タカポンさんのレビュー一覧

ほっとして、しみじみ

　ソフィの辛さより優しさが前面に出て、サロンにやって来る人たちの物語が心に染みました。
　定番の転生物語ではない、まさかの2回連続辛すぎ人生!?　のハズはなく、きちんと幸せになれる物語は嬉しいものですね。
　脇役の人達の人生も丁寧に描かれていて、最後に美しい回収がされて、ソフィの両親の物語も読んでみたいと思いました。
　あとがきを読んで、プロポーズ場面のイラストに戻って確かめてしまったのも、楽しかった。

アナと周囲(特にパパ)との会話に、噴き出してしまい、ツボにハマった状態で暫く止まりませんでした。一人の部屋で読んでてよかった…
ツンデレのパパと天然のママ、オールマイティの執事長など、登場人物が活き活きと描かれていて、それぞれの過去とトラウマ、王位継承にまつわる陰謀と奥行きのあるお話でした。
特にジェノベーゼの特殊性が、パパにだけ伝わるところがよかった。

　第一作から惹き込まれましたが、この作品が次に好きな作品になりました。
　単独で読むには、一作から三作までの登場人物が多く難しいですが、これまでの世界観が分かる人には楽しい再会が沢山あります。
　表面上の’悪‘’善‘の括りではなく、沢山の側面を持つ‘人’が描かれていて、楽しめます。
　人と竜の子どもたちも、ほのぼのとして楽しめますしね。

元気がでました

看護師免許持ちですが、保健師として勤務し、定年退職しました。
ン十年前に学んだきりのガン、知らないことが多くて、とても沢山のことを教えてもらいました。
20年以上前に母が入院したときの隣のベッドの方は、抗がん剤の吐き気に苦しんでいても付き添いの旦那さんから「食べなきゃだめ」と叱られていたな〜。今はもっと良い薬があるんだな〜　とか、自分が闘病することになっても、希望が持てます。何より　ひるなまさんの人柄が伝わるところに…
個人的には同じ鬱病経験者として、旦那さんに共感しました。

ほのぼの時々バイオレンス

　転生した女性と陛下、魔法の存在とそれを使えないヒロイン…と、纏めるといつもの異世界転生ものなのね～って一括りにしてしまいそうです。
　でも、元々音楽好きな旧家のお嬢様が神様からのスキル無しで、自分らしく生きていく所が魅力的でした。
　猫をかぶってる姿にクスッと笑ったり、異世界での自分の存在はそもそも何なのか?　悩むヒロインの姿に共感できました。

チート令嬢の領地改革

　いつもの婚約破棄から始まる悪役令嬢ものか?と読み始めました。
　空涙のお父様に送り出され、無理矢理に嫁がされた先で領地改革に励むと言えば転生者のチート物語かと思わされましたが、アンジェリクのこれまでの努力とお父様の教えによるものとの位置づけで、思い込みが良い意味で裏切られました。
　ドラゴンや周囲のキャラクターが丁寧に描かれていて、物語の厚みがあると感じられますが、一方で主人公側の全ての人物の良い面ばかりが描かれている部分が、少し不自然かとも感じました。
　素直に成功物語が楽しめそうで、続きが楽しみです。

泣ける〜

　‘‘じゃない方’’と呼ばれて貶められるシュリの辛さに泣きました。
　努力しても報われない、本人にどうすることもできない容姿を忌避される。そんな中でも努力を続けるっていう、ある意味王道かなと思いましたが、丁寧に描写されていて、自然に感情移入できました。
　王族としての選択と政治的な駆引きも違和感なく描かれていたと思います。

ハマりそう

　非凡な能力を持つ登場人物が際立っています。
　生来の能力を人為的に極限まで高めた人、大昔から対立する２つの異能を持つ一族の末、その他大勢と位置づけられる人物でも、訓練によって高められた能力を遺憾なく発揮する様にワクワクさせられます。
　一方で、高い能力を持つ主人公達の破滅的な部分や焼酎好きな所が笑いをくすぐる。
　惑星、基地などの背景も説明的でなく自然に描かれていて、ストレスなく読み進められました。
　大部隊による侵攻や内通者の裏切りをどう撃退していくのか、主人公たちの関係性がどうなるのか、続編が楽しみです。

ふふふっ

　よくある実家の家族に虐げられながらも、健気に頑張って幸せになる…系の話かと読み始めました。
　あらすじとしてははそうなんですが、ヒロインに悲壮感がないのと、前世の記憶が魔王だったっていうのが新鮮でした。
　美味しいものへ極振りした関心の描写と、登場人物それぞれの軽妙な口調にハマりました。
　人への悪意がない魔王の定義も特徴的で、残虐性の少ない弱い魔物の描写も、この話の軽さに合っています。
　今後、主人公の精神的な成長がどのように描かれるか楽しみです。