あらすじ
誰かの“特別”でありたいすべての人へ。
画家である父のモデルをしている、小学5年生の亜耶は、常に自らの美意識と神秘性に特別なものを感じていた。そんな彼女は相棒の彩といつも行動を共にしていた。歳を重ねるにつれ、次第に自分に宿る神秘性が損なわれていっていると焦りを感じるようになる亜耶。11歳の誕生日を迎えた当日、その感覚はより一層強くなっていく。学校に大勢いるただの凡人になり下がりたくないと、彩と共に「特別な」何かをしようと決意。いつもと少し違う日常を模索する。亜耶たちの前に、「学校にナイフを持ってきた」と騒ぐ男子が。そこに着想を得た相棒の彩が、「ナイフがほしい」と言い始め……。
渡辺優だからこそ描ける少女の心の深い闇。大人と子供の狭間で複雑に揺れる十代のリアルを鋭く紡ぎ出す!
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Posted by ブクログ
自分が子供の頃も、この亜耶ちゃんと似たような性格というか、周りの子供の事を下に見ているような感じだった気がして、懐かしい気持ちになりました。亜耶ちゃんはその若さで大事なことに気がついて成長しているのは凄いなと思う。
Posted by ブクログ
小学5年生の亜耶は、常に自らの美意識と神秘性に特別なものを感じている。
彼女は相棒の彩といつも行動を共にする。イマジナリーフレンドと認識している彩とともに、自分を特別だと思ってほしい……。自分の中で折り合いをみつける。少しずつ自分のあり方を考える少女の話。
目次
一 神秘的な子ども
二 特別な少女
三 無垢な女の子
四 ただのわたし
気になった本文
特別というのは、周りの環境に支えられた状態でしかない。特別でいたいと願うことは、それ以外のふつうを強く意識するということ。特別でありたいと願う人は、誰よりも周りを気にしてるってこと。周りがどんなふうかを気にしてそこから抜け出そうとすることは、周りを気にしてそこに合わせようとすることと同じ。
「ありふれた言葉がありふれているのは、それがある程度、本当のことだからだよ。」
「そんな言葉ほしくない。みんながみんな、それぞれ特別な子だっていうんでしょ。そんなの誰も特別じゃないのと同じじゃない。」
「そう、特別な人なんて誰もいない。みんながみんな、それぞれ自分のふつうを生きてるだけ。」
わたしが欲しがった特別さとは違う、神聖でも、神秘的でもない、ごくふつうのありふれた特別さではあるけれど、それはそれで悪くないように思えた。