あらすじ
第15回小説現代長編新人賞受賞作。私立小中一貫校に通う小学三年生の私は、数字に色が見えたりする「共感覚」を持っていた。普通の人と同じように絵画や音楽を楽しむことができず、クラスメイトから蔑まされていた。自称芸術家の父親は世界中を旅して回り、一方の母親は風俗店で働くまでして生活費を稼いでいる。困窮した節約生活の中、唯一心安らげる場所は放課後の誰もいない音楽室だった。ある日、その音楽室で中学三年生の少女と出会う。彼女は檸檬色の瞳をもつ孤独な共感覚者であった。
本作品では、冒頭の試し読みに加えて、「受賞のことば」や選評(抜粋)などを収録。
感情タグBEST3
文そのものが芸術的
芸術的な感性と共に、共感覚というマイナーなフィーリングを軸として描かれる人間の心の動きを、忠実に文字として写し取ったような表現が特徴であるこの作品。自分の困難な点を共有できる仲間がいることはこんなにも幸せなことなのだな、と考えさせられました。
惹き込まれるような文章です
冒頭にある紹介文を読んで、
楽しみだと思いながら読み始めましたが、
初めの1文目からその世界観に惹き込まれて、
あっという間の21ページでした。
これは、是非購入させて頂きたいと思いました。
不思議な感覚
一般人が持つ五感 視覚聴覚嗅覚味覚触覚 の境目が破れて入り混じってしまう人がたまにいる という話を以前別の本で読んだことはあるが、この物語はその様なある意味超感覚を持った子どもたちの話である。メインテーマの超感覚を表現するためか、きらびやかな文章表現がとても目を惹く。ただ 意図的に使用しているであろう普通使わない漢語(例:矯激)はどうしても読んでいて違和感 引っかかりがある。