科学的根拠がない
鉄分、タンパク質とうつ病の関係は複雑で多面的であり、これらの栄養素がうつ病の症状にどのような影響を及ぼすかについては、さまざまな研究によって明らかにされている。
鉄とうつ病
1.鉄欠乏とうつ病- 鉄欠乏は一般的にうつ病のリスク上昇と関連している。研究によると、鉄欠乏のある人、特に生殖年齢の女性は、鉄が十分にある人に比べて抑うつ症状の有病率が高いことが示されている。
この関連は、脳機能と神経伝達物質合成における鉄の役割によるものと考えられている。- 鉄欠乏性貧血(IDA)は抑うつ症状と関連しており、鉄の補給がこれらの症状を改善するケースもあることが示されている。
2.鉄過剰症とうつ病- 興味深いことに、体内の鉄濃度が高いことも、特に若年成人男性において、抑うつ症状の増加と関連している。
これは、活性酸素種(ROS)の発生と酸化ストレスによるものと考えられ、メンタルヘルスに悪影響を及ぼす可能性がある。
タンパク質とうつ病
1.タンパク質摂取とうつ病- タンパク質摂取とうつ病の関係は、摂取するタンパク質の種類と量に影響される。
いくつかの研究では、低タンパク質摂取はうつ病の発症確率が高いことと関連していることが示唆されているが、通常のタンパク質摂取はうつ病症状の軽減に役立つ可能性がある。
- 動物性タンパク質の摂取量が多いと、特に女性において、うつ病、不安、ストレスのリスクが高まる。これは、様々なアミノ酸の作用の違いや、動物性タンパク質に含まれる、
気分に影響を与える可能性のある他の化合物の存在によるものと考えられる。
2.牛乳や乳製品に含まれるようなトリプトファンを 多く含むタンパク質は、セロトニン合成に関与するた め、気分や認知に有益な影響を与える可能性がある。
トリプトファンは、気分の調節に重要な役割を果たす神経伝達物質であるセロトニンの前駆体である。
結論 鉄分もタンパク質も抑うつ症状に影響を与えるが、その影響は、個人の鉄分の状態、摂取したタンパク質の種類、年齢や性別などのその他の要因によって異なる。
鉄欠乏は一般的に抑うつ症状の増加と関連しており、一方、タンパク質が抑うつに及ぼす影響は、タンパク質の摂取源や摂取量によって異なる。因果関係を確立し、
そのメカニズムをよりよく理解するためには、さらなる研究、特にランダム化比較試験が必要である。