひとり住まう家。彼には遠い日に亡くした愛娘がいた(「火車」)。哀切で愛らしく、ほのかに怖い短篇集。
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4.3つかの間千草苑を離れ、亡き妻との思い出のある地へと旅立つ祖父の木太郎(もくたろう)。黄昏時、波打ち際に佇(たたず)む彼に囁きかけるものは(「浜辺にて」)。若さ故の迷いから、将来を見失ったりら子が、古い楠の群れに守られた山で、奇妙な運命を辿った親戚と出会う(「鎮守の森」)。ひとと花、植物たちの思いが交錯する物語。花咲家のひとびとが存在するとき、そこに優しい奇跡が起きる。書下し連作短篇全六話。