あらすじ
人類は、分断と災厄を超えて、さらなる高みへと進化していける――。
壮大なスケールで描かれるサピエンスの全史と未来への指針。
コロナ禍の暗い時代の前途を照らす、過去からの光明。
現代の困難を乗り越える鍵はここにあった!
伝説の東大講義、待望の書籍化。
* * *
[目次]
第1章 すべてを進化の相の下に見る
第2章 進化の複数のメカニズム
第3章 全体の眺望を得る
第4章 人間の位置をつかむ
第5章 人類進化の歴史
第6章 複雑化の果てに意識は生まれる
第7章 人類の共同思考の始まり
第8章 進化論とキリスト教の「調和」
第9章 「超人間」とは誰か
第10章 「ホモ・プログレッシヴス」が未来を拓く
第11章 終末の切迫と人類の大分岐
第12章 全人類の共同事業
解説 立花隆と東大講義「人間の現在」(緑慎也)
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
・「生きている」状態の定義について、「膜により外部と内部を隔てている」状態とする考え方が面白かった。たしかに死ぬと外部世界との境界がなくなり、腐敗して土に還ることになる。また、この定義を拡張していくと、地球という一つの星も、大気や磁場により宇宙から隔てられているため、ひとつの生命であるとも言える。
・「精神圏(バイオスフィア)」という概念も面白かった。人類の動物とのしての進化(脳機能を含む)は万年単位でそれほどないものの、人類の進化は、知識や技術を種全体として蓄積し、社会的進化というステージに変異しているとのこと。それはやがて種としてのひとつの精神圏を作るだろうというSF的発想だった。しかし、昨今の人工知能の爆発的進化のことを思うと、この書の予言通りの未来が進行中なのではないかと思ったりした。
人類の進化の先に何が待っているのか。ディストピアでないことを祈りたい。
Posted by ブクログ
シャルダンの話が印象的。
エレメント数を増やすだけではいけない。それだったら図体がデカい方が強かったはず。複雑性が増すことも進化としては重要なポイント。
人類進化の行き着く先として、「人類全体が1つの思考回路をつくる」というのがシャルダンの考えらしい。これって、なんかガンダムでいうところのニュータイプっぽくて興味深い。
Posted by ブクログ
生物はなぜ死ぬのかを読んで、あっ難しい面白いかと言われればわからない、領域だと思って少し諦めの中、手に取った本。
おもしろかった!!
立花隆さんの言う、「目の前のテーブルいっぱいにご
馳走が並べてあるからといって、無理して全部食べる必要はない」を実践しながら読みました。
メモ
第一巻 オードブル
第二巻 メインディッシュ
とういうことは、第一巻でつまみ食いをしすぎてお腹いっぱいにならないように気をつけなければいけないということです。
以下、つまみ食い内容
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勉強のトラップ
エピゴウネ・・ある人間の思想に付き合っている者のこと。亜流
この意味を知ってから日食なつこさんのあの歌を聴くと、ぞわっとする。
後、解が本来ない問題に一生悩む特徴として、解のありうる形やタイプについて考えていないというものがあった。どきっとした。
あとは、現象学の「今ここ」の点を見るとき、点を点としてみるのと、流れの中にある点としてみるのとでは全く違うことに気付かされます。
テイヤール・ド・シャルダンの、見ることの重要性が面白かった。視神経は160万本にたいして、聴神経は3万本。だけど、視細胞は2億で聴覚系の細胞は1万とか。
ということは、視覚は多情報を統合していて、聴覚は想像力で補っているように感じた。
まだまだ。
やっぱまだまだ。。
もう少し経ってもう一回読むとまたさらに面白いタイプの本です。
Posted by ブクログ
テイヤール・ド・シャルダンの進化論についての論述が主なテーマである。単なる生物の進化でなく、物質→生命→人類への3段階の進化を説く。
無限大の宇宙と、無限小の原子の世界、人間は単にその中間にある取るに足らないちっぽけな存在ではなく、複雑化という進化の過程では、その極に、ある存在である。
Posted by ブクログ
この本で書かれている進化についての考え方は、初めて知りました。とても興味深く読めました。
そして、この本が1996年の大学の講義録であることやその考え方を提示したテイヤール・ドシャルダンが20世紀前半の人であることに驚きました。
Posted by ブクログ
古生物学者であり、イエズス会神父でもあったテイヤール・ド・シャルダン。その進化論について解説された良著。地圏という無生物の物質世界、生物圏という生物による物質世界。地球はこの二つで網羅はできず、非物質世界が存在する。これが精神圏。ヌースフィアとも呼ばれるが、ユヴァルノアハラリのいうサピエンスが生きる共同幻想に通ずる思想だ。人類の進化と共にこの精神圏は広がり、やがて超人類が誕生する。ホモ・プログレッシヴス。
超人類とは何か。一人一人の人類が精神圏ではよりエレメント化し、つまり構成単位になり、必要に応じて複合化する事で目的を遂げる世界。サピエンスが集団で外敵から身を守る結集行動と変わらぬ気がするが、より精神圏で流動化する。これはある意味では資本主義世界を乗り越えて、VR世界や、分散型自立組織DAO、クラウドファンディング、ウィキペディアのようなシステムの進化を予見するものにも見えるし、現代では見えていない更なる仮想結集を予感させる思想でもある。
思想は正しく進化の方向を示している。1980年代末以降に活躍した思想家としては、素晴らしい洞察力。少し逸れるが、ニコライ・フョードロフの肉体の不死についても本著で触れられていた。高額だし、フョードロフの関連図書は手に入り難そうなので有り難かった。
Posted by ブクログ
著者による東大駒場教養学部で行われた講義録。
テイヤール・ド・シャルダンの思索をもとに進化史のなかで人間を位置づけ、未来を考察していく。
圧倒的な教養力だね。そもテイヤール・ド・シャルダンも初めて知ったぐらいの読者としては唖然とするばかり。でも、今こそイデオロギーが必要な時だと思うんだけど。これからの時代を導くものがさ。
Posted by ブクログ
オモロかった!
90年代の講義ですが、機械と人間、画像認識、人類の発展、人工知能、神など、いまも考えるべきテーマが詰まっています。
進化は、時々起こるダイバージェンスとコンバージェンスの方向性。
べき乗のスケールの話。
読みながら、シンギュラリティやSCALEを思い浮かべました。
Posted by ブクログ
この話は全く古びていない。反対にこの話の続きが誰からも語られていないのが残念だ。ハラリのサピエンス全史とホモ・デウスがこの議論に近いが、スケールはこの本の方が大きい。
現代人必読の書だと言える。
Posted by ブクログ
学生時代、新潮の連載を読んでいたが、途中で止めていた。今回読んでみて、非常に面白く読んだ。テイヤールド・シャルダンを中心に、人類の未来に関して、著者の知識と理解が著述されている。
Posted by ブクログ
著者が東大教養学部で1996年に行った「人間の現在」という講義を基にしており、「新潮」に連載された第13~24回までをまとめたもの。12回までをまとめた「脳を鍛える」の続編。イエズス会の司祭であり、古生物学者でもあるテイヤール・ド・シャルダンを軸に展開している。
社会ダーウィニズム論は、ハーバード・スペンサーに始まり、 19世紀から20世紀の初めにかけて、世界中で大いに流行った。優勝劣敗、弱肉強食の世の中を肯定するため、帝国主義や植民地も悪くないし、弱者が差別を受けるのも仕方がないと考える。アメリカでは、資本主義の下で弱肉強食の競争をやるべきだという考え方の基本理論になり、ナチスでは人種的に優れたアーリア民族が世界の支配者になるという考え方の基礎になった。また、劣等者には断種させ、優等者にはどんどん子供を産ませて人種改良を図ろうという優生学の思想のもとになった。