【感想・ネタバレ】子どもの発達格差 将来を左右する要因は何かのレビュー

あらすじ

●自制心・思いやりのある子、ない子……なぜ今、二極化? ●子どもの将来に影響を与える「発達格差」の実態とは? ●最新の発達心理学が明かす「現代の子どもたちのリアルな姿」 今、子どもたちの間に「ある格差」が生まれている。目標に向けて自分を制御する力「実行機能」や、他者を思いやる力「向社会的行動」の格差だ。これは子どもたちが、「目の前のことを優先し、今を生きる」傾向にあるか、「将来に備え、未来に向かう」傾向にあるか、幼児期から二極化する現実を示している。さらに、これらの能力が低い子どもは、将来的に健康や経済面で不利になる可能性が高く、逆に高い子どもは、有利になる可能性が高いと言う。本書では、子どもの将来に影響を与えるこれらの能力の発達に見られる格差を「発達格差」と名付け、その実態および改善策を紹介する。子育てに悩むすべての親、教育関係者、必読の書!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

発達格差の起こる要因を色々な研究を元に論じた本。

子どもへの直接支援(非認知能力を鍛える、等最近流行ってるもの)だけでなく環境を整える(家庭の安定、親の関わり方)という点は当たり前だけど難しいことだな。

教育書を読む親は、関心が高い親だ。関心の低い親、そしてその子どもを救うのは難しい。

なるほど、と思ったのは、幼児期から小学校低学年くらいは教師もアタッチメントの対象となり得る点。養育者には敵わないと思うが、関わり方を改めて気をつけていきたい。

そしてやはり学級作りや雰囲気は大事だ。影響がないわけではない。

幼子のいる親や教育に携わる人は特に読む価値ありだと思います。

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2021年09月30日

Posted by ブクログ

 中盤は専門用語が多く読みにくかったが、各章の最後にまとめがあり、さらに第9章でも全体の要約が挿入されていたのでわかりやすかった。巷で非認知能力が大事と持て囃されているが、実態は曖昧で人によって解釈が異なること。「未来に向かう」子どもより「今を生きる」子どもは貧困家庭に多く、他者との信頼関係が築けていないケースが多いこと。幼児期と成人期だけでなく青年期にも着目し言及されていることなど、興味深く読めた。特にモンテッソーリ教育の影響をみた研究にびっくり。感情をコントロールする力に差はなかったらしい。

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2023年12月06日

Posted by ブクログ

「未来に向かう」こども、「今を生きる」こども、もちろん未来に向かう子供の方が望ましいのだろうが、毎日を生き抜くことで必死な子供は、今を生きるしか、ない。この格差を埋めるのは、最終的には、やはり、育つ環境を整えてあげるしかない。その環境をつくるのは、その子供が生まれる前から、養育者となる人間が、どう生きていくかを考えてもらうこと。そのために、自分が今まで行ってきた「ライフスキル」を義務教育の段階で身につけてもらう、ということが大切だと思わされる。このことを、大人たちに知ってもらうように頑張っていくしかない。

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2023年01月03日

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キャッチーなタイトルと裏腹に、これまでの森口先生の関わってきたプロジェクト,研究を集中的にまとめた本であった。
特にマシュマロテストや「非認知能力」と言った一世を風靡したワードをもとに、切り込みを入れていくスタイルは先生っぽさを感じた。

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2021年07月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

・子どもの将来に影響する能力
①実行機能…未来に向かう力、目標に向かって自分をコントロールする力
②向社会的行動…自発的な思いやり

・発達格差
今を生きる子どもと、未来に向かう子どもの格差
→今を生きることが悪いわけではない
貧困家庭などでは、今を生きることが環境への適応

・マシュマロテストは他者への信頼も表している
後で本当に2つもらえるかわからない

・青年期に衝動的になるのは、アクセルが先に発達するから
ブレーキはゆっくり発達しており、後で追いつく

・非認知能力という曖昧な表現
筆者なりの定義「自分や他者と折り合いをつける力」
中核にアタッチメントがある

・支援
子どもの実行機能を高め、目の前のご飯を我慢することで生命が脅かされたら本末転倒
→子どもの能力の支援と環境設計はセット
→他者への信頼を育むことが基本(養育者のサポートも課題)

・適切な養育
敏感さ…子どもの出すサインに正しく対応(すべては難しいので3割?)
足場づくり…子どもが自分でできるように少しだけ支援(過干渉しない)
養育態度…温かさと権威が大事(ご褒美や罰は逆効果)

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2025年03月31日

Posted by ブクログ

根拠の乏しい議論になりがちな子供の発育に関する本の中で、かなりフェアな語りをしてくださっていると感じます。
教育や発達に関する研究はデザインやデータ、設定など素人目に見ても難しそうと感じますが、この中で紹介されているような一歩一歩がどこかで実を結ぶのだと信じて止みません。
未来志向、現在志向の子供についても、有名なマシュマロ試験の問題点など共感できる部分が大きかったです。結局それぞれの子供の背景や行動の意図が違うため、科学としてデータに向かう面ももちろん重要なのですが、個別性に目を向けた人間の解像度を高める視点も重要に思えました。
自分の家庭の子育てを考える上で大事な学びがあったと感じます。

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2023年08月30日

Posted by ブクログ

■メモ:
・貧困が子供の発達に影響を及ぼす。
理由1:ストレスの影響。貧困家庭で生まれた子は生後半年で慢性的なストレスを感じがち。ストレスは前頭前野の働きを鈍くする可能性がある。
理由2:親子のやり取りの少なさ。親子の会話や交流の少なさが、前頭前野を未発達にさせてしまう。

・子どもは無力で無能な存在ではなく、自分で世界を探索する活動的な存在である。(by ジャン・ピアジェ)

・「同化」と「調節」。
同化は新しいものに出会ったときに、子供が既存の知識や概念の中に取り入れること。調節とは、新しいものに出会ったときに、子供が既存の知識や概念の中に取り入れることができなために、自分の知識や概念を変更すること。

・幼い子供にとって、責任ある大人からの温かい接触は極めて重要。

・中核は、アタッチメントにある。

・養育者は子どもにとっての初めての他者。養育者への信頼が、それ以外の他者に対する信頼につながっていく。

・養育者との関係は子どもの「自分」についての考え方の基礎になる。養育者との間に良好な関係を築けた子どもは「自分は他者から愛される存在だ」「他者は自分に優しくしてくれる存在だ」と考えるようになるが、養育者との間に良好な関係を築けない場合は、「自分は愛されない存在だ」「他者は自分に意地悪する存在だ」と考えるようになるかもしれない。

・子どもは、最初は誰にでも親切。次第に「誰に対して親切にしないか(向社会的行動をしないか)」を学んでいく。

・発達格差を是正するためには、子どもの能力向上だけでなく、周りの環境の支援が必要。親を含めた他者への信頼が確保された環境であり、貧困などにあたらない十分な経済的余裕が担保された環境設計が必要。

・発達格差は実行機能や向社会的行動として表に出てくるが、その根本となるのは他者に対する信頼。他者を信頼するには、最初の他者である養育者との関係が大事。
虐待やネグレクトをしないことはもちろんのこと、精神疾患や抑うつ状態にある養育者が子どもに安心、安全の場を提供することは容易ではない。養育者への支援も重要。

・女性に限り、母親の子育ての仕方の影響を受けることが分かっている。(byダニーデン)

・適切な養育において大切な養育者の敏感性。ここでの敏感性とは、養育者が子どもの視点に立ち、子供の出す何らかのサインに気づき、正しく解釈し、適切に反応することを指します。例)おなかがすいて泣いていると判断し、ミルクを与える など

・幼稚園、保育園、こども園の重要性。
→養育者にプロとしてのアドバイスが可能、子どもの能力を伸ばすことが可能、子どもにとって信頼できる存在になりうる。(アタッチメント)

・子どもとのかかわり方に関する支援が必要。
例)子どもとのアタッチメントを築くことに困難を示す親に、かかわり方を教えるペアレントトレーニングを行う。

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2021年11月09日

Posted by ブクログ

発達格差の実態から今教育界で話題の非認知能力について改めて整理し、その中でも子どもたちの未来とかかわると考えられている実行機能と向社会的行動の発達過程について豊富なエビデンスを元にまとめられています。

発達格差を是正するためにはやはり親と子の関係はやはり大きい。

教師の立場として何ができるかを考えさせられます。

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2021年06月20日

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