あらすじ
20年かけて政府が積み上げたIT戦略やITインフラが、新型コロナ対策で役に立たなかった。まさにデジタル敗戦だーー。菅義偉首相肝煎りで「デジタル庁」創設に挑む平井卓也デジタル改革相は、こう反省の弁を述べた。
事実、マイナンバーカードは緊急の現金給付事業で力を発揮できなかった。陽性者の情報を登録するシステムは病院や保健所から「使いにくい」と不満が噴出した。国の構造から制度、人材までデジタルシフトを怠ってきたツケが回った格好だ。
行政のDX(デジタル変革)に挑む日本は、この敗戦から何を学ぶべきか。年金システムから特許庁システム、マイナンバー関連システムまで、20年にわたる電子政府/システム調達改革の歴史から、失敗の教訓を読み解く。
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Posted by ブクログ
# 政府・自治体とデジタルの歴史とこれから
## 面白かったところ
- 新型コロナウイルスでによって対策された施策のうち政府のIT戦略はほぼ失敗したが、その原因や傾向などが事実ベースで分析されていたこと。特別給付金の給付が成功した自治体もあれば手こずった自治体も有り、その両者を分かつものが何だったのかや、根本的に問題だったマイナンバーへの提言などがあって面白かった。
- 国や地方自治体がシステムを開発してきた歴史があるが、失敗した理由や事由をもとに近年どのような対策が練られ、法整備のもと実施されている歌がわかること
## 微妙だったところ
連載記事の切り抜き・まとめみたいなものだったため特定の著者がおらず
、良くも悪くも著者独特の意見がないところ。
## 感想
「日本は海外と比べてITが下手くそ。これからうまくいく見込みがない」って、祖父が言ってた。たしかにそうだなーと思いつつ、当時の上司や先輩方を見ていた身からすると、全く貧弱だとは思わなかった。
祖父が想起した理由は度重なる日本政府・地方自治体の失敗イメージが強かったことだろう。ITとはかけ離れた祖父と、稀にBADニュースが流れる政府のIT投資。
当本では祖父が抱いていたような失敗の具体的なケースが割としっかり書かれていて、とても勉強になった。
特に作りたいものを全て他人任せにする姿勢が民間企業とは全く異なるものだと感じた。
失敗が許されるとは思えないが、同じ轍を踏まぬよう我々国民のUI・UX向上に務めてもらいたい。
Posted by ブクログ
P84 お金に財務省や会計検査院があるように、ITにもあったら、少しはマシかも。会計検査院の根拠は憲法なので、無理ですけど。
P96- 特許庁の案件がすばらしいことみたいに書いてあるのですが、あたりまえのことなので。
高評価しておいてなんですが、「お金がない」で増税しておいて無駄金使って……。読んでいて嫌な気分になりました。原資が税金なので、最悪のゾンビ企業は国家なんじゃないかと。
伝統的に、この国の官僚は標準化・共通化をする能力がないと思っています。電力の周波数、列車のレール幅の統一すらできないのですから。
※レール幅 狭軌、標準軌、馬車鉄道由来……が混在
発注側(官僚)が一方的に悪いみたいな論調ですが、受注側のヒアリング力というか、業務内容を引き出す能力にも問題があるかと。