• まほり 上
    購入済み

    細かいところが気になる作品

    全体として、シナリオはよく練られている。
    が、細かいところで引っかかる点が多すぎる。

    まず、あまりにもアカデミックな視点からしか物語を見ていないとでも言えばいいのか…ちょっと民俗学的知識のある人間なら序盤で思い至るような真相に、おそろしく迂遠な手続きの果てに到達する。
    物語ではなく学究的プロセスを描きたいかのよう。
    ドキュメンタリーなら面白く読める部分だが、物語として必要とは言い難い点も多く、主人公はこうした知識を披露するためだけに特定の発想に誘導されていると感じる。
    頭がいいとされているのだから、せめて一読者である私が思い至る程度のことには思い至ってほしかった。

    2点目。
    文章の癖というのはどんな作家にもあり、同じ表現が何度も繰り返されるのは常だ。問題はそれがことごとく、平易な語彙でない点。
    別に教養を要するような語彙があってもいいのだが、頻出すると悪目立ちして、読むリズムを阻害する。
    具体的には「あえかに」「連絡のある」「猖獗を極める」などだ。「連絡」はメールや電話の意ではない。

    それから、学術的なことを話しているときの精緻な台詞回しが、恋愛めいたものを書こうとしているシーンになると急速に瓦解する。
    現代の大学生として些か以上に不自然な言葉遣いや、少年漫画のラブコメヒロインでももう少しマシというくらいベタなリアクションは、正直ちゃちい。

    概して、タイトルと「蛇の目」というファクターだけでもう予想がついたオチから、何ら外れることはなかったが、それでも骨太で読ませる作品ではあった。
    もうちょっと作品のダイエットみたいな部分を心がけてもらえたら、他作品も読んでみようと思えたのだが。

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    2022年04月17日