あらすじ
労務トラブルにおいて最も深刻かつ件数も多い「退職」と「解雇」問題を、合法的かつ揉めることなく スムースに解決したいという底堅いニーズに応える本。
度重なる遅刻や欠勤、周囲と協調性がない、転勤拒否、職場外で事件を起こすなど、組織の秩序を乱したり、会社のブランドを毀損したりする問題社員は常に存在する。一方で労働者の権利意識が高まり、個別労働紛争が増加していく中、問題社員への初期対応を誤ったため、重大な法的トラブルに発展し、会社の存続が危うくなる事態さえ少なくない。
さらに昨今は、問題社員が法律知識で理論武装し、証拠も確実に固めたうえでユニオン(合同労働組合)と協働して膨大な損害賠償を請求してくるケースや、各種メディアやインターネットを活用した風評被害などのトラブルにも発展している。
本書では実際に発生したトラブル事例を用いて、労働問題を専門とする弁護士監修のもと、合法的な解雇手法とトラブル対処法、そして予防法を網羅的に詳解する。
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Posted by ブクログ
経営者側も労働者側も知っておくべき知識。
P29 司法の場としては、「通常訴訟(本訴)」「保全訴訟(仮処分)」「労働審判制度」などがある。このうち本心は、最終的な法的措置としてはありうるのだが、弁護士費用を合わせると数十万円、そして1年以上の裁判期間がかかる可能性が高いことを考えると、社員個人としてはなかなかてを出しにくい。そのような背景を踏まえ、昨今非常にケースとして増えているのが労働審判だ。
労働審判は「あっせん」と「裁判」の中間的な位置づけだ。労働審判官(判官)1名、労働問題の専門家である労働審判員2名(労働者側1名、使用者側1名)が双方の言い分 を聴いて審判をおこない、基本的に調停、和解による解決を目指す。調停内容は「確定判 決(裁判上の和解)」と同じ効果を持ち、その多くは「会社が解雇を撤回し、従業員は合意退職する」という形で、結局は会社が一定の金銭を支払うというケースになっている。 「原則として3回以内で結審」「約2ヶ月半で結果が出る」という特徴があり、手続きが長 期化しないことがメリットだ。また、あっせんとは異なり、「強制力」を持つという面も ある。出頭命令に従わない場合には5万円以下の罰金が科せられるうえ、労働審判官の心証を悪くして審判に負ける確率が高まる。相手の言い分を聴いて受け入れられる内容であれば、早期に和解してしまうほうが、結局は会社にとって良い場合が多いと思われる。
P98 人事権には3つの制限事項があり、この要件を無視して異動させてしまうと、「使用者による人事権の濫用」として無効になってしまう可能性がある。
1)業務上の必要性があること
2)騒動者に不利益を負わせないこと
3)ほかに不当な動機や目的がないこと
P137 退職パッケージを用意しておく。
最低でも半年分保障、など、有給休暇買取、指定退職日から半年間は在籍扱いされる権利
など
P212 「うまく回っていないのは、テレワークやオンライン化のせいじゃないですよ。会社に元からあった問題が、テレワークをきっかけに健在化したというだけです。」