あらすじ
従来の伝記的事実を丁寧に洗い直し、最新の資料・研究をもとに新たな解釈を提示。作品の物語世界と作者の実人生とが偶然にも重なり合い、その最晩年に美しく見事に結晶する様を描く。
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Posted by ブクログ
星の王子さま大好きな方って多いと思うのです。わたしもそのひとり。その割にあまり詳しいとはいえないので、読んでみたくて。読んだ最初の印象・・・けっこうお堅いな、と。物語がサン=テグジュペリの人生とどう関わっているかを読み解くという割とオーソドックスな内容。言葉の使い方がどういう意味をもつか、フランス語の複合過去の使い方やapprivoiserの意味など、勉強になりました。個人的には、6章の「大切なものは目に見えない」の深い意味、と、7章のわがままなバラの花の物語、がとても興味深かったです。最後に宮崎駿氏の作品との関連付けがあったのが意外でした。
Posted by ブクログ
平凡社ライブラリー版『星の王子さま』の翻訳者であり、『翻訳技法実践論―『星の王子さま』をどう訳したか』(2016年、平凡社)でその翻訳の工夫を語った著者が、『星の王子さま』の解釈を中心に、作者のサン=テグジュペリやその他の作品などについて論じている本です。
「おとなの日常世界」と「子どもの世界」の対立に、第三の世界として「空の世界」を加えて、『星の王子さま』などの作品世界を読み解く試みや、サン=テグジュペリの作品における「語り」の構造についての考察などが展開されています。また最終章では、宮崎駿の『天空の城ラピュタ』などの作品におけるサン=テグジュペリの影響についての著者の解釈が展開されています。
著者はすでに清水書院の「人と思想」シリーズでサン=テグジュペリの評伝を刊行しており、すでに多くのことがそちらで語られているためか、本書であつかわれているテーマは多少散漫な印象も受けますが、さまざまな観点からサン=テグジュペリとその作品について考察するための手引きになるのではないかと思います。