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3.7大学院でサルトルを学ぶ中条珠絵は、亡き祖母と母と暮らした一軒家で一人暮らしを続けていた。生後すぐに母は離婚し、父とは二十数年会っていなかったが、ある日、伯父から再会を勧められる。迷った末に銀座のバーで出会うが、なりゆきから娘と名乗らないままに食事を重ね、恋愛にも似た感情を覚える。自身の結婚を機に、改めて父娘としての再会を果たすも、家族であれば持っているはずの共通の思い出がないことに気づく。郷里への旅や父の闘病を経て、ようやくたどり着いた父娘の在り方とは――。父娘がお互いを家族とふたたび認める(ルコネサンス)までの軌跡を描いた著者の自伝的フィクション。
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-心潤す、舞台、映画、美術展の愉しみ方 作品は本来、自由に見ていいものだと思う。「自由に見る」とはどういうことかを考えて、それは要するに「絵を見ない」ことだという極論にたどり着いた。 たとえば、美術展に行く楽しみを、筆者はこのように述べています。巷に存在する、知識や批判をちりばめた評論とはまったく違う、筆者ならではの感動の解釈がそこかしこにちりばめられています。そこからみえてくるのは、決して自分の意見を押しつけるでもなく、批判はまったくなく、ただただ筆者本人が愉しみ、感動をしている姿。すると、舞台、映画、美術展…それぞれの作品の魅力が、かえって色鮮やかに浮かんできます。「今度、舞台に行ってみようかな」「映画久しぶりに観に行きたいな」、そんな気持ちに、自然にさせてくれるのです。 そして、ただ過ごしている毎日も、こんな感動がすぐ近くにあり、そしてそれを愉しむ心を持てば、とても素敵なきらきらしたものになる… そんな生き方へのメッセージともなって、じんわりと心が癒される作品となっています。