あらすじ
珠子はダブル塾通いをする小学6年生.ぼんやりむかえた夏休みに,無心に砂像を作るヒカルと出会う.強烈な個性をもち,成績もトップクラスのヒカルは「戦争をなくすためにアメリカの大統領になる」という.家庭環境も性格も異なるふたりの少女が,たがいを受け入れ,まっすぐに世界と向きあっていく姿をさわやかに描く.
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Posted by ブクログ
自分たちの将来に希望も迷いも不安もいっぱいの小学6年生たちの、勉強と友情と砂像作りの夏の物語でした。
主人公は中学受験を目指して二つの塾に掛け持ちで通う小学生。ある時、友達の友達の同級生という、主人公からはあまり関わりのあるようには思えない女の子と一緒に『黄金のシャベル』を奪還する勝負に巻き込まれてしまう。勝負の方法は、砂像対決。砂場で作った砂山に、様々な道具で彫刻を施して作品にするというもの。今まで知りもしなかった砂像の世界に、主人公もどんどん夢中になっていく。中学受験をするのかしないのか、将来どんな風になりたいのか、感性の細やかな子どもたちの心は固めては流れる砂のようで、柔らかく、力強く、眩しく輝いている。そんな爽やかな一冊です。
何を意識して選んだ本でもなかったのですが、読み始めてすぐの印象は、主人公の状況や話の雰囲気から以前読んだ『中学受験を目指す小学生の青春』のようなものを描く作品なのかな、という感じでした。
けれど、読み終わった印象は初めとは随分と異なるものです。
自分に向き合うこと、自分が世界とどんな接点を持っているのか探ること、何かに夢中になること、自分の将来に希望を持つこと。そんな、キラキラとした可能性を持った子どもたちが眩しくて仕方ありませんでした。
小学生の、まだまだ世界の狭い子どもと思ってしまいがちな年齢で受け止める『世界』が、どれほど大きな影響をもっているものなのかを感じた心地です。大人たちが「ああ、またか」とテレビのニュースで聞き流してしまうようなものにも敏感に反応していたり、受験のことも将来のことも、分からないなりに一生懸命自分で考えていたり、友達のことで傷ついたり、逆に力になっていたり、今まで知らなかった世界に目の前が開けていったり。本当に、豊かな世界を見せてもらいました。
改めて表紙の装画を見て、なるほどと感心もしました。
主人公に砂像作りを教えてくれた女の子と主人公の、お互いのニックネームをとって「ハム」と「タマゴ」から『サンドイッチ』。その『サンド』は『砂』ともかけられていて、表紙の装画の背景は砂の上に乗っているような質感になっています。
読み終わってから改めて装画を見ると、表紙から伝えたいものが伝わるような作品は大好きです。
新しく何かに挑戦する勇気を、もうずっと持てていない気がします。だからこそ、『挑戦する練習』をするために受験をしようと決心できる彼女たちは強いなと感動します。
今一度、世界に向けたアンテナの感度を上げて、私も将来のことを考えられる人になりたいと思わせられるお話でした。
Posted by ブクログ
登場人物の子どもたちと世界との距離感が好き。
ともすれば遠くなりがちや外国や地球と自分たちが関係していることに気づいていく。
子どもたちの繊細な悩みをばかにすることなく描き、それでも最後は前を向く、未来への姿勢は読者へのエールにも思える。児童文学の向日性。
ストーリーも意外性があっておもしろくて読みやすいし、課題図書だったのも納得…
砂像アーティスト、初めて知りました。よかった。
Posted by ブクログ
最後に受験を辞めたいと言ったが、またやりたいと言い
砂像対決に負けてしまったけど、すごく上手くなって努力したら何にだってなれるんだと思いました。
Posted by ブクログ
砂像のもろさ、素晴らしさのわかる話だった。時々砂像を見ることがあるが、今度はもっと細かいところまで見てみようという気になった。つくってしまったら壊すもろさはあるけれど、自然に戻るということなんだと思った人サンドイッチクラブという名前も納得した。ミサイル落ちてきませんように。
Posted by ブクログ
優秀な羽村ヒカルとサンドイッチクラブを組んだのは、主人公 珠子。
ライバルの葉真に勝つため、一緒に砂像をつくることになった…。
喧嘩もあり、学びもたくさんあったサンドイッチクラブ。
3つの約束をつくり、仲良く砂像をつくる2人の姿が思い浮かびました。
すごく素敵だと思うし、みんなを魅了させる砂像をつくってほしいです。
Posted by ブクログ
当時小学生だった娘に薦められて読んだ本ですが、とても良かったです。
中学受験など次の「現実」と対峙せざるを得ない小学6年生たちがリアルに想像でき、正に本の中で動き出すくらい瑞々しい物語でした。
話自体はとても単純というか素直ですが、その中に様々な要素が非常にうまく盛り込まれていて感嘆しました。
小学校高学年のお子さんには是非読んでもらいたい一冊です。
Posted by ブクログ
タイトルから、食べ物に関係する本かと思いきや
そっちの意味のサンドだったとは。
主人公と仲良くなる天才肌の女の子のナイーブな面が
細やかに表現されている。
オトナが読んでも楽しい。
Posted by ブクログ
貧困問題や、戦争のこと、難民のこと、将来の漠然とした不安感。
子供たちの視線を通して沢山のことを考えさせていただける本やった。
さすが推薦図書。
子供だけでなく、大人たちも読まないとあかん本っていっぱいあるんやなぁと最近めっちゃ思う。
砂像をこの目で見てみたい。
砂からおしゃぶり…ものすごい衝撃やった。
Posted by ブクログ
やりたいこと、なりたい自分が見えてこない珠子。親に勧められるがまま塾に通い、勉強をしている。そんな描写と同様に、自分の意思ではなく、言われた通りの道を歩んでいく子はたくさんいると思う。それも人生の歩み方の一つだとは思うが、珠子のように砂像づくりを通して、自分が夢中になれる何かと出会えて欲しい。
ヒカル、葉真も、生き方に葛藤しながら進んでいる姿に共感する子も多いと思う。
サンドイッチクラブという設定も、思春期の子のもやもやした部分の描写も、すごく読みやすかった。
Posted by ブクログ
砂像作りに打ち込む、小学校最後の夏休み。
羽村のハムちゃんタマゴの珠子でサンドイッチ、おまじないはポンデケージョ!小学生らしい発想が微笑ましいです。
初めの塾の場面では、あんな変な子とつるむなんて…みたいな描写が続くんじゃないかなと思いましたが、そんなこともなくて爽やかでした。
雪原学園の先生が、学校や教師は「種屋」だと表現していたのがいいなと思いました。自分もそういうつもりで日々、子供たちに接していきたいと思います。
ただ、個人的にはミサイルや戦争の話はちょっと無理やり入れられている感もありました。毎年そんな感じなので、高学年の課題図書には社会問題的なテーマを入れるという暗黙のルールでもあるのだろうかと思ってしまいます。
Posted by ブクログ
塾でトップレベルの変わった女の子、ヒカル。
ヒカルと知り合い、砂像を作ることになった珠子。
目標もないままに塾通いする珠子を、ヒカルの言葉が変えていく。
『世界があたしを置きざりにするつもりなら、
ダッシュして先頭に立ってやる』羽村ヒカル
「シラベさんは砂の中から思わぬものを見つけては、過去やいまと向き合っている。」
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六年の夏休みに砂像作りに出会って、夢中になっていく。丁度塾も伸び悩んでいたころ。
砂像に出会ったのは、塾で試験上位なので有名なヒカルと出会ったから。ヒカルの後の塾の個室にはなぜか砂が落ちているのに気づいていたが、砂像のせいだとわかる。
目標もわからず頑張って、結果はあまりついてこない中学受験と向き合っている子はどのくらいいるんだろうか?桃沢珠子は好きなことに気づけたし、親の理解もある。やめさせてくれる親って、多分ほとんどいない。ヒカルの抱えている傷というか、心のトラウマがちょっと共感しにくかった。
地味なお話だとおもうけど、そこそこ読みやすくて、おもしろかった。
Posted by ブクログ
公園の砂場での「砂像作り対決」 中学受験を控え、目標を見失い成績も伸び悩んでいた珠子は、成績トップのヒカルが公園で砂像を作っているところに遭遇する。対決しているのは男子。どちらの砂像がいいか判定してほしいと頼まれた珠子は…。
学校や塾で悩みながら過ごしている子どもたちが、「砂像」を通してつながり、ぶつかり、成長する物語。
Posted by ブクログ
タマゴとハムのサンドイッチクラブ。砂像についてのお話なんて初めて読んだ。
なりたいものがわからない、目指すものがわからない。悩みながら挑戦していく珠子はえらい。諦めたほうが絶対楽だけど、きっとそれだと成長しないんだろう。
Posted by ブクログ
ヒカルという一風変わった女の子と出会って色々と珠子に変化が起こる。意志をもって何かに取り組むって素晴らしい、未来がたくさんあるって素晴らしく羨ましく感じた。ヒカルのおばあちゃんやミサイルの話と2人が儚くて地球の一部である砂像というものに夢中になることにもちゃんと意味があるのだと思った。
Posted by ブクログ
題名からサンドイッチに関する話かと思ったら全然違った。見た目で人を判断しないこと、絶対はないこと、戦争は今も続いていること、お金はチャンス、チャンスは人を変えられる。ってこれマジで児童書?ってぐらい大人にも刺さる。ヨウマもハイネもアイネも全然好きになれなかったけど、ハムとタマゴのコンビは良かったし、ぐいぐい引きこまれていった。キラキラしててまさに青春の一ページだなあ〜。
Posted by ブクログ
サンドイッチが好きな人の集まりの話かなーと思いきや、全っ然違って、進路に悩む小学生の話。
家庭環境に恵まれ、塾にもたくさん通い、やりたいことをやらせてもらっているようにみえる珠子だが、自分の道を実は見失っている。
今の子は、たくさんチャンスを与えてもらっているし、世界もすごく広がっているような見えるけれど、だからといって、即なりたいもの、やりたいものが分かるわけじゃない。
そこは昭和も平成も令和も関係ないよなーと分かる。だって子供なんだから。
環境は違っていても、いつの時代にもどこの世界にも珠子はいるのだ。
大人はそんな子供を見守り応援してあげるだけ。
そうやって世界は回っているのだと思う。
Posted by ブクログ
■2021全国課題図書高学年■
食べ物の話か?と思って手に取る人多数だと思う笑
それを裏切られてサンドアートの話、というところにガッカリする読者も多少いるのかもしれないが、砂像という馴染みの薄いアートの世界が垣間見れて面白い。
面白いけど、登場人物の誰にもあまり共感できずポカンと置いてけぼられる本だった。
約束破ってないし…。
お受験も田舎民には馴染み薄いし、戦争のエピソードも突飛な将来の夢も取って付けたようなチグハグ感があった。
けど、こういう子とも臆せず友達になれるのは小学生の強みだね。
ちずちゃんはチーズにならんのかい笑
Posted by ブクログ
2021年課題図書高学年。受験と砂像作り、友情、不安、希望…。経済的には恵まれてないヒカル、受験に確かな想いも無かった珠子。これ、小学生で感想書くの至難の業では??と思う。言い回しや、戦争に恐怖する心情も昭和の子みたいで、今の子にしっくりくふものかなぁ。珠子がヒカルを、ヒカルが珠子を理解しようと成長していくのは良かったが、なんせ、これ小学生には難しい気がしますー。