あらすじ
イスラーム哲学研究の第一人者が,『コーラン』をテキストにそって,多角的な観点を用いながら解読する.イスラームの根本概念である「終末論」「預言・預言者」「啓示」等を通して,『コーラン』の深い精神性が明確にされる.本書は,優れたコーラン入門としてはもとより,井筒哲学の基礎的構造を論じた「井筒俊彦入門」の書でもある.(解説=若松英輔)
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Posted by ブクログ
ムスリムが良かった時などにマーシャアッラーと言うのを知っていたが、日常生活においてもアッラーの名前を口にするのが普通で、深い宗教的意義をもたらすため、神の名前を事あるごとに口にするのがイスラム教の特徴らしい。ユダヤ教のヤハウェとは真逆だ。そして、神は絶対的支配者であり、人間は神に従うしもべとして位置づけられるのがイスラーム的な信仰の在り方。普通一神教と聞くと、全知全能で抽象的な神というイメージだが、アッラーはそういう哲学的・形而上学的な神ではない。アッラーは歴史の中でアブラハムやイサクやヤコブと関わった人格神だ。つまり遠い存在、抽象概念としての神ではなく、人間の歴史や生活、行動に直接関わる神である。だからムスリムにとって、神の行動や命令は具体的な規範や物語を通して理解される。ムスリムは人間の歴史や生活に直接関わる神を信じているということだ。イスラーム法が存在するのも、そうした世俗に関わる事柄まで神の意志によって秩序づけられているからなのだろうと思った。