【感想・ネタバレ】京大 おどろきのウイルス学講義のレビュー

あらすじ

新型コロナウイルスの「次」に来る、動物由来のウイルスは何? 本書では批判を恐れない提言で注目されるウイルス学者が、ペットのイヌやネコが媒介するウイルス、計50頭のニホンザルが血を流してばたばた死んだ原因となったサルレトロウイルス4型など、変異すれば人間社会を脅かす可能性があるウイルスを紹介します。しかし実は、病原性のウイルスは全体のごく一部。病気を起こすどころか、1億年以上前に哺乳類の進化を促したウイルスもあります。すなわち、宿主のDNAを書き換える力を持ち、哺乳類の胎盤の形成に関与したといわれているレトロウイルスです。本書ではレトロウイルスの驚くべき力についても解説します。さらに、「そもそもウイルスとは何か?」、「新型コロナウイルスのワクチン」などのテーマも解説。「多次元」のウイルス学を提唱している著者が京都大学で行なっている、1回生(全学部)向けや医学部2回生向けの授業などの内容を収録した、著者初の単著です。高校生でも十分理解できるよう、わかりやすい解説を目指しました。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

 正直、タイトルから小難しそうで面白くなさそうかな、と思いつつ読み始めたのだが……ところが、これがどうしてなかなか面白いではないか。
 まるでSFを読んでいるような感覚。動物毎に異なる胎盤の解説。胎盤をつくり人の体内でなく人工的に出産するようになる未来。安全な出産と人工動態にあわせて人をつくり家族という枠組みでなく教育機関で人を育てる仕組み。
 DNAを書き換えるレトロウイルスと進化。数億年という視点でみたときの地球の環境変化と人類が生き残る可能性の低さと進化について。
 著者の想像が多いに含まれる、というか科学的事実からスタートしているものの大部分が著者の想像なのだが、これがまた面白い。
 人間にとって病気を発病するウイルスの研究は進んでいるが、病原性でないウイルスの研究は進んでいない。そして非病原性ウイルスの数の方が何倍も多く(人間という一種に比べて他動物全てでは種類が多いのは当然)、動物では非病原性だが突然変異により人間に罹患したとき病気を発症する危険性があるから、動物の非病原性ウイルスの研究も大事。などなど真面目な講義も当然ある。それもまたわかりやすく面白い。

0
2023年01月16日

Posted by ブクログ

進化論で言われる「突然変異」の仕組みの解説があります。

進化論は「突然変異」と「自然淘汰」の二本柱ですが、
今まで「自然淘汰」についてはよく説明されていましたが、「突然変異」は曖昧に「紫外線をあびて、」だとか「遺伝子のコピーエラーで」とか、実証も検証も曖昧な説明しか聞いていませんでした。
本書では(主題ではありませんが)「なるほど、突然変異とは、そういう仕組みで起こるのだ。」と納得しました。
カンブリア大爆発のような、生物の多様性が増加する時期が、どうしてあるのか。その仕組みの理解までできました。

0
2022年04月02日

Posted by ブクログ

最終章を読むと、微細なウィルスから宇宙に話が広がり突拍子がないように思われるが、よく腑に落ちる。環境問題もそうだが、地球の歴史を思うと人間の活動による環境破壊なぞはけし粒ほどのことだと思うし、今般のウィルス騒動もそのけし粒の一部でしかない。
嫌気性の生物しかいなかった地球を想像すれば、環境問題において何が正解なのか倒錯した気分になる。
人間が地球を支配していると言うのは幻想に過ぎないよ。

0
2022年01月14日

Posted by ブクログ

目の前のおかしな空気に左右されるんじゃなくて、科学を・・・歴史を・・・生物学として丁寧に説明された良書です。
ぜひ、空間と時間を俯瞰できる力をつけるきっかけにしてほしい。

0
2021年04月24日

Posted by ブクログ

・一回通読。なんとなーくで分かった気になってたウィルスのことを、正しく理解しなおすためには最適な本
・驚いた点、面白かった点の主なところは下記
・ヒトに対して病原性のあるウィルスは、ウィルス全体からみると氷山の一角であること。ウィルスの構造も多岐に渡っていて、インフルエンザなんかRNAが7、8個の分節になっていること。ヒトのゲノムの内訳として、体組織の形成に関わる部分はほんの僅かで、内在性レトロウィルスの方が割合が大きいし、よく分かってない部分の割合が半分も占めていること。

0
2024年07月31日

Posted by ブクログ

「僕らはみんなで、生きている」

ウイルスというと、人間を病気にするもの、悪いものとばかり捉えがちですが、そればかりではないのがわかりました。
いつの間にか、ウイルスのゲノム配列が他の生き物に入っているとは、知りませんでした。

コロナウイルスについて知りたいと購入したのですが、そちらについてはあまり解説されていません。
それでも、未知の世界は面白い。

0
2022年08月18日

Posted by ブクログ

すごく面白かった!文献も示されていてなかなかよかった。
獣医学とウイルス学の関わりは、考えればまぁ重要だよなと思うが、今の世の中医学とウイルスの話ばかりなので、なかなか楽しい読み物だった。ウイルスは人間だけと関わってるわけじゃないし、他の動物にも目を向ければコロナの収束のヒントになるかもしれないなと思ったり。
レトロウイルスに関してはあまり知らなかった上に、少し難しかったがまずまず理解できた。たくさん予算つくといいですね。

0
2022年04月14日

Posted by ブクログ

獣医でウィルス学の研究者である筆者によるウィルスの解説書(入門書?)。

人間しか診ない医者は新型コロナは未知の病原体というが、動物界も含めてコロナウイルスを熟知する筆者の「ありふれたウィルス」という指摘にはうなずけるし、これまでの展開はその通りになっている。

0
2022年02月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

秀作。
テレビで見ると頼りないおじさんだが、実はすごい人だったんだ。東大初の飛び級博士とは。
解りやすい本。
ウィルスは未知の領域。人の成り立ちにも大きく影響しているとは。ウイズコロナは当たり前なんだ。
人間は滅亡する。出産は、タンクで行うことが可能になるなど、衝撃的なお話。

0
2021年12月25日

Posted by ブクログ

コロナだけでなく、幅広くウィウルスについて取り扱う。レトロウィルスの話とか、一筋縄でいかない専門的な話をわかりやすく書いてあって面白い。
でも一番面白いのは、とにかく俺たちの研究に金回してくれよ、という叫びを素直に書いてるとこかな。そこまで言って委員会で、本当に叫んでらっしゃったのを思い出す。

近辛そうなので、立ち直ってほしいな。

0
2021年12月18日

Posted by ブクログ

今流行っているコロナは、どちらかといえば既知のウィルスであり、変化の速度は遅いということを知り、少し安心した。
人間の遺伝子の大半がまだその役割が未解明であるとか、胎盤とレトロウィルスの関係等、それこそ驚きの情報が沢山。
地球規模で見れば、人間の未来も大きな問題ではない!

0
2021年10月25日

Posted by ブクログ

2021年46冊目。満足度★★★★☆ 研究者が研究しているのはこの地球に存在するウイルスの氷山の一角に過ぎない。動物由来の新興ウイルス感染症は予期せぬところからやってくるので、こうした分野に研究資源を割く必要性を強調。「新型コロナウイルス」に関する解説や、ウイルスには悪いウイルスだけでなく、人類の進化にも必要なウイルスがあることなど興味深い内容。

0
2021年09月28日

Posted by ブクログ

ウィルスについて、獣医の経験もある研究者としての立場から多様な視点で論じています。専門的で難解な箇所もありますが、分かりやすく面白く、一気に読めました。
動物界におけるウィルスがどのようなものかを知る事でヒトにとってのウィルスに対する見方も変わってきます。哺乳類はウィルスとともに進化を遂げてきたという話は、地球規模の壮大なスケールで語られており引き込まれました。
新型コロナウィルスの感染拡大について、人流抑制によりウィルスから逃れようとしている現在の動きも、この本を読むと無理があるし無駄な事をしているのではないかと思えてきます。動物界にはもっと恐ろしいウィルスがたくさんある事も知っておかなければなりません。
個人的にはコロナワクチンについて検証が十分なされていない点やリスクについても冷静に書かれてあり、多くのかたに読んで欲しいと思いました。

0
2021年09月23日

Posted by ブクログ

京都大学ウイルス・再生医科学研究所准教授の宮沢孝幸さんが新型コロナウイルスなどのウイルスについて解説した一冊(高校生にも読めるように作られているそうだ)。新型コロナの次に来そうな動物由来のウイルスの紹介~RNA→DNAの逆転写酵素を持つレトロウイルスについての解説まで、読まなければ知ることのなかったであろうウイルス知識が盛り込まれていて非常に面白かった。本書を読むとゼロコロナは現実的には不可能で、ウィズコロナとして今後もコロナとともに暮らしていく必要があるのだと気付かされる。

0
2021年08月30日

Posted by ブクログ

生物とウイルスの「共進化」から、生殖技術がもたらす怖い未来、太陽災害などの地球環境の変化による人類の滅亡までが語られる。

0
2021年08月09日

Posted by ブクログ

とても面白かった。
私には、全てを理解できたわけではない。
知識と理解力が不足しているため、細部はイメージしきれなかったところもある。
それでも、多くの新しい視点・世界を見せてもらえた。
特に、最後の章は、科学者たちの間でこのような話もあがっているんだな、と、驚いた。
科学者だからこそ、見えるものがある。
平凡な私が、それに少しだけでも触れさせてもらえたことは、意味が大きい。

宮沢先生、大好き。
宮沢先生の本音も垣間見れる。
みんな、この本、読んで。

【memo】
腫瘍溶解性ウイルス
 がん抑制性のマイクロRNAを出す。猿のレトロウイルス。

ワクチンは、ウイルスの侵入経路のうち、どこを防御するかによって、働きが変わってくる。

アデロバシレウス 最初の哺乳類

0
2021年08月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

コロナウイルスから、人獣共通感染症、ウイルスの分類、進化でのウイルスの働き、生命関連技術の現状とウイルスの使われ方まで、いろいろ。そうとうみっしり。人は技術を使う、は性癖みたいに言ってるけど、確かに、あって使えれば使ってる気がする。

0
2021年07月18日

Posted by ブクログ

良きにせよ悪しきにせよ生態系の一部として種に組み込まれているウイルス。それをあるがままに見つめ、冷静に対処しましょう、という論旨。

体系的で未来を見据えた内容でとても面白かった。
森博嗣のWシリーズでは人間は子供産めなくなる設定だけど、おそらくレトロウイルスを排除し過ぎたからでは?とか想像がつくようになった。

0
2021年07月17日

Posted by ブクログ

一般人なので内容の理解は難しいが、文体は丁寧で読みやすい。
ウイルスのことワクチンのこと勉強になります。
難しくても、こういう知識を入れることは無駄じゃないです。

宮沢先生の研究活動を応援しています。

0
2021年07月11日

Posted by ブクログ

気になっていたけど書店に無かったので電子ブックにて。
新書らしい読みやすさとページ数で、2日で読み切ることができました。
SARS-CoV-2で世間がバタバタしている現代。様々なことに賛成するにしても反対するにしても、最低限はこの本に書いてあるレベルのことは知っておくべきかなと。
複雑な内容を高校生の一般教養レベルまで書き下している著者の努力は並大抵では無かったでしょう。
(半分を超えたあたりで振り落とされそうになりましたが、かろうじてしがみついてみました)

少なくとも、内容についてどこかしこから訴えられてもいない様ですので、著者の主観が少々混じっていたとしても記述されていることは事実なのでしょう。

読み終わった今、胡散臭かったテレビの番組やニュースの中に、いかにいい加減なものが多いかがわかりました。

久しぶりに素晴らしい教養書に出会えました。

0
2021年05月11日

Posted by ブクログ

著者のことは、1年ほど前にYouTube の動画で知りました。

動画の方では、武田邦彦先生との対談など、楽しくてためになる話をたくさん聴かせてもらいました。

本書が初の単著ということで、著者の話を本で読めるのを嬉しく思います。

内容は今、まさに世間が注目しているウイルスについてです。

マスコミに登場する学者さんは、医学会の方が多く、ウイルスを専門に学ばれていない方が多いそうですが、著者は獣医学の観点から幅広いウイルスの知見を持った方です。

後半は少々難しいところもありますが、多くの方にとって、ウイルスとは一体なんなのか、よくわかる内容になっています。

ウイルスの話から発展して、現在のクローン技術から、やがて確実にやってくる人類の滅亡まで、幅広い題材を扱っていて、非常に興味深く読ませてもらいました。

「ウイルス=悪」ではなく、生物もウイルスも共存して進化してきたことを知ると、世界の見方が大きく変わることでしょう。

0
2021年05月04日

Posted by ブクログ

タイトルからズレた感があったが、面白い内容だった。いずれは人類も消えてなくなるんだろうと思う。なんかそれが想定されている気がする。DNAとRNAの関係がわかった。

0
2025年05月03日

Posted by ブクログ

ウィルスについて、医学の側からだけではわからないことも多く、人類に限らない多くの範囲を見る獣医の先生の側から見た時の目線はとても興味深かった。特に人の進化に与えるレトロウィルスの働きについては興味深く、進化の過程でのDNAの変化についてはとても興味を持った。
DNAシークエンジング技術によるデータを、どう使えるのか何がわかるのかについてこれからどう進むのか大変興味を持っている。

0
2022年09月18日

Posted by ブクログ

ウイルスは特別なものではなく、動物や自然界に正体不明のウイルスがうじゃうじゃおり、その中には人間にうつるようになると、非常に恐ろしいものもいるそうだ。

ウイルスとは直接的には関係ないが、人類がここまで文明を発展できたのは、ここ数千年、大規模な自然災害が地球に起こらなかったからであり、遅かれ早かれ人類は滅びるという言葉になるほどなぁと思った。

0
2022年03月26日

Posted by ブクログ

ウイルスって、面白いなあ。というのが本書を終えての第一の感想である。
ウイルスというのも色々あり、人類の進化に貢献してきたものもある、というのが面白かった。

0
2022年02月09日

Posted by ブクログ

ウイルスが必ずしも人間にとって害になるとは限らないことを知れたのが大収穫。生き物の進化にウイルスがとても大きな役割を果たしていることは、まさにおどろきでした。

0
2022年01月31日

Posted by ブクログ

twitterの配信では情緒が不安定な方という印象があったが、本書はウイルスと新型コロナについて丁寧に分かりやすく解説され、好印象であった。私のような専門知識に乏しい一般人には面白く理解できる読み物であり教科書だと思う。

0
2022年01月30日

Posted by ブクログ

ウイルスの勉強にはなるが、後半は筆者が強調するレトロウイルスの専門的な話となり、ちょっとついて行けなかった。感染症はまだ続く可能性があることを認識できる一冊。

0
2021年08月09日

Posted by ブクログ

読みやすさ★★★
学べる★★★★
紹介したい★★★
一気読み★★★
読み返したい★★★★

実際にDNAワクチンを開発したこともあるウイルス研究者による一般人向けウイルス学。
話は宇宙的スケールから、遺伝子レベルの極小サイズ、はたまた数億年前から人類滅亡後の未来予測まで何とも壮大。宮沢氏含め研究者達の研究に対する熱意や地球愛?のようなものまで感じる。ウイルスなしに今の人類は存在していない。
テレビでのコロナ報道がいかに一方的かつ狭い知見かがよくわかる。
一方で、研究予算への嘆きも散見される。研究予算が選択集中された今の日本ではウイルス研究の厚みが薄くなっていると。動物ウイルスから新興感染症はやってくるのにだ。現在進行形の感染症ばかり研究しても意味がない。
私は化学出身だが専門的箇所はなかなかスッと入ってこないところもあった。しかしながら、学生時代に読めばもっとワクワクしただろうこと間違いなしの一冊。

0
2021年07月22日

「学術・語学」ランキング