【感想・ネタバレ】アメリカ空軍史から見た F-22への道(下)──ボイドの孤独な戦いと制空戦闘機の完成のレビュー

あらすじ

■究極の制空戦闘機F-22は、どのように生み出されたのか。
その背景を、アメリカ空軍の成り立ちまで遡って考察していく1冊

・ボイドから見たF-15&F-16開発
・「エネルギー機動性理論」とは何か
・F-117とF-22のステルスは異なる!?
・比較で見るYF-23 vs YF-22

■【新視点】カタログデータでは分からない、戦闘機の本質が見えてくる!

下巻では、低迷するアメリカ空軍に、“変人&天才"ジョン・ボイドが現れ、エネルギー機動性理論をもとにF-15やF-16といった傑作機を生み出す原動力となっていく様子を描きます。
その流れはF-22で完成形となっていくのです。

“万年係長”ジョン・ボイドは、破天荒に空軍をかき回し、少しずつ変えていきます。
ターニングポイントの機体となったF-15の本当に新しい点はどこだったか、
F-16前と後では機体が分けられるくらいに新機軸が盛り込まれたF-16のどういった点が革新的だったのか、
をカタログ的な切り口ではない切り口で紹介していきます。
また合わせて競合試作されたYF-17(F/A-18)、ジョン・ボイド軍団の一人が開発したA-10についても見ていきます。

ステルスの歴史についても取り上げます。
ステルスが比較的昔からあった技術で、一度は停滞したこと。 ヒト亜族のようにステルス技術もいくつもの理論・系統があり、ステルス性を重視しすぎた系統は停滞してF-22やF-35には繋がらなかったことが分かります。

そしてようやく最後、F-22がいかに生まれたか、各パーツにどのような工夫が施されているかを見ていきます。
そのうえで競合試作されたYF-23とも比較して、なぜYF-23が敗れ、YF-22(F-22)が選ばれたかも検証していきます。

そのなかで上巻と同じく、エネルギー機動性理論とは何かや、ステルスがどう発展してきたかなど、ややこしい内容なので意外とミリタリーファンが知っているようで知らなかったテーマについてもやさしく噛み砕いて解説しています。

【著者略歴】
夕撃旅団(ゆうげきりょだん)
管理人アナーキャが主催するウェブサイト。興味が向いた事柄を可能な限り徹底的に調べ上げて掲載している。
著書に『ドイツ電撃戦に学ぶ OODAループ「超」入門』(パンダ・パブリッシング)がある。

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F-22は頂点なのか?

F-22を航空兵器の頂点に据え、そこから逆算して兵器開発を振り返り辿る作品。
下巻では戦略爆撃の問題点と、航空優勢確保の重要性と実現方法、そして、様々な過去の事象を反映して完成した航空兵器の頂点F-22の性能と、その有用性、性能の問題点に関して追及されていきます。
果たして本当にF-22は航空兵器の頂点といえるのか?或いはそう言えるし、だがしかし、されどもあれもまた、幾多の兵器と同じく、数多くの妥協の産物でしかない、といえるものなのである。
人類の空想と現実のギャップ、それこそがF-22という存在がこの世に誕生した理由ではないだろうか。
そしていつかは、F-22という存在も歴史上の存在でしかないものとなる日が来るのであるが、次の時代の航空兵器は、F-22からどのように発展していくのだろうか?その答えの断片がこの作品には振り分けられているのかもしれない。

#笑える #深い #タメになる

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2024年08月30日

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