あらすじ
宮城県の古刹・通大寺では、人間に「憑依」した死者を成仏させる「除霊」の儀式が、
今もひっそりと行われている。
震災後、30人を超える霊に憑かれた20代女性と、
その魂を死者が行くべき場所に送った金田諦應住職。
彼女の憑依体験から除霊の儀式まで、一部始終を、
大宅賞作家・奥野修司(『ナツコ』『魂でもいいから、そばにいて』)が描く!
<本文より>
人が死ぬとき、合理的に解釈できない不思議なことがしばしば起こる。
がんなどで死に逝く場合もそうだが、
2万2000人余という人が亡くなった東日本大震災のような過酷な状況下では尚更だろう。
しかし、いきなり霊的ともいえる予想外のことが起こると、
それを体験した人は誰にも相談できずにひどく苦しむ。
金田住職のところへ、
高村英さんが混乱状態で電話してきたのは2012年の蒸し暑い6月の夜だったが、
彼女もやはり誰にも相談できずに苦しんでいた。
感情タグBEST3
苦しむ魂にするべきこと
幸か不幸か私には生きていないものは見えない。読んでる間は、私自身が「この女性は医学的に精神を病んでいるのではないか」と思った。でも、東北で過ごした経験があり、確かに彼の地で人ではない何かが身近にいる気がした。
この世にいないはずの魂に和尚様やこの女性がしていたのは、苦しい気持ちを聞き、宥め、導くことだった。
それが目に見える見えないに関わらず、苦しむ人に対して話を聞くことの大切さを強く感じた。
Posted by ブクログ
自分自身、第五感の様なものを見たり感じたり全く無いので読み終えても、何となくまだ信じきれない部分がある。
しかし世の中は自分の感覚とはかけ離れた世界もあるのではないかな…と少し思えた一冊。
Posted by ブクログ
東日本大震災以降、つぎつぎと亡くなった方の霊に憑依されたある女性の話。
その女性は小さい頃から霊感が強かったようで、自分で除霊のようなこともできていたようでした。それが震災後1年位してから次々と霊に憑依されるようになり、一度に何人もの霊に憑依される。
自分ではどうしようもなくなって、なんとかお坊さんのところに助けを求めて転がり込む。そしてお坊さんに亡くなった人がどういう人が、どういう状況でなくなったのかをできるだけ伝えて(憑依されるとその霊の感じ方を共有できるようなのです。自分の体をその霊にあけわす。すると憑依した霊が女性の身体をかりて話しだす。
お坊さんは既になくなっていること。未練を残さず成仏するべきことなどを言って成仏してもらう。
こういうことが体験としてあるのなら魂や霊魂といったものの存在を信じたくなる。
以前に「津波の霊たち」という本でも同じような話を読んだ。
未練を残して死ぬのは良くない。光をみつけたら光に向かって進め。といったところか。
Posted by ブクログ
作話ではないそうだ。
死者を光に向かって送り出すことで除霊するというのは、アメリカのドラマの「ゴースト 天国からのささやき」を思い出した。これには国や宗教は関係ないのかも。
ただ、この本は臨場感を高めるために意図的なのか話が飛んだり、前後したり、何度も同じ話が出てくるので、少し読みにくいように思った。
震災から11年経つのにまだ彷徨っている人たちがいるはずと思うと辛いです。
また、憑依された女性も幸せに暮らしてほしいと思いました。
Posted by ブクログ
私はこういう世界を信じているけど、
大変だなぁと思う。
でも、訳もわからず死んだ人たちが
光に向かっていけるなら良い。
死んだ母が、よく死んだ動物を見たら
かわいそうと思わず、
光に向かって行きなさいって言いなさい
って言ってたこと思い出した。
人も動物も…一緒。