あらすじ
目いっぱいおしゃれをして目立つ住宅ではなく、住む人の生活を穏やかに受け入れる家、一つ屋根の下に生活のすべてがすっぽりとバランスよく収まっている家――そんな家で暮らしたい。居心地のよい住宅づくりで定評のある建築家が、みずからの体験を踏まえた住宅論から、家具や愛読書に至るまでを語る。想像の中で自身が住み手となることで生まれてくる間取りや設計上の工夫とは、どんなものなのだろう。暮らす豊かさの滋味を味わう建築書の名著。文庫化に際し、「建築家の本棚から」など大幅に加筆。
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Posted by ブクログ
普段着。それは気兼ねなくさらりと着れて、何度も着ることのできる服。そしてそれは常に取りやすい場所に置かれる。玄関のハンガー、ソファの上、机の横、椅子の上。
そんな何気なく、でも自分自身の一部でもあるかのような普段着の住宅。
そんな住宅に住んでみたい。自分なりの普段着とはどんな服なのか、住まいなのか考えることが、家づくりの第一歩ではないかと改めて思った。
この本に出てくる事例の施主さんは中村さんのセンスにすべておまかせではなく、はじめからいくつかの普段着のイメージを持っていて、中村さんとの対話の中でそれをさらに洗練・具体化している。
そんな対話ができる建築家さんと出逢いたいと思った。
自然素材は、ただそれだけで、いいもの、であることを皮膚感覚として感じるべきもの。
建築家は、卓越した人間観察家。
住まいや暮らしに陰影を与える精神の拠り所としての特別な場所を住まいの中に持ちたいもの。
なんとなく気持ちがいい。その、なんとなく、をデザインすること。