【感想・ネタバレ】9条の戦後史のレビュー

あらすじ

世界に先がけた理想として敗戦国日本にもたらされた憲法9条。だがその9条とのあいだに、私たち日本人は生きた関係を築けずにきた。原初からの問いを育てることができなかったからだ。もし9条が役に立ちうるとすれば、それを生かすのにいま、何が必要なのか――。日米安保条約締結から、改憲派・護憲派の二項対立が形成される高度成長期をへて、冷戦終結後、対米従属を深め混迷にいたる現在まで。戦後史の深層を丹念に掘り起こし、ゼロからの問いを提起する。『9条入門』の後半として書き下ろされた、著者さいごの提言。

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Posted by ブクログ

前作の「9条入門」が生前の著者の遺作となったが、その続編として書き溜めていた遺稿をまとめ上げたもの。
9条と天皇制、日米安保を軸に敗戦後の日本の政治史を著者が鬼籍に入る直前の安倍内閣まで、時代によって変節していく護憲と改憲の両論を追っていく。
著者がマッカーサーを「地獄の黙示録」のカーツ大佐になぞらえて日本に彼の理想を具現化させようとした件は興味を惹く。
「9条」は戦前の国体としての天皇は戦争犯罪者としての処罰を免れ象徴として生かされる。戦後の日本はアメリカもしくは日米安保を新たな国体としてその精神的ジレンマから自己欺瞞に陥る。
「9条」という背負わされた十字架の原罪に向き合うことのないまま、大衆不在の「与えられた民主主義」は本来の意味を失い、手軽な言葉としてカジュアルさだけが残る。
常に外圧によって歴史の転換を迫られ、泥縄式の体制づくりとそこに安住しようとする幼い精か神がいまだに日本の国としての未熟さばかりが際立っていると感じる。

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2025年09月20日

Posted by ブクログ

憲法9条。戦後から現在まで、様々な議論がなされてきた。改憲派、護憲派に片寄らず9条をめぐる戦後史を丹念に掘り起こした加藤典洋氏の最後の提言。

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2021年09月30日

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