はなさんのレビュー一覧

構成が巧く再読し甲斐ある作品

初見で読んでからこっちなんとなく気が重くて読み返してなかったのですが、唐突に１年と３ヶ月ぶりに読み直してみました。
おそらく、初見では「終わり良ければ全て善し」と納得したような気がします。
過程がちょっと、当事者でないと本当の意味で理解はできないがつらさには共感してしまうというしんどさをはらんでいた印象が残っていたので。
ただ、再読してみると、主人公の繊細な機微と、それに触れた主要人物の描写が本当に秀逸だと再評価することになりました。(語彙に乏しく偉そうな言い方になってしまいましたが)

相手役の子が良くも悪くも達観しており、それが主人公にとっても読者にとってもひとつの救いになっていて、かとい...続きを読むってそれは一方通行ではなくて、それが良かった。
だからこそ最後に繋がったのだと思うと、心にじんわりと来たし、読後感もとても良い。からの、タイトルの意味に辿り着くという……。良い仕掛けでした。

これは必要な創を負いながらもその先にあった救いの話を読ませてもらったものだと思ってますが、描写はそこまでグロくないし感情の起伏描写も比較的に派手じゃないのであまり重く感じず読めました……２回目は。
なぜ初見ののちこんなに読まず嫌いしてたのかと不思議に思うぐらい。

ただただ、忘れた頃にまた読みたい、あまりにも優しくて「普通」に苦しむ、普通の男の子の話でした。

原作未読、アンソロで既知

アンソロも良かったですが、こちらもとっても良いです。
コミカライズなので仕方ないですが、話が飛ぶ……展開が早いというか、場面の切り取りのスライドを見ているような作りになっているのが難点ですね。アンソロなら割り切れますが、コミカライズのこの脚本の仕方なんとかならないのか。

一巻でアンソロの内容ほぼ描いていて、このあとどう続いていくのか楽しみです。
この２人についてはプラトニックな部分しか知らなかったので、その雰囲気を壊さず、和やかでありつつもBLみもある描き下ろしすごく良かった。
作画と画力の質が高く、満足度◎

安心安全、特大の胸キュン

『明日もきみに会いに行く』が大好きなので、こちらも単行本化をずっと待ち侘びてました。
相変わらず人物の顔面は良いし、胸キュンできる描写がうまいし、可愛いエロさだし、刺さらない訳がない。
熊雪ふるさんの、わざとらしくないじんわりと沁みる幸せの積み重ねを描いたような話が本当に好きです。
今作はコメディ色強めなのかな？と思ったけど、メリハリがあって良かったし、話の構成がうますぎる…読み応えありました。
主役２人以外の登場人物もあたたかく、安心して読めました。

斎さん顔面が強すぎる…好き

こちらの作品も擦り見ることになりそうです。
すごく楽しめました。

質と満足度の高いアンソロ

こんなに満足度の高いアンソロはなかなか無いです。
五作品とも画力も構成も演出も良く、一冊(一作品)完結型の商業BLと比べても遜色無いです。
(だいぶオブラートに包んで言ってます。こちらの作品をアゲる意味で)

溺愛(執着)というと、たまに不穏を差し込んでくる作家さんもいますが、こちらのアンソロにはそれが「ほぼ」無く……強いて言えば、一作品だけそんな対応する必要ある？という感想の作品はありますし、「異世界」と言いつつ転生モノ系のアンソロではないものの(良作品揃いなので気にしてなかったですが)、総合的に見てクオリティの高いポジティブな溺愛の詰め合わせに仕上がっており、楽しめました。

心が温かくなった良作

絵柄と攻、受の人柄が好みで、SNSでの試し読み後すぐに購入しました。
他の方のレビューですれ違いが、云々書かれていたのが若干の懸念ではあったのですが、試し読み時点での直感を信じて購入して良かったです。

基本的に読み手の心を(色んな意味で)傷付けたうえで最後に掬い上げる演出が好きではなく、何故ならそう言った話は不誠実な内容や、ご都合主義的なこじつけのすれ違いを描く押し付けがましい話が多いからなんですが、この作品はふたりの関係性を丁寧に描いたうえで、お互いが誠実・正直であろうとした結果のすれ違いなうえその回収の描写が愛情に溢れていて、納得感・満足感は今まで出会った作品の中でもトップクラスでした。...続きを読む
協力者が平和主義なのもよかったです（笑）
その後の描写も"幸せ"な空気感の伝わる良い作品でした。
起承転結の構成が完成されていて、描写や台詞回し含めてここまでの充足感を得られる作品はなかなか出会えないですが、このお話は本当に良かったです。
この一冊でも十二分に幸福感を味わえますが、せっかくなら続編でこのふたりが"恋人"としてどう関係性を育てていくのかor育てたのかを読めたら嬉しいな……と思います。