【感想・ネタバレ】戦隊大失格(18)のレビュー

あらすじ

人類の守護者・竜神戦隊ドラゴンキーパーVS.世界征服を企む悪の軍団・怪人。彼らは互いの存亡を懸け、死闘を繰り広げ続けている!!……というのは、やらせの茶番劇。他の星から侵略してきた怪人達は、わずか1年で屈服。民衆の前で敗北を演じ続ける道化と化していた!悪者にすらなれず、隷従させられ続ける日々。そんな状況を覆すべく、一人の怪人が最強の大戦隊を相手に反旗を翻す!

左山の力で、黄理谷の記憶の世界に放り込まれたD! そこでは、特撮版『竜神戦隊ドラゴンキーパー』の企画会議が行われていた! 監督、脚本家の黄理谷、俳優の赤刎創士らを中心に進む制作。しかし、イエロー役が失踪するトラブルが発生し、徐々に歯車が狂い始めていくーー。特撮版から、いかにして今の“大戦隊”が生まれたのか…!? そして、怪人誕生の秘密が明らかとなる!!

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舞台は「竜神戦隊ドラゴンキーパー」と「悪の怪人軍団」が毎週日曜日に戦いを繰り広げている世界。
その戦いは高い志を持って行われるものではなく、ヒーロー側と戦闘員「ダスター」との間で交わされた協定によって行われる「やらせ」の戦闘だったのです。

主人公である戦闘員Dは惰性のように行われる戦闘に懐疑的。
「自分たちの使命は世界征服だ!」と熱く夢を語る戦闘員Dに対し、他の仲間たちは「意識高い」と笑いものにします。
割り切れと諭されるも納得できないDは
「黙ってやられる役はもう ごめんだ」
と、立ち向かうことを決意するのです。

戦闘員は、「死なない」「自分の姿を思い描いた姿に再構築できる」といった特殊能力があります。
戦闘員Dはその能力を活かし、人間に擬態しドラゴンキーパーの本拠地で大戦隊の戦隊員として潜り込み、ドラゴンキーパーを倒すことを目論みますが…。

この作品の中で描かれているヒーロー・ドラゴンキーパー達はお世辞にも正義感が強い、みんなが憧れるようなヒーローではありません。
そのため、ヒーローがカッコよく活躍する物語ではありません。
かといってアンチヒーローものでもありません。
では一体何なのか…。

役割をこなすことの大切さや難しさを描きつつも、ひとりのモブがモブであることを辞めて自分の人生を歩もうと足掻く物語ではないでしょうか。

春場ねぎ先生といえば、『五等分の花嫁』のラブコメを思い浮かべる方も多いのでは?
ですが『戦隊大失格』で描かれる世界はラブコメとは大きく異なります。
それに戸惑われる方も多いのではないでしょうか。

ですが、強者であるドラゴンキーパーに役割を強制される戦闘員達の姿には、自分を投影できる方も多いのでは?
現実世界で納得いかなくてもなんとなくこなしている役割があったりしませんか?
その役割、ちゃんとこなせていますか?
日常で「しょうがない」と割り切っていることが多い方、役割をこなせているか不安に思う方に是非読んでいただきたいです。

モブでしかなかった戦闘員Dが今後どうなるのか?
悪役である戦闘員Dは真の悪役になれるのか!?
春場ねぎ先生の描く新しい物語に注目してください!

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