有限会社白澤社作品一覧

  • 「慰安婦」問題の本質 公娼制度と日本人「慰安婦」の不可視化
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    1巻1,980円 (税込)
    近代公娼制度以降の女性の性をめぐる歴史の視点から、日本人「慰安婦」が不可視化されることの本質を問う。 反「慰安婦」キャンペーンなどが高じて、「慰安婦」問題は全て虚偽だと決めつけるような声が大きい。近現代史研究家であり、フィリピンの元「慰安婦」女性の体験記録にもたずさわった著者が、「慰安婦」問題を否定する言動の誤謬と、対抗言説の陥穽を鋭く指摘。近代公娼制度以降の女性の性をめぐる歴史の視点から、なぜ日本人「慰安婦」は一人も名乗り出ないのかに焦点をあて、問題の本質に迫る。 【目次】 第一部 性暴力問題をみる視点 第1章 女性史からみた「慰安婦」問題 第2章 日本人「慰安婦」を不可視にするもの──女性国際戦犯法廷に参加して 第3章 被差別部落と買売春 第二部 なぜ「慰安婦」問題を解決できないのか 第1章 日本軍「慰安婦」被害者金学順さん証言から二〇年 第2章 現代の軍事性暴力と「慰安婦」問題 第3章 日米軍事同盟が生み出した性売買をどう考えるのか 第4章 日本軍「慰安所」を作り出した性の歴史 【著者】 藤目ゆき 大阪大学大学院人間科学研究科教授。日本近現代史、女性史専攻。アジア現代女性史研究会代表。 主な著書に、『性の歴史学──公娼制度・堕胎罪体制から売春防止法・優生保護法体制へ』(不二出版、1997年度山川菊栄記念賞受賞)、『女性史からみた岩国米軍基地──広島湾の軍事化と性暴力』(ひろしま女性学研究所)、『日本社会とジェンダー』(共著、三宅義子編、明石書店)、『占領軍被害の研究』(六花出版)など多数。訳書に『ある日本軍「慰安婦」の回想──フィリピン現代史を生きて』(ヘンソン著、岩波書店)など。
  • カントの政治哲学入門
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    自由・正義・共和主義・平和 時代に先駆けたカントの発想をわかりやすく解説 現代においても重要な理念である、自由権、正義と国家、共和主義、国際法と平和について、時代に先駆けたカントの発想をわかりやすく解説する清新な入門書。 政治における理念の重要さを語り続けたカントの政治哲学の全体像を、『人倫の形而上学・法論』を軸として、最新の研究成果にもとづき描き出すとともに、歴史的文脈に照らしてカントの著作を読み解き、その現代的意義を説く。 【目次】 第一章 自由の権利:法のもとでの自由とは何か 第二章 社会契約論:国家の設立は義務である 第三章 共和主義の理念と制度 第四章 永遠平和のために:国際法と世界市民法 【著者】 網谷壮介 1987年大阪府生まれ。京都大学経済学部卒、東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程修了。博士(学術)。獨協大学法学部専任講師。 主著に『共和制の理念──イマヌエル・カントと18世紀末プロイセンの「理論と実践」論争』(法政大学出版局、2018年)。
  • マイナンバーから改憲へ 国会で50年間どう議論されたか
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    1巻1,430円 (税込)
    マイナンバー制度ってよくよく調べてみると自民党の改憲案と、とてもよく似ているんだよねという話、その他 健康保険証を皮切りに様々な個人情報が紐付けられようとしているマイナカード。だが、問題の本質はカードとしての利便性ではない。マイナンバー制度によって変化する社会や国家なのだ、と著者は指摘する。 本書は、国民総背番号制度が浮上した1970年代からマイナンバーカードにいたる50年間の国会審議を概観しながら、マイナンバー制度が社会にもたらす重大な変化を予見する。 【目次】 序 「ショッカーの野望」は何であったか 1 国民総背番号制度は財界の要請と北米の「外圧」で始まった 2 国民総背番号制からマイナンバーへ:国会審議の行方 3 スーパーシティというディストピア さいごに 改憲案とマイナンバー 【著者】 大塚英志 1958年生まれ。まんが原作者・批評家。 まんが原作に『多重人格探偵サイコ』(田島昭宇作画、角川書店)、『東京オルタナティブ』(西川聖蘭作画、同前)ほか多数。 批評家としては代表作に『定本 物語消費論』(角川文庫)、戦時下のメディア表現を論じた三部作『大政翼賛会のメディアミックス』(平凡社)、『「暮し」のファシズム』(筑摩選書)、『大東亜共栄圏のクールジャパン』(集英社新書)など。憲法関連書に『私たちの書く憲法前文』(KADOKAWA)がある。
  • 非戦と仏教 「批判原理としての浄土」からの問い
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    支配イデオロギーとしての宗教から解放の宗教へ。非戦・非暴力の視点から、釈迦、親鸞の思想を捉え直す。 「殺してはならぬ、殺させてはならぬ」(『ダンマパダ』)を教義の一つとする仏教は、非戦・非暴力の宗教のように見えながら、実際には過去に戦争を賛美し殺し合いを強いてきた。戦争・紛争の止まない現代にあって、仏教は暴力を防ぐことはできないのか。非戦・非暴力の視点から、釈迦、親鸞の思想を捉え直すとともに、今村仁司『清沢満之の思想』を題材に、清沢の思想と今村の暴力論を批判的に検証する。 【目次】 第1章 近代ヒューマニズムと暴力 第2章 仏教は「苦しみ」からの解放をもたらすか──「解放仏教」試論 第3章 近代の日本と仏教思想──真宗大谷派の「近代教学」再検討 第4章 仏教は暴力を防げるのか──今村仁司『清沢満之の思想』を読む 【著者】 菱木政晴 宗教学者、真宗大谷派僧侶、元同朋大学特任教授。長年にわたり真宗大谷派の戦争責任を追及すると同時に平和と人権の市民運動に関わる。著書に、『浄土真宗の戦争責任』(岩波ブックレット)、『解放の宗教へ』(緑風出版)、『ただ念仏して──親鸞・法然からの励まし』、『極楽の人数──高木顕明『余が社会主義』を読む』、『平和と平等の浄土論──真宗伝統教学再考』(以上、白澤社)など。共著に『殉教と殉国と信仰と──死者をたたえるのは誰のためか』(白澤社)。翻訳書に、ホワイトヘッド『観念の冒険』(松嶺社)など。
  • シティズンシップの政治学[増補版] 国民・国家主義批判
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    1巻2,475円 (税込)
    個人の尊厳を尊重する「国家」とは。フェミニズム・シティズンシップ論、ケア倫理へとその可能性を展開する 過去のシティズンシップ(市民権)論、主にリベラリズムの議論を批判的に再検討しながら、「平等で自由な人格」がよりよく尊重されるための新たな理念を構想する。いかなる者の視点をも排除しない可能性を秘めたフェミニズム・シティズンシップの議論につづき、ケアの倫理と新たな責任の理論を展開。 定評ある「シティズンシップ」論の入門書、ケア倫理の第一人者となった著者によるケア倫理への模索の書でもある。 【目次】 序 章 「平等で自由な人格」の尊重からの出発 第1章 シティズンシップと国民国家 第2章 現代リベラリズムとシティズンシップ 第3章 リベラル・シティズンシップへの批判 第4章 フェミニズム・シティズンシップ論へ 第5章 シティズンシップ論再考──責任論の観点から 【著者】 岡野八代 同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科教授。専門は、西洋政治思想、フェミニズム理論。 主な著書に、『フェミニズムの政治学──ケアの倫理をグローバル社会へ』(みすず書房)、『ケアするのは誰か?──新しい民主主義のかたちへ』(トロントとの共著、白澤社)、『ケアの倫理──フェミニズムの政治思想』(岩波新書)など。 訳書にキテイ『愛の労働あるいは依存とケアの正義論〔新装版〕』(共監訳、白澤社)、ケア・コレクティヴ『ケア宣言──相互依存の政治へ』(共訳、大月書店)など。
  • よい教育とはなにか 倫理・政治・民主主義
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    よい教育とはなにかを問い、測定と成果主義にもとづく学力幻想から離れ教育の民主主義的展開へと誘う教育論 学力調査結果に注目が集まる成果主義時代のいま、「よい教育とはなにか」という最も中心的な問いを置き去りにしていないだろうか、と教育学者ビースタは問う。日本の教育の民主主義的発展に重要な示唆を与える、教育関係者必読の書。 【目次】 はじめに──教育における目的の問題について 第1章 教育は何のためにあるのか? 第2章 エビデンスに基づいた教育──科学と民主主義のはざま 第3章 教育──説明責任と応答責任のはざま 第4章 中断の教育学 第5章 デューイ以降の民主主義と教育 第6章 教育、民主主義そして包摂の問題 おわりに──「学習の(諸)目的」 【著者】 ガート・ビースタ 1957年、オランダ生まれ。ライデン大学で学位取得後、イギリス、オランダ、ルクセンブルク、ノルウェー等で教授を歴任、現在、アイルランド・メイヌース大学公教育・教育学センターほか教授。主著にBeyond Learning(Paradigm Publishers)など。邦訳された著書に『民主主義を学習する――教育・生涯学習・シティズンシップ』(勁草書房、2014)、『教えることの再発見』(東京大学出版会、2018)、『教育にこだわるということ──学校と社会をつなぎ直す』(同、2021)など。 藤井 啓之 日本福祉大学教授。専門は、教育方法学(生活指導論、道徳教育論、ドイツの暴力防止教育など)。 玉木 博章 中京大学、愛知県立総合看護専門学校ほか非常勤講師。専門は、生活指導論、若者文化論など。

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