罪作りな一冊
元産総研の地質学者による書籍。
全編にわたって地理院地図のインドアワークの成果をもとに執筆している。地質学者であるのに地表の形態論が中心で第四紀の堆積物などの地質的な証拠の記載はほとんどなされていない。そして、谷地形を形成したのは、潮流とする新説を提唱しているが、その地形形成のプロセスについての記述もない。地味な分野を楽しいイラストや分かりやすい立体地図を用いた紙面構成で説明しようとする姿勢には好感は持てるが、事実誤認や矛盾点があまりにも多く、某地球物理学者のコメントにもあるように、私も一般大衆向けの罪作りな本だと思う。