あらすじ
第19回『このミステリーがすごい! 』大賞・隠し玉作品! 法医学者・真壁天は、人間と関わるよりも死体を解剖して分析する方がマシだと思っている生粋の人間嫌い。しかし、教授から児童虐待を鑑定する仕事を押し付けられ、さらにそこで、死体分析で鍛えた優秀な観察眼を発揮して、能力を見込まれてしまう。いやいやながら様々な親子の闇に関わっていく真壁だったが、ある日から、彼が虐待を指摘した親たちが、次々と首吊り死体で発見されていく。死体の状況を聞いた真壁は、自身が小学生時代に目の当たりにした、親友・ハルの首吊り死体を思い出す――。
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Posted by ブクログ
久しぶりに泣ける作品だった。
最終盤からの怒涛の追い上げが一気に涙腺を崩壊させてしまった。
最初は法医学者の主人公が淡々と職務に応じて警察からの死体を検案していくのだが、児童相談所からの折り合いから段々と主人公の心の奥にある過去や思いが掘り起こされて最後は感動のラストで綺麗な終わり方をしたと思う。
良かったなぁ
Posted by ブクログ
初読みの作家さん。
自分が鑑定した虐待した親が首つり死体で発見されたという所から始まるミステリー作品。安定している「このミス」シリーズだが今回も面白かった。
16年前の自殺事件が発端となり様々な事件が目まぐるしく起こっているため、クライムサスペンスのような印象を受けた。
衝撃を受けたのは妹の繭が実は主人公の中にしか存在しない、いわば「イマジナリーシスター」であるという所だ。それがそのまま16年前の事件の真相に繋がっていてとても素晴らしいカタルシスを感じる事が出来ました。まさか「ハル」が犯人でその正体が身近で働いている人物だったのも驚きであった。犯人の動機もサイコパスでかつ独善的なものでしかなく一切同情できる要素もない、そしてその人物が天を殺そうとする場面で、繭が天を守ったのにも感動した。頭の中にいるだけじゃない、彼を支えてきたのだなと感じた。天は彼女が成長してこうなって欲しいなと思っていたに違いない。彼が昔のことに向き合う毎に体調不良に襲われながらも、向き合っていき真相に到達したときに、決別できたのと同時に最愛の妹と別れてしまったシーンがものすごく切なかった。かすみの最後の言葉は、彼を救ったのだろうかわからないが、これからは前を向いて生きていけるに違いない。
この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。
真壁天:細谷佳正
真壁繭:内田真礼
近堂秀一:松岡禎丞
横居先生:平川大輔
青山友則:堀江瞬
宇佐美正彦:堀内賢雄
小野田美姫:小清水亜美
渡久地平八:岩田光央
黒須文乃:高垣彩陽
岸谷静香:戸松遥
岸谷かすみ:諏訪彩花
Posted by ブクログ
読書録「臨床法医学者・真壁天
秘密基地の首吊り死体」4
著者 高野結史
出版 宝島社文庫
p169より引用
“ 教育熱心といえば聞こえは良いが、自尊
心を満たすため息子にエリート街道を歩ませ
たいだけの人間に見えた。”
法医学者を主人公とした、長編ミステリ小
説。第十九回「このミステリーがすごい!」
大賞最終選考作品「虐待鑑定〜秘密基地の
亡霊〜」改題加筆修正版。
人と接するのがあまり得意ではない主人
公・真壁天。法医学者として死体と向き合う
仕事を望むが、教授から求められる仕事は
不本意な児童虐待に関するもので…。
上記の引用は、主人公の幼馴染・ハルの
母親についての一文。
親ガチャなどという嫌な言葉がありますが、
ほんの少しの運不運で、人生が大きく変わっ
てしまうのは、本当に辛いものです。大人に
なって上手くこのような人から距離を取れる
ように、勉強はしておいた方が良いのでしょ
う。エリート街道を進むか進まないかも、勉
強しておけば選択肢も増えるでしょうし。
勉強すら許さないような親ならば、それこそ
児童相談所の出番ではないかと思われます。
話が重くてやりきれなさを感じますが、
良いミステリーではないでしょうか。勘のい
い人やミステリに慣れている人は、途中で
色々と気が付くのかも知れませんが、あまり
考えずに物語を追っていると、割と最後に
驚くことになるでしょう。
ーーーーー
Posted by ブクログ
分類としてはミステリーというよりもサスペンスという印象の、法医学者を主人公とした殺人事件物語。
風変りな主人公が犠牲者の解剖を通して事件に関わりますが、図らずも事件の渦の中心にどんどん引き寄せられると同時に、本人に関する以外な事実が徐々に明らかになっていくので、飽くことなくドキドキしながら読み進みました。
法医学者を主人公にした事件モノはいくつかありますが、これまでにない主人公の立ち位置を新鮮に感じました。
Posted by ブクログ
臨床法医学者の真壁先生が虐待の容疑にある者と
関わると、何故かその物が不審な死を迎える
物語が進むにつれて、16年前の小学校時代に起き
た、ハルの死がチラつき、さらに真壁先生には、
思い出すだけでめまいや嘔吐を及ぼす程のトラウ
マになっている様子
妹の繭の存在、児相の職員、誘拐されたと思われ
る子供にイマジナリーフレンドがいることといっ
たカードが散らばっていたが、ラストは全く読め
ない展開だった。
次回作も楽しみ
Posted by ブクログ
がっつり本格派というよりは、物語や展開、散りばめられた謎を気軽に楽しんで読むようなお話です。児童虐待に関わる様々な人間関係が描かれます。幼少期のトラウマから人付き合いが苦手な主人公に、明るくて可愛らしい妹さんのコンビがとても良いです。
主人公が捜査に関わる動機付けが少し弱い点がちょっと気になる事、法医学があまり活躍しているように見えない事、状況説明時の言葉運びが少し突っかかるように感じましたが、文体はとても分かりやすく、どんどん先を読みたくなりました。
舞台設定ゆえに葛藤や迷いのシーンが多く、主人公が心の傷を乗り越える様子が重点的に描かれます。クライマックスのドン、と真実を目の前に突き出される感覚、最高でした。ただ私が気づいていなかっただけかもしれませんが、犯人への伏線や描写がかなり弱いように思います。犯人の情報、心情描写をもっと書き込んでのラストを読みたかったなというのが心残りです。
ドラマで見られたらすごく面白そうな作品です。
Posted by ブクログ
一気読みでした。
全てが繋がった時の恐怖で
電車で一旦読む手が止まりました。
でもすぐまた最後が気になってしまい本当に一気読み。
映像化も見てみたいけどちょっと怖い気もする。
Posted by ブクログ
ちゃんと整理しながら読んだら、あーーーここがポイントになるのかってなりながら、サクサク1日で読み終えれた。
犯人はちゃんと文章読んでたら当てれた。わーい。
Posted by ブクログ
読んでてしんどいとこも多々あったけど、面白かった。
途中「この妹実在するのか…?」と思ったりもしたけど、近堂の存在によりいろいろ騙された。
かすみちゃんいいこ。
Posted by ブクログ
・イマジナリーフレンド、という聞き慣れない言葉
、これがかなり大きな伏線となっている
・妹の繭の存在は、やや不自然さはある、
が、父以外で残された家族として、
関わり方としては、自然でもある
・違和感を最初に感じたのは、
「小野田刑事」と、説明もしていない
刑事の名前を繭が言ったシーン
ハサミ男、の、医者を思い出した、
・親友だった、ハルの死の真相は???
という大前提となる疑問中で、
紐解かれる真実にかなりびっくりする
・正義感溢れる児相の金堂の存在や、
容疑者としては、医大の教授なども、
カウントしたりして、
その辺もミスリードがうまくできている、
・名前の付け方?、とかに、
もっと意味があってもよいかな、
とは思いました、
・さらっと読めてミステリ入門としてオススメ
・法医学ミステリとしてあまり無いジャンル、
児童虐待という社会課題にも取り組んでいる
・ダイバーシティの本でもある、?
・んー、普通に面白かったんですけど
Posted by ブクログ
人嫌いの主人公は、児童虐待の仕事を押し付けられた。
言葉を選ばずサクサクと。
読んでいる方としては楽ですが、これ現実でされると
腹が立つ状態なのは確かです。
結果が全て、ではありますが、過程も大事。
過去の首つり、今の首つり。
一体何なのか、どうなっているのか。
主人公の過去が出て来た瞬間、どうなっているのかと
混乱してきます。
主人公は冷静になるために、あちらは罪のために。
Posted by ブクログ
生きている人間よりも死体の相手の方が性に合っている設定の医大の助教、真壁さんは結構子供好き。
大学のポストを巡る汲々とした事情とか、いい人そうなんだけど組織の建前からか距離感の縮まらない刑事一課の小野田美姫との関係とか、読んでいてちょっとやるせない気分になる。
子供の虐待を指摘された親が自殺を装って立て続けに殺された、という事件と真壁の小学生時代のトラウマが絡み合って話は進むが、結局犯人には真壁を追い詰めて行く意図は特になかった、って理解でいいんだよね?
真壁の妹の繭さんがステキで、別れ難い。
Posted by ブクログ
法医学者の助教授真壁天は死体にしか興味がないのだが、児童虐待児の臨床鑑定を言いつけられる。ところが、これが連続首つり事件に絡んでいき、真壁天の立場も危うくなり、警察を差し置いて調査に乗り出す。最後に驚くべき真相が待っている。それにしても主人公の真壁天は可哀そうだなあ。泣けてくるぜ。イマジナリーフレンドというのはこういうのか。
Posted by ブクログ
読みやすかった。
法医学者 真壁天は人間像と接するより解剖しているほうが性に合う人間嫌い。しかし、教授から児童虐待を鑑定する仕事を押し付けられる。
様々な親子の闇を暴いていく真壁。ある日、彼に虐待を指摘された親会社首吊り死体で発見される。
死体の状況を見た真壁は、小学生時代に目の当たりにした首吊り死体を思いだす。
小学生時代に見た、親友ハルの首吊り死体、16年たっても過去のトラウマを払拭できずに苦しむ真壁、
ただ、実はその首吊り死体は妹の繭のもので、この真実を受け止められずに乖離性障害というものを引き起こしていたという展開は驚いた。
一連の犯行の犯人も親友のハルという展開も驚き。