【感想・ネタバレ】大阪の風のレビュー

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哀しいのは父性か女性か?

作者は戦前から終戦直後まで、甲子園口に住んでいたので、その土地勘を作中の舞台に活かしたのだと推察できる。大阪が重要だという要素は正直、あまり理解できないが、当たり前のように二号さんを持つという感覚を許す父性的なものが、女性たちを様々な意味で抑圧しているのが、物語の進展に応じてしっぺ返しを喰らう戦後社会の変化の兆しみたいなものは浮き上がってくる。次世代を代表する息子二人と娘、妾とそこで働く女中、あるいは妻たちがそれぞれの道を歩んでゆく姿に希望が見出せるようだ。また、作者は主人公に少年を選んでいるが、年上の女性が持つ独特の色気も隠そうとしない描写は興味深く、この小説では登場人物の企みは失敗しているものの、なかなか現代的な感覚だと思った。

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2022年12月12日

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