あらすじ
食欲と人物ドラマが織りなす、おいしい歴史。
江戸の昔から、日本人の胃袋と心を満たし、人と人のつながりを生み出してきた外食。
高級フレンチから寿司、天ぷらからファミレス、カレー、中華、ラーメン、B級グルメにアジア飯……。
高級から庶民派まで、より良いものを提供しようと切磋琢磨した料理人たちのドラマがあった。
温かさと幸福を求めて美味しいものに並ぶ人も、何があっても絶えたことはなかった。
個々のジャンル史をつぶさに見ていくと、一つの大きな共通する流れが見えてくる。
コロナ禍によって変容を強いられる外食産業の希望のありかを、歴史にさぐる。
読めばお腹が空いてくる!壮大な絵巻物。
【目次】
■ はじめに
プロローグ 「食は関西にあり」。大阪・神戸うまいもの旅。
第一部 日本の外食文化はどう変わったか
第一章 ドラマに情報誌、メディアの力
■ 一 『包丁人味平』から『グランメゾン東京』まで。食を描く物語
■ 二 グルメ化に貢献したメディア
第二章 外食五〇年
■ 一 大阪万博とチェーン店
■ 二 バブル経済とイタ飯ブーム
■ 三 一億総グルメ時代
第三章 ローカルグルメのお楽しみ
■ 一 フードツーリズムの時代
■ 二 食の都、山形
■ 三 伊勢神宮のおひざ元で
第二部 外食はいつから始まり、どこへ向かうのか
第一章 和食と日本料理
■ 一 料亭文化の発展
■ 二 居酒屋の日本史
■ 三 食事処の発展
■ 四 江戸のファストフード
第二章 和食になった肉料理
■ 一 牛肉を受け入れるまで
■ 二 とんかつ誕生
■ 三 庶民の味になった鶏肉
■ 四 肉食のニッポン
第三章 私たちの洋食文化
■ 一 定番洋食の始まり
■ 二 ファミリーのレストラン
■ 三 西洋料理から洋食へ
第四章 シェフたちの西洋料理
■ 一 辻静雄という巨人
■ 二 グルメの要、フランス料理の世界
■ 三 浸透するイタリア料理
第五章 中国料理とアジア飯
■ 一 谷崎潤一郎の中国料理
■ 二 東京・中国料理物語
■ 三 ソウルフードになったラーメン
■ 四 ギョウザの秘密
■ 五 カレーとアジア飯
エピローグ コロナ時代の後に
■ あとがき
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Posted by ブクログ
圧倒的な文献量と外食を軸に和洋中や地域などのジャンルだけではない縦横に広い内容は、ページ数は多いもののとても読みやすくて、どこから読んでもとても興味深い。
個人的には大阪万博の話や馴染みのある居酒屋やファミレス、チェーン店、中国料理とアジア飯の内容が特に面白かった。
また、この一冊を読み終わることにさらに読みたい書籍が山程増えてしまうのは嬉しい限り。
あとがきを読んで知ったが、2019年6月から開始してこの量で出版されているのが、実は何気にとても凄いのではないかと思う。
Posted by ブクログ
もう、お腹いっぱい。読んでも読んでも終わらない、日本の外食を創った人列伝です。料理人満漢全席。レストラン曼荼羅。でも、一番すごいのは外食にまつわる本の網羅性かも。著者本人の食事体験も語られますが、それは味付けぐらいなもので基本は先人たちが書いてきた本から料理人たちの人生模様を抜き書きして一覧にしているところ。スターシェフもいれば名もなき偉人もいて、そのそれぞれが自分がどんな料理を顧客に提供しようとしてきたのか、という格闘の個人史であるのです。「食」という感覚的な体験を「本」という文献で構築する、という手法に敬服しました。表紙のオムライスのおいしそうなサンプルに惹かれページを開きましたが中身は超こってり、です。日本の「飲食業」が1964年の東京オリンピックと1970年の大阪万博を経て、「飲食産業」に変わっていったということはよく言われていることですが、1970年代の不況、1990年代の不況、リーマンショックに見舞われながら、「飲食産業」のあり方も変化し続けていることもよくわかります。そのマクロな変化は、ミクロな一人ひとりの料理人のイノベーションから派生していることもよくよくわかります。そういう意味ではエピローグに書かれている「コロナ時代の後に」で書かれている小さな事例は、大きな変化を起こす種なのだと思います。「飲食産業」はこれから、産業という捉え方ではなくWellbeingのレイヤーで考えるべきものになっていくのかもしれません。近いミライの飲食産業革命のための助走路がこの全史、かも!
Posted by ブクログ
日本における外食の歴史を網羅。
それは食の歴史でもあり、料理人たちの奮闘の道のりでもある。
プロローグ 「食は関西にあり」。大阪・神戸うまいもの旅
第一部 日本の外食文化はどう変わったか
第一章 ドラマに情報誌、メディアの力
第二章 外食50年 第三章 ローカルグルメのお楽しみ
第二部 外食はいつから始まり、どこへ向かうのか
第一章 和食と日本料理 第二章 和食になった肉料理
第三章 私たちの洋食文化
第四章 シェフたちの西洋料理
第五章 中国料理とアジア飯
エピローグ コロナの後に
主要参考文献、索引(主に人名と店名)有り。
多くの資料から抽出した、日本における外食の歴史を纏めています。
日本の外食の歴史は、紆余曲折の道のりでもありました。
メディア・・・映画や本、マンガ、雑誌、TV番組等が導く、
食の流行、料理人への注目は、日本の食のグルメ化への流れ。
外食元年は1970年(昭和45年)、大阪万博の年。
そこでの多様な外食体験と様々なチェーン店の誕生。
外食は、よそ行きから日常へ。
ローカルグルメと旅ブーム。B級グルメの発見。
日本料理の定義と歴史。庶民の居酒屋と食堂、定食屋。
江戸時代から続くファストフードな、蕎麦やうどん等。
牛鍋やとんかつ等の肉食の始まりと発展。
庶民の洋食はファストフードやファミレスへ。
西洋料理は、ホテルや本格的な各国料理へ。
中華料理から町中華、ラーメンへの道。
カレー、イタ飯、ビストロ、韓国焼肉、アジア飯・・・etc。
日本の多彩な外食の歴史を彩るのは、多くの店と料理人たちの
切磋琢磨の歩みです。彼らの奮闘ぶりがあったからこその、
今日の外食の姿が出来上がったことも、知ることが出来ます。
また、文中には数々の本やマンガ、映画等のあらすじや情報が
掲載されています。それらも外食史の一端として楽しめました。
Posted by ブクログ
外食の歴史は古いです。
しかし日本人総グルメ化し、産業となった外食
の歴史は、ここ50年くらいしかない、という
説に異論を唱える人はいないでしょう。
では50年前に何があったのでしょうか。
そう大阪万博です。
この大阪万博で、現在のロイヤルホストの前身
であるいわゆるファミリーレストラン、ファー
ストフードなど、日本人にとって「未知」の味
が登場しました。
そこから数多くの「ブーム」を経ながら現在の
外食産業にたどり着いています。
この本ではその外食産業の全てを扱っていると
言っていいです。
現代の日本では、あらゆる料理を外食すること
ができますが、本当にその全ての料理の外食に
おける変遷を網羅しているのです。
そして現在のコロナ禍における立ち位置につい
てもです。
600ページからなるこお全史は、全史本の歴史
にも残るであろう一冊です。