【感想・ネタバレ】災害特派員のレビュー

あらすじ

東日本大震災から10年。あの時、記者は何を見て、何を感じたのか──。2011年3月11日の地震発生翌日に被災地に入り、18日間最前線を歩き回って目撃した「惨状」。その後新設された「南三陸駐在」の記者として、現地の人々と1年間生活を共にした回想録。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

2011年3月11日、私は福岡の実家で変わらぬ日常を過ごしていた。揺れてもいない。津波も来ていない。「3.11」の記憶は、テレビの映像だけで形作られている。「人を殺すのは『災害』ではない。いつだって『忘却』なのだ」。この言葉を聞いた時、ドキッとした。生半可な覚悟では受け入れられない被災地の現実。目を背け続ける私も、あの日を忘れていく側の人間だということを痛感させられる。

1
2021年07月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

この手記が世に出されたことをとてもありがたく思う。一章ごとに、胸にズンと「私たちの」責任がかかるのを感じられた。本というのは、活字を読み込んでいくうちにある種の追体験をする、というものと私は捉えている。だから、「ゲームや映像としてモニター越しに」見るものとは(少しだけだけれど)異なって、読者のこころに引っ掻き傷をつけていける。著者が、ひととのかかわりを、おのれの筆になるままに書いてくれたことで、私たちは、著者とかかわったひとたちのことを「想像」できる。むろん実体験に勝るものはないだろうけれど……。それでも、読んでいるときは我がこととして痛みを感じられるだろう。「外からだけみるもの」とそれはきっと一線を画すと信じたい。
しかし。ジャーナリズムとはなんだろう。昨今はみえない「縦の分断」が起こっているときかれる。それはどこか遠い国のよそごとではなく、まさしく隣家や知り合いの中で起きる貧富の差ーーひいては考え方、教育、経験の差だと思う。それを冷笑することなく書き知らせなければならないとき、著者の留学先での問いは重くのしかかり、また私たちの想像力も少しは役立ってくれるだろう。

0
2021年06月09日

「ノンフィクション」ランキング