あらすじ
1月に逝去した「日本のいちばん長い日」や「ノモンハンの夏」の著書で知られる昭和史研究家・半藤一利氏が見た、歩いた、語った、書いたエッセンスが詰まった永久保存版。
巻頭特別掲載
なぜ明治は勝利し昭和は敗れたのか
昭和天皇と明治天皇
日露戦争と太平洋戦争、指導者たちの差が運命を分けた──
半藤史学のエッセンスがここに!
特別寄稿
「半藤さんから受けとったもの」
磯田道史/宮部みゆき/加藤陽子/池上彰/阿川佐和子/ちきりん/梯久美子/佐藤優/保阪正康
語り下ろし
半藤一利が見た昭和
第一章
半藤少年がくぐり抜けた戦争と空襲
PART1 命からがら、東京大空襲の夜
PART2 下町の悪ガキ、非常時に育つ
PART3 敵機の機銃掃射に腰を抜かした
第二章
半藤さんが精査した朝日新聞秘蔵写真
倉庫に眠っていた七万枚からよりすぐった決定的瞬間。
カメラがとらえていた「おしまいのはじまり」
盧溝橋事件、上海炎上、南京陥落、三国同盟締結、南部仏印進駐ほか
第三章
半藤さんが「歴史探偵」になるまで
長岡中学、浦和高校時代から東大ボート部、昭和天皇の涙まで──
第四章
半藤さんが出逢えた、ブレなかった日本人
永井荷風、小沢治三郎、今村均、小泉信三、おやじ(半藤末松)
国民の多くが浮き足立ち、付和雷同した非常時に、
ブレることなく熱狂せず── そんなかっこいい大人たちもいた
第五章
[対談]半藤一利 × 磯田道史
半藤さんが悟った「昭和の始まりは幕末だ」
昭和の出来事は、あれもこれも、根っこは幕末・明治にあった
第六章
半藤さんの鑑定つき「昭和人物列伝」
阿部定から山本五十六まで !
時代を動かし、時代に翻弄された人々Select70
第七章
半藤さんが案内する「昭和史を歩こう」
文化遺産&文化財 Select41
コラム
半藤画伯の、栴檀は双葉より芳し
半藤名取、三つめの檜舞台に舞う
単行本未収録
東大生が半藤さんに聞いた昭和の歴史
平成世代、東京大学教養学部立花隆ゼミの学生たちとの対話を収録
ジャンル別 ブックガイド
[決定版]半藤さんの90冊 石田陽子=構成・文
絶筆
最後に託された肉筆原稿
絶筆となった『歴史探偵 忘れ残りの記』のあとがきを特別掲載
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
おもしろいおもしろい!
とっつきにくかった歴史が、生身の人の物語として理解しやすい。教科書に出てくる人も、悩んだり葛藤したり、ズルしたり、ほんとに実際に生きていた人なんだなと、初めて思えた。
近代史、もっといろいろ読んでみる!
Posted by ブクログ
A4の判型で、写真も満載。眺めていると、時を忘れる。しかも冒頭には、半藤氏の最後の原稿(『歴史探偵 忘れ残りの記』のあとがき)の写真。3Bの鉛筆で書いた特徴的な文字と文章がいい。
メインは戦争が中心となる昭和史。半藤一利vs.磯田道史の対談がおもしろい。幕末史がどのように昭和史につながっているのか。それぞれいろんなカードをもっていて、それを切り合う。目ウロコのことも多く語られている。
そして、東京向島の少年時代、東京大空襲、疎開先長岡の中学時代、旧制浦高と東大のボート部時代といった個人史も加わる。昭和史の本という以上に、半藤一利という人間の魅力――体育会系の粘り強さ、編集者としての勘、バランス感覚、センスのよさ――が一冊に凝縮されている。
裏表紙裏は、彼が制作した木版画。ボートを漕ぐ自分たちのいる隅田川の風景を描いている。その完成されたデザインにも息をのむ。
Posted by ブクログ
今年の1月に亡くなられた半藤一利さんの、追悼ムック。半藤さんが編集者をやられていた文藝春秋社から発行されている。興味深い記事が多い。
中学や高校の歴史の授業は、受験の関係で、近現代史を、殆ど扱わない。受験勉強でも、近現代史、特に現代史は入試に殆ど出ないので、勉強しない。私の受験時代の話なので大昔のことであるが、少なくとも当時はそうだった。
半藤さんが書かれる歴史書は、逆に近現代史が中心。中でも、日本がなぜ必敗の太平洋戦争に突っ込んでいったのかが、主要なテーマである。半藤さんは、幕末・明治維新まで遡り、何故をクリアにされようとし続ける著作を多く書かれている。それを読んで、私も腑に落ちた。
亡くなられた後、何冊かの本を読み返している。
現代を知るためには歴史を振り返ることも、有効な手段だと、改めて感じる著作ばかりだ。