あらすじ
2030年までの達成目標として「持続可能な開発目標」が15年の国連サミットで採択されたが、
2020年にはこれまでの「世界の価値観」を根底から覆す大異変が起こった。すなわち
20年1月からの新型コロナウイルス感染拡大
20年9月の総理辞任によって安倍晋三氏を失った日本
20年11月大統領選によってドナルド・トランプを失ったアメリカ
である。これまでの「ノーマル」はすでに崩壊し「ニューノーマル」が模索されている。
このままでは2030年には「持続可能な社会」どころか「持続不可能な社会」が訪れることになるだろう。
2021年に発足したバイデン政権は米中関係をどうするのか。
リーダー不在の日本は米中の狭間でどうするべきなのか。
2030年に中国は存在しているのか――
不確定要素の大きな時代にあって必要なのは、中長期的視点だ。激変の「今」を精緻に分析し、10年先の世界像を読み解く必読のビジネス書がついに刊行!
感情タグBEST3
鮮度の高い世界情勢まとめ
普段、なんとなく聞き流している世界情勢に関するニュースがうまくまとまっている。タイムリーな情報と解説なので、まさに世界の今の理解に役立つ。一方で世界の動きが目まぐるしく変わるため、こうした本は出版後にすぐに読まないと鮮度が落ちて価値が落ちるという側面もあるかもしれない。各事象について点と点がつながるような説明、陰謀論に与しない冷静な分析と主張、日本の国益に対する想いと提言、など非常に参考になる。
Posted by ブクログ
中国による国防動員法や中国進出への規制問題を見ていて、国家間のアンフェアな経済政策に対してこのままで良いのかと思っていた。香港の国家安全維持法により一国二制度維持の英中共同声明の取り決めが破られ、ファーウェイ対策も本格化する中、米国による追撃が目覚ましい。渡邉哲也氏の著書で有難いのは、こうした構図を深く整理してくれている所。今回は特に、米中の殴り合いについて。
バイデン政権に変わり親中路線に転じる事が危ぶまれたが、大統領令に手をつける事はできても、議会や法令は容易に手をつけられない。トランプ対抗で纏まっていた民主党も、反中路線は継続。トランプ時代からの国防権限法に基づく各種措置、外国企業説明責任法、半導体輸出規制、ウイグル人権法案、香港自治法案などなど。日米安保に加え、インド太平洋構想、ファイブアイズなどの連携。
今のロシア情勢を習近平はどのように見ているだろうか。著者も書いているが、中国共産党は、会社みたいな組織だ。個人や派閥の影響力を行使しなければ歯車が回らない時に、身内へのパフォーマンスで拡大策を取らねばならない事もある。それだけの権力を握ったならもう良いだろう、とはならない。成長しなければ血が止まってしまうのは、資本主義というイデオロギーに限った話ではなく、共産主義、人間社会そのものが多様な欲を原動力にする限り、そうならざるを得ないのだろうか。悩ましい。
Posted by ブクログ
現在の米中関係に至った経緯がまとまっていて非常に参考になる。全体を通して読むと少々収まりの悪い構成になっているが、元々トランプ大統領再選を前提に大統領選挙後に発行する予定で書いていたものをバイデン当選で大幅に書き直したそうなので、ちぐはぐなところは仕方のないところかもしれない。むしろ状況を再分析したという点が信用できる。さて、国内政治については、これまでの著作でもかなり厳しい意見を述べているのだが、菅内閣に至っては見放したともとれる評価となっている。まあこれは仕方がないだろう。安倍内閣の遺産でかろうじて運営できているだけで何もしていないのだから。むしろ中途半端な対応で混乱を招いている現状を見ていると、本当に何もしなかった民主党政権のほうが良かったという評価になってしまうかもしれない。