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ネタバレ 購入済み
ラストはぼんやり?
一気に読ませられました。最後はなんだかぼやけているなあ、というのが読後すぐの正直な感想。
しかしよくよく考えてみると、記憶をなくした人間が劇的に過去を思い出すなんていうのは、フィクションが過ぎるのかもしれない。ある日突然、知らない自分を生きなくてはならなくなった者にとっては、生きるに纏わるすべてがあいまいになる。実際のところは、少しずつ、断片的に過去を思い出しながら、記憶をなくす前の「彼女」の感情や行動の意味が、ひたひたと染み込んでくるものなのかもしれない。そしてその後の自分は、もはや「彼女」とは違う人間だ。
そういった意味で、この物語は現実を鮮やかに描きだしていて、だからどこかむなしい。