彩さんのレビュー一覧
-
身体と幸せはつながっているらい
健斗は失業中。花粉症もひどくて心の状態も最悪だった彼はふとしたことで自分の体を追い込むことから心にエネルギーがみなぎる経験をする。体についての知識を持ち、鍛えていくことが人生を切り開くことに繋がる、という作者の信念が伝わってくる。
でもどんなに健斗がこの先身体を鍛えていっても、いつの日か身体は祖父の様に老いるだろう。身体の調子が悪い、何も人の役にたてない、そんな老人期の長い時間をどうやって耐えていくべきなのだろう。
家族の介護って大変だ。健人も、健人の祖父にに毒づきながらも健人の母も、結局やることすごくよくやっ
「確かに卑屈はひとをイラつかせる」みたいな言葉がどこかにあったな。慰められることを期待した自虐の言葉って面倒臭いし。
ちなみに健斗が祖父の性欲を目撃して強い嫌悪感を抱くところには反発を覚えた。健斗自身が性欲の重要性を認識して、性欲全開で生きていながら、これはおかしいと思った。性は人間の一番深い、一番長く続くエネルギーの源ではないか。健斗も老人の性にたいする日本人的な偏見に強く囚われている。
健斗の亜美との付き合いには心の交流の描写がない。会った。ホテルに直行した。食事はどんなところでした等々。これでは亜美に遠ざけられても仕方がない。
性とは、性と人格の絡みとは、老人の生きがいを性や対人関係から模索していけないだろうか、そんな色々な事を考えさせてくれる本だった。