あらすじ
「師」の多くは昭和から平成を彩った名棋士たち。「弟」は、今をときめく昇り竜の若手棋士。生まれた場所も世代も違い、なんの縁もなかった二人が「師」と「弟」として出会い、互いの人生に大きく影響を与え合う。時には勝負の場においてライバルともなる。一人の棋士が育つ過程を、師弟という関係を縦糸に、それを支える家族の物語を横糸に描く。
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将棋の師弟の話。
作者はもっこりカメラマンで一世を風靡した野澤亘伸で、6組の将棋の師弟の話。
とかく形だけと言われがちな将棋界において、濃厚な師弟関係を築いている6組と将来有望な棋士(藤井は既に別格だが)にスポットを当ててるだけあって、とて面白かった。
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都成先生の熱い人生、そして佐々木大地先生の波瀾ある人生に胸が熱くなりました。将棋を指すことで命を縮めた棋士が存在するのは、この本の続編を読んで知っていましたが、物の例えではなく文字通り命を賭けて将棋を指していたのは、佐々木大地先生だけではないでしょうか。しかもまだ子供なのに…本当にかっこいいです。あと増田先生が師匠を尊敬しながらもその師匠を全否定しているのが可笑しかったです。それを許している森下先生もすごい…
弟子は取らないとこの本の最後でもおっしゃっていたけど、きっと羽生先生もこの先いつかお弟子取るんでしょうね。その棋士はきっと、藤井聡太先生とタイトル争いを長きに渡って繰り広げるんでしょう、谷川先生や森内先生と羽生先生みたいに…
Posted by ブクログ
題名の「師弟」は、将棋の師匠と弟子を指す。
プロ棋士になるためには、奨励会という養成機関に所属し、そこでの闘いを勝ち抜かなければならないが、その奨励会に入るためには、現役のプロ棋士である師匠の推薦が必要。ということなので、プロ棋士には必ず師匠が存在する。
本書は、若手棋士6名とその師匠、すなわち将棋界の6組の師弟に関する話である。
素晴らしく面白かった。
筆者の野澤さんは、もともと写真家であるため、本書には、野澤さんが撮影された写真が使われている。その中に、私にとって印象的な写真が2枚あった。
1枚目は、藤井聡太との対戦を前にした、佐々木勇気六段の写真。藤井聡太は、現在2冠であるが、中学生で棋士になったことで注目を集め、プロ入り後は、初戦からの公式戦29連勝という新記録をつくり、更に注目を集めた。そして、30戦目の相手が、写真の佐々木六段であった。写真は、将棋盤の前で腕組みをする佐々木六段の上半身を写している。盤上の駒は、まだ動いていないので、対局前。佐々木六段の後ろには、大勢の記者・カメラマンが控えている。対戦相手の藤井現2冠を撮影するためである。そして、印象的なのは、佐々木六段の眼光と表情。鬼気迫るという表現を使いたくなる。この闘いにかける意気込みを感じる。
結果は、佐々木六段が先輩棋士の貫禄を見せ、藤井聡太現2冠の連勝を29でストップした。
2枚目は、これも藤井聡太現2冠と、藤井の師匠である杉本七段の、対戦前の1枚。
将棋盤の前に藤井聡太現2冠が、正座をして対戦相手である、杉本七段を待っている。今ちょうど、藤井聡太の後ろの襖が開いて、師匠の杉本七段が対局室に入室してきたところ。杉本七段は、歯を食いしばりながら、左の頬を膨らませる、気合いが入った表情をしている。
写真のキャプションには、杉本七段は入室したとたん表情が勝負士のものになったと書かれている。
結果は、藤井聡太現2冠の勝ち。将棋の世界では、弟子が勝つことを、「恩返し」という。恩返しを果たした訳だ。
写真ばかりではなく、引き込まれるように読んでしまう話が沢山。
Posted by ブクログ
将棋界の師弟6組+羽生善治への単独インタビューをまとめたもの。著者が写真家なので、カラー口絵や本文中の写真も本書を引き立てている。
登場するのは、ワイドショーでも有名な杉本昌隆-藤井聡太のほか、藤井の連勝を29で止めた佐々木勇気と師の石田和雄、大学院在学中に竜王位を獲得した糸谷哲郎と師の森信雄など。あとがきによると、人選を絞り込むのに苦労したとのことだが、成功しているように思う。師匠の行動を「あり得ない」と言い切る弟子、自分と同じで将棋に徹しきれないからあかんとぼやく師匠、一緒にフットサルをする師弟などさまざまだが、どの師弟にも共通しているのは深い信頼関係だろう。
Posted by ブクログ
将棋界の師弟と言ったら杉本師匠と藤井二冠が有名だが、それに加え現在活躍の若手棋士とその師匠五組のエピソードが読める。どの師弟のエピソードも素晴らしく感動してしまう。師弟それぞれのキャラや経てきた人生、ポリシーなどが織り混じって濃密な人間関係が構築されている。またこれから新しい出会いが生まれて新たな師弟関係やドラマが生まれるんだろうなぁというワクワク感もある。
対局を見る機会が増えたが、棋士は過酷な経験や挫折を経ながらも歯を食いしばって一局一局に向き合っているんだなーと日々尊敬の気持ちが拡大するばかりだ。