葉山千世作品一覧
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4.0駆け出し絵本作家の小鳥遊つぐみは「耳付き症」と呼ばれる、ポメラニアンの耳と尻尾が突然生える疾患を抱えながら作家とカフェ店員、二足のわらじを履いている。 「耳付き症」には患者の体に犬のような耳と尻尾、そして【発情期】という本能が芽生える症状がありどんな人間にも発情してしまうため、世間の目は冷たい。 だが担当編集の白石は、つぐみが「耳付き症」だと知りながらデビューから今までずっと面倒を見てくれて、その優しさにいつしか恋心が芽生えていた。 次の二冊目に向けてアイデアを練っていたある日、つぐみの住んでいたアパートが「耳付き症NG」となり家を追い出されることが決まってしまう。困り果てて途方に暮れていた時、白石から「次の家が決まるまでマンションの一室を貸す代わりに、耳付き症の甥の子育てに力を貸してほしい」と提案されて…!?
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3.3【イラスト付き】 大学生の市村玻璃は幼少期に両親を亡くして以来、ジュエリーデザイナーの叔母・真珠と暮らしながら父が専攻していた結晶学の研究をしている。そんな玻璃は触れた石の記憶や個性といったものが分かる、という能力があるが役に立つことは少なく、しいて言えば真珠の誕生日プレゼントを探している最中に、傷一つない不思議な水晶のネックレスを見つけたことだけ。人と関わることにトラウマのある玻璃は、真珠以外にその能力のことを打ち明けたことがなかった。しかしある日の研究中謎の事故に巻き込まれてしまい、異世界に転移した玻璃は金髪碧眼の美青年に介抱される。倒れていた自分を世話してくれた青年はスヴェンという名の、異世界の国・ルウミの王子であった。彼は玻璃の持つ水晶がこの国で生まれたもので、玻璃はその水晶によって呼ばれた特別な存在だという。言葉も通じない自分を助けてくれたスヴェンのため、玻璃は彼に力を貸すことになり…? 電子限定書き下ろしSSを収録!!
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3.0
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3.0中堅ゼネコンで調達の仕事に就いている健太には、高校時代ともに弓道部で切磋琢磨しあってきた親友の律がいる。二人の故郷は東京から少し離れた地方都市。律はその地元の母校で高校教師をしている。別々の大学に進んで卒業後再会してから早五年、今では健太が仕事の関係で地元を訪れるたび一人暮らしの律の部屋に泊めてもらう仲だ。そんな健太の心の奥には律への秘めた恋情があった。東京の大学へ進んだのも自分の思いを断ち切るため。だが離れても時が経ってもその恋情は消えることはなく、ギリギリの状態で今の距離感を保っている。一方、律も高校の頃から健太のことが好きだった。もともと男性に惹かれる傾向のあった律にとって、健太への気持ちは友情ではなく肉欲こみの生々しい恋情…だが、保守的な田舎町でしかも高校教師という立場ゆえ、その気持ちを健太に知られるのが怖かった。燻り続けるそれぞれの恋情がある日、ささいなきっかけで暴走を始める…。
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3.0【イラスト付き】竜と人間が共存するユミルナ国で、エイノは竜騎士団長であるアレクシの屋敷で十八年間暮らしている。十八年前に起きた“神殿の悲劇”の日、神殿があったフレイ山に赤ん坊だったエイノが捨てられていたのを、そこに向かったアレクシが見つけて引き取ったのだ。それ以来、忙しいにも関わらずエイノのことをいつも気にかけて甘やかしてくれる彼のやさしさに、いつしか主人への尊敬以上の特別な想いを抱いてしまい、そのことに悩みながら毎日を過ごしていた。 そんな中迎えたエイノの十八歳の誕生日に、突然高熱を出して倒れてしまい――!? 電子限定書き下ろしSSを収録!!
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2.7
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2.5すべてが中央管理局のシステムによって振り分けられている世界――そこでは個人の能力や政府への貢献度によって住む場所が分かれ、結婚相手までもシステムが自動でマッチングしてくれる。食品会社に勤めるカナメは適齢期とされる25歳を迎えマッチング申請をしたのだが、その日、システムが選んだ相手として現れたのはユウゴという同い年の男性だった。同性愛者ではないカナメは困惑するが「間違いではない」という管理局からの命令に逆らうことはできず、マッチングの適否をうかがうために一か月の間、ユウゴと同居する羽目になってしまう。保育士をしているというユウゴは大柄でおっとりとした優しげな青年。彼との会話は思いの外楽しくて…だが楽しければ楽しいほどカナメの中で苛立ちが募り、仕事の忙しさも相まってつい八つ当たりのような言動をとってしまうのだった。そんなある晩、飲みなれない酒を口にして酔ってしまったカナメは……。
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-その美しさと確かな剣技から“白銀の騎士”と謳われる王立騎士団副団長のセリルは、一年前に事故で亡くした恋人を今でも忘れられないでいる。 〈第二の性〉として、Subとして満たされることは少なかったけれど、恋人として確かに愛されていたから…。 そんなある日、セリルは騎士団が主導する建国祭で忙しない騎士団長から『王弟殿下へのお遣い』を頼まれる。裏方仕事が多くほとんど表舞台に出てこない王弟殿下・レオンハルトは、王立図書館の館長として図書館に入り浸っている変わり者…と噂される人物。だがなんと、彼はかつてのセリルの恋人と瓜二つの姿をした、最高ランクのDomだった。彼はかつての恋人とは違う形で、セリルの心を満たしていって…?