あらすじ
気づく力を高め、身体疲労、精神疲労、脳疲労とうまくつき合う
精神科医で禅僧の著者が描く「疲れの取り扱い説明書」
日々、おびただしい量の情報が飛び交う現代社会に暮らしている私たちにとって、疲れと無縁でいることはもはや不可能といえるかもしれません。だからこそ、疲れと上手に付き合って身心をコンディショニングすることはとても大切です。
たとえば、
●ノルマに追われてプレッシャーを感じている
●職場の人間関係でトラブルを抱えている
●夫婦関係、子育てに悩んでいる
●将来が不安だ
このような悩みがもとになっている疲れの場合、身体を休ませただけでは回復が難しいものです。なぜなら、私たちが抱える疲れの原因の大部分が心理的要因だからです。
一方で、悩みがないのに疲れている場合もあるでしょう。休日でも時折仕事のことを考えたり、音楽を聴きながらメールを打ったり、チャットをしながらごはんを食べたり……様々なシーンで、私たちはマルチタスクの状態を経験しています。マルチタスクによる疲れも現代人は避けて通れない疲れです。
こうした「疲れの原因」と「疲れの解消法」のミスマッチを防ぐために、「身体疲労」「精神疲労」「脳疲労」と分類し、精神医学的アプローチやマインドフルネス的アプローチにより心の疲れのメカニズムを知り、その適切な対処法をお伝えしていくのが本書です。
この新しい時代を生きるすべての人が、自分の状態を丁寧に把握し、そしてストレスや疲れとの向き合い方を知るために、ぜひ、本書を覗いてみてください。
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Posted by ブクログ
肉体的な疲れとは違い、睡眠や休息ではすっきり取れない「脳の疲れ」。現代人が陥りがちな疲れへの対処法を、精神科医で禅僧でもある著者が説く書籍。
疲れは3種類に分類できる。まず、「体の疲れ」と「脳の疲れ」に大別でき、そして、脳の疲れは「心の疲れ」と「マルチタスクによる疲れ」に分けられる。
心の疲れは、ネガティブな感情を持つことで生じる。人には生きていく中で、必ずネガティブな感情と向き合う時が訪れる。その時、大切なのは、その感情を持つことを拒否しないこと。苦しみは、自分の考えに「禁止」を与えた時にはじまる。
自分を責めたり、悩んだりしていると気づいた時は、それを意識化(見える化)するとよい。そうすれば、自分のネガティブな思考や感情と、少し距離を置けるようになる。すると、だんだんと自分を責める気持ちも落ち着いてくる。
現代人は、常に2つ3つの作業を同時並行で行っている。脳は、この「マルチタスク」が苦手だ。同時に進めるべきことが多く、それがずっと続くと、脳は休めず、疲れてしまう。その結果、目の前の作業に集中できず、作業効率が低下する。
人間には、自分の内面で起こっていることを感じ取る「内受容感覚」がある。だが、現代は、内面よりも外界の情報に注意が向けられるため、この能力が低下している。これは「自分の疲れや悩みに気づけなくなっている」ということだ。
坐禅などの習慣を通して、日頃から内受容感覚を高めれば、自分がどの程度疲れているかを鋭敏に察知できるようになる。そして、適切なセルフケア法を見つけられるようになる。つまり、疲れにくい生き方ができるようになるのである。
Posted by ブクログ
現代の疲れに対する処方箋を与えてくれる。
本書では、マルチタスクが現代の疲れの原因とする一方で、他の人事系の書籍では現代のエグゼクティブの要件として、マルチタスクの能力を取り上げていた。
つまり、マルチタスクが現代のビジネスにおける所与のものとして考えると、その状況を和らげてくれる本書の価値がさらに高まるものと感じた。