あらすじ
現代のリベラルは「すべての個人が自由に生き方を選択できるよう、国家が一定の再分配を行うべきだ」と考える。リベラルは17世紀ヨーロッパの自由主義から思想的刷新を重ね、第二次世界大戦後は先進諸国に共通する政治的立場となった。しかし20世紀後半の新自由主義や近年のポピュリズムなどの挑戦を受け、あり方の模索が続く。本書は理念の変遷と現実政治の展開を丁寧にたどり、日本でリベラルが確立しない要因にも迫る。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
リベラル
価値の多元性を前提、自分の生き方を自由に選択、目標を自由に追求、を保障のため
国家が一定の再配分を行う政治的思想と立場
アメリカ 自由放任主義から、大きな政府を求める勢力
ヨーロッパ 封建勢力への改革勢力から、社会主義に対抗する小さな政府を求める
ケインズ主義的福祉国家
生産性の政治 階級対立を解消 リベラルコンセンサス 1945~1975年
19世紀 自己調整的市場 実現せず植民地競争、世界大戦
ケインズ 一定の国家介入「マクロ経済政策」
べヴァレッジ ニューリベラリズム 自由市場のための国家の雇用政策、再分配
グローバル化 資本移動の規制撤廃、金融自由化
「新自由主義」 経済的自由を前面 国家は市場を機能させるルールの保証だけ
「価値の多元化」ハイエク
「選択の自由」フリードマン
サッチャーとレーガン
1.マネタリズム 通貨安定のため歳出削減と金融引き締め
2.サプライサイド改革 主要産業民営化、金融ビッグバン
3.福祉削減
トリクルダウンは起こらず格差拡大 社会支出拡大 道徳とナショナリズム
法人税率低下、税収減らず 公的支出増加 2015年の日本 1990年の2倍
「文化的リベラル」 社会運動 社会的文化的自由 国際競争外の中産階級が担い手
「ギグ・エコノミー」 個人事業主 不安定な立場の人の増加
「底辺への競争」産業空洞化を避けるための規制引き下げ競争
『ワークフェア競争国家』【市場中心/保守】
ガバメントからガバナンス
1.国際競争に打ち勝つ経済社会条件を国家が整備 産学共同
2.福祉はワークフェア 権利より就労義務へ
3.民間アクターと協力
『現代リベラル』【国家中心/リベラル】
事後の分配ではなく事前の投資
1.リベラルな年金改革 縮減と個人化
2.多様な働き方を保障
3.最低所得保障
様々な利益とリスクを抱えた人を結び付け、説得する理念と政策パッケージ
『排外主義ピュリズム』【国家中心/保守】⇔『ワークフェア競争国家』
グローバル化で不安定=文化的保守、+自国優先の福祉
リベラルな政策を行うほどリベラル=中産階級の自分たち の支持が減る
普遍主義的制度 連帯意識高く、選別的になるほど排他主義に
→リベラルの対抗策:
雇用と福祉のワンパッケージでインサイダー/アウトサイダー分裂を防ぐ
日本 リベラル=護憲・平和主義
保守 =改憲・軍事強化
日本のブルジョワジー:自由主義ではなく、政府の庇護で発展
日本型福祉社会
企業の活力/地方農村、中小零細企業保護/男性稼ぎ主
バブル崩壊、グローバル化でくずれる
第二次安倍内閣 「新自由主義」から「ワークフェア競争国家」への転換
三重苦
恒常的財政赤字の拡大:低税率の経済成長
少子高齢化 :仕事と家庭、ケアとの両立
格差の固定化 :女性の就労≒非正規雇用