• 別れの後の静かな午後
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    切なさという不思議な感覚

    彼の小説は、疲れ果てた時に飲む一杯のウイスキーによく似ている。心地よい倦怠感、そんな独特の感覚が読了した自分を包むのである。この小説は短編集であるが、全ての話が日常の切なさを切り取ったような形をしている。戻らぬ少年時代の思い出、疎遠になった友人の現状、死にゆく者が残したものなど、誰もが経験したであろう切なさが一冊に纏められている。日常生活に疲れ、心がくたびれてしまった、そんな方に読んでもらいたい一冊。

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    2013年08月26日