あらすじ
優生学はかたちを変え、何度でも甦る。一度は封印されたはずの「優生学」が奇妙な新しさをまとい、いま再浮上している。優生学とは「優秀な人間の血統のみを次世代に継承し、劣った者たちの血筋は断絶させるか、もしくは有益な人間になるよう改良する」ことを目的とした科学的社会改良運動である。かつて人類は、優生学的な思想により「障害者や高齢者、移民やユダヤ人といったマイノリティへの差別や排除、抹殺」を繰り返してきた。日本では「ハンセン病患者の隔離政策」がその典型である。現代的な優生学の広がりに大きく寄与しているのが「科学の進歩」や「経済の低迷」、そして「新型コロナウイルスの感染拡大」だ。新型コロナウイルス感染症の本当の恐ろしさは、病気が不安を呼び、不安が差別を生み、差別が受診をためらわせることで病気の拡散につながっているところにある。今こそ優生学の歴史を検証し、現代的な脅威を論じる。
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Posted by ブクログ
1995年まで優生保護法が続いており、優性思想としてはつい最近まで残っているため、たとえ政策が変わってしまっても人々の意識にはまだまだ優性思想が残っている印象。
満州での支配において、国民の健康増進が軍事課題であり、1940年にナチスをモデルとした「国民優性法」がとられる。総力戦体制の一環と捉えられ、現在の体育行政や学校教育への影響が見られる。アメリカでも優性運動が生まれたが、好景気による経済問題解消から、いずれ衰退。日本では1970年代前半までは遺伝性疾患をもつ子供を産まないべき、という考えが珍しくなく存在したが、1970年代後半から障害者運動が始まり少なくなる(これも経済問題解消による効果か?)
現在日本では経済問題が深刻化し優性思想が前面に出るようになり、今まで以上に注意が必要である。ナチスは特異な思想をもった悪の集団として突然現れたわけではない
(それにしても本当に学校体育嫌いだったな~、身体を動かすことは好きだったんだけど)