【感想・ネタバレ】京都力 人を魅了する力の正体のレビュー

あらすじ

コロナショック前の2019年、京都市の観光客数は5352万人。うち外国人宿泊客は380万人で、38万人だった2001年の実に10倍。なぜこの街は人を魅了するのか。京都を知り尽くす作家が、独特の魅力を創る力の正体に迫る。平安時代の遺構がほとんど残っていないのにもかかわらず古都のイメージを生み出す「イメージ力」、旅人の心に響く「言葉力」、客が店を育てる「美食力」、既存の価値あるものにちゃっかり乗っかる「便乗力」、さらに疫病や災厄に負けない「厄除力」「リセット力」……。京都人気にまつわる都人の本音も随所に飛び出す、「京都力」徹底分析エッセイ。【本書から聞こえてくる、京都人のつぶやき】●錦市場て、もともと観光客が来るようなとことちゃいまっせ ●〈一見さんおことわり〉てな店、めったにありまへんで ●最近、〈出汁巻きタマゴサンド〉を出すお店が増えましたなぁ ●「鯖寿司」って知らん間に京都の名物になったなぁ ●あの老舗料亭はんがラーメン売り出さはったんやて!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

第1章 京のブランド力-虚像でできた街の強さ
・なぜ人は京都に惹かれるのか→ブランド力→希少性があってこそ、ないものをあるように見せる力
・しかしブランド力に翳り。ずかずかと京都に入ってくる=観光客誘致の結果
・錦市場での食べ歩き、本来の錦は観光ではない。
・京都の店は火曜日と水曜日に休むのか?「か」「み」→かみ、といったこじつけ。水曜日は中央市場が休みだから。
・おいでやす、と おこしやすの違い。おこしやすぅ、おはようおかえりやすな

第2章 イケズの本質-京女の言葉力 京男の伊達力
・「えらいええ腕時計してはりますな。うちみたいな店には似合いませんで」といいながら、普段づかいの器で料理を出す主人。あんな時計で器に傷をつけられたらたまらん。
・京都のぶぶ漬け伝説。京都人はいけずというステレオタイプ。
・一見さんおことわり。花街のお茶屋さん、信用第一。お茶屋遊びはキャッシュレス=後払い。飲食代、芸妓舞妓さんの花代、席料、タクシー代、手土産、後席のバー、それらをその場で現金でやり取りしない。後日請求書、支払いに行くか銀行振り込み。

第3章 京のイメージ力-京都はイメージでできている
・「志津屋」のカルネ。カツサンドはビフカツ。「マドラグ」のたまごサンド。
・抹茶スイーツが流行した理由?抹茶を飲む機会が激減したから。茶道の存在。→京都イコール抹茶
・京都→舞妓→写真→カメラ→ライカ。ライカの店が祇園花見小路に。
・5代以上続いていないと、代目を語る資格がない、京都の暗黙のしきたり
・ただの道に「鯖街道」とつける→物語にする=京の便乗力。鯖街道、たった20年前のこと
・「本家尾張屋」「懐石近又」。京都になじんでいるが迎合しない店。ほかの「よそさん」の店。「京」をなぞっているだけ。京を屋号にいれて昔からあるように見せる、擬態。
・「よそさんのお寺」R院。16年前までK亭という料理旅館。紅葉の名所。→瑠璃光院、岐阜県の光明寺が買収。田中源太郎、京都電燈社長、のちに京福電鉄。拝観料が2千円。

第4章 京の美食力-なぜ京都の食は無敵なのか
・「京」の文字がないものこそ、ほんものの京都。京料理、京割烹、京野菜などなど
・水。京都は軟水=昆布の旨みを引き出す。水道水でも。京都盆地の地下に巨大な水がめ。琵琶湖と同じくらいの水量という。
・京都でお造り=明石の鯛。お造りをてんこ盛りにした海鮮丼、ごちゃごちゃいろんな色の造りが載ったもんは、京都の店には会いまへん
・京都の餃子。「餃子の王将」「ミスター・ギョーザ」「珉珉」。東山三条「マルシン飯店」
○著者は「京都ぎらい」を著した井上先生に反感を持っているような気がする。京都人と京都に住む人は別のものとするのが一般的、井上先生はそれを差別と感じているが、この著者は区別であって差別ではないと。「差別」とは、されている側が感じること、している側がいう言葉ではないと自分は思う。著者はいかにも京都人だと思う。

第5章 京都の厄除力とリセット力
 観光客 2001年 4132万人うち外国人38万4千人
     2008年 5021万人うち外国人94万人
     2019年 5352万人うち額黒人380万人←20年前の10倍
     一般市民への支障
・コロナ←厄除け。代表が祇園祭。神様をお迎えする場所「神泉苑」
・神泉苑は空海と守敏僧都の雨乞い対決。守敏によって龍神様が封じ込められていた。空海は竜王を神泉苑に勧請して祈祷
・巨旦将来は牛頭天王(スサノオノミコト)に宿を提供しなかった。
・蘇民将来は快く迎え入れた→蘇民将来にほうび=護符「蘇民将来子孫也」その護符をつけた粽が厄除け
・崇神天皇、手水の作法を広める。右手に持った柄杓で左手を清め、持ち替えて右手を清める。右手に持ち替え、左手で水を受け、口をすすぐ。口をつけない。→感染予防
・鬼門除け。鬼門=鬼が出入りする門口。丑寅の方角=北東の方角。鬼は浮上、清浄を嫌うので清潔を保つ必要あり。北東に洗面所や水回りは造らない。
・鬼門に柊や南天を植える。=北東、子供でも方角がわかる。迷子にならない。通り名のわらべ歌。

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2021年07月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

<目次>
第1章  京のブランド力~虚像でできた街の強さ
第2章  イケズの本質~京女の言葉力、京男の伊達力
第3章  京のイメージ力~京都はイメージでできている
第4章  京の美食力~なぜ京都の食は天下無敵なのか
第5章  京の厄除力とリセット力

<内容>
柏井さんの本はもう何冊読んだだろうか?ちょっと苦みのきいたコーヒー。ディスるようで褒めている感じ。今回は京料理や井上章一の『京都ぎらい』の批判など、さらりと書きつつ、落として持ち上げている感じがいい。

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2021年04月24日

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