あらすじ
「なぜ私たちは、私たちの政府はどうせロクでもないと思っているのか。その一方で、なぜ私たちは、決して主権者であろうとしないのか。この二つの現象は、相互補完的なものであるように思われる。私たちが決して主権者でないならば、政府がロクでもないものであっても、私たちには何の責任もない。あるいは逆に、政府はつねにロクでもないので、私たちに責任を持たせようとはしない。
だが、責任とは何か。それは誰かに与えてもらうものなのか。そして、ここで言う責任とは誰に対するものなのか。それは究極的には自分の人生・生活・生命に対する責任である」
本文より抜粋
政治が国民にとって「災厄」となった絶望の時代を、私たちはどう受け止め、どう生きるべきなのか?
いま日本でもっとも忖度しない、ひよらない、おもねらない政治学者の最新論考!
国民を見殺しにして、お友だちの優遇や経済を優先する現権力の暴走の根源にあるものとは?
資本主義の「人間毀損」が行きついた果ての「命の選別」を受け流さず、顕在化した社会的モラルの崩壊に立ち向かうための必読書!
序章 未来のために想起せよ
第一章 「戦後の国体」は新型コロナに出会った
第二章 現代の構造――新自由主義と反知性主義
第三章 新・国体論
第四章 沖縄からの問い 朝鮮半島への想像力
第五章 歴史のなかの人間
終章 なぜ私たちは主権者であろうとしないのか
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Posted by ブクログ
VUCAの環境と長い閉塞感の日本の政治と経済。本書に記された戦後の歴史的背景は根深く、これからも道は険しいとものがあると感じた。
•戦後の国体とは、戦前の天皇制国家体制の構造が配線を機にその頂点を天皇から米国へと入れ替えながら生き延びてきたことを捉えるための概念。
•朝鮮戦争こそ戦後日本のかたちを決めた出来事であり、戦後の国体の歴史的起源。
•内外政ともに数々の困難が立ちはだかる今、私たちにかけているのはそれらを乗り越える知恵ではなく、それを自らに引き受けようとする精神態度である。人間が自己の運命を自らの掌中に握ろうとする決意と努力のみ。