あらすじ
「嫌い」は相手をひとりの人間として認めること!
「好き」があふれている現代、「嫌い」を口にするのはよくないという雰囲気が蔓延している。それに対して著者は異を唱える。「嫌う」ことは自他を見つめ、人間を成長させるものだ。なぜ嫌いなのかを考えることで自分と向き合い、自己が見えてくる。自他の違いがわかる。自分が「嫌い」なら、他人の「嫌い」も認めなければならない。このように「嫌い」は人を貶めたり排除することではない。
だが日本社会は「好き」「みんな仲良く」を強要し、「一人でも傷つく人がいたら語るべきではない」と「嫌い」を抑圧する。しかし、好みも考えも感じ方も十人十色なのだから、「嫌い」があるのは当たり前で、それが共存することが多様性なのだ。「嫌い」という感情に罪悪感を持たず、もっと「嫌い」を認めて、気楽に「好き」「嫌い」をいえる風通しのいい社会になろう、と訴える生き方エッセイ。昨今SNSでの誹謗中傷問題が話題になったが、「排除にならない上手な嫌い方」や「上手な悪口のいい方」などの話は実用的で、幅広い年代の人にアピールできる。著者ならではの辛口な論理で「みんな仲良し」社会・日本の欺瞞を暴く痛快な書!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
同調圧力で押し込まれる息苦しさは常々感じていた。はっきり好き嫌いを言う人をうらやましくもあり、そこまではっきり言わなくても良いのではないかと感じることもある。○×決めずに曖昧にすることで何も決められない文化は、淡い微妙な色彩、表現にもつながっているのだろうか。普段よく感じることを書いてくれていて、省みることも含め、すっきり読めた。
Posted by ブクログ
自分が何が好きで何が嫌いかを見つめることで、自分の生き方が定まってくる。何かを好きになる自由とともに、嫌いになる自由もある。嫌いなものを好きになることや、自分の好きなものを人が嫌うのを認めることで、人は成長し、多様性を認めあう社会になる。だが、権力者や教育者は、人を嫌ったりそれを口に出すことがいじめにつながる。と著者は言う。はっとさせられることしばしば。好き嫌いをみつめなおし、自己理解を深め、成長につなげたい。